低遅延男・大矢アキオの「モバイルワールドコングレス2018」
現代版「ゾウが踏んでも壊れない筆箱」を見た!
2018.03.09
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世界屈指のモバイル機器見本市「モバイルワールドコングレス(MWC)」が、2018年2月26日から3月1日までスペイン・バルセロナで開催された。
サムスンやソニーは新型スマートフォンを発表。技術面では、2019年から一部の国でサービスが開始される低遅延が売りの「5G」や、クラウドの負荷を軽減する「エッジ・コンピューティング」など、最新の通信技術が花盛りとなった。自動車関連の提案についても、そうしたテクノロジーをいかに取り込むかに焦点があてられた。
その傍らで、おびただしい数のスマートフォン用アクセサリー業者の出展も見られた。画面保護フィルム&ガラスのメーカーでは、その耐久性を誇示すべく「鉄球を落とす」「カッターで斬りつける」「ハンマーでたたく」といった派手なパフォーマンスが繰り広げられていた。それらはまさに、現代版「ゾウが踏んでも壊れない筆箱」の様相を呈していた。
(文と写真=大矢アキオ<Akio Lorenzo OYA>/編集=関 顕也)
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1/35サウジアラビアの巨大通信会社サウジ・テレコムによる5Gコネクテッドカーのデモ機。可動部分の機械的な裏付けは無視されているが、未来感は上々。
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2/35ファーウェイとイーハン社のコラボレーションによる“フライタクシー”ドローン。なお、ドローンのテストを積極的に推進しているドバイの運輸省は、2030年までに輸送の4分の1を自動操縦による空中輸送にする計画である。
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3/35MWCのメイン会場であるフィラ・バルセロナ・グランヴィア。2018年は205の国と地域から約10万7000人が訪れた。
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4/35スタッフの“ご尊顔”を忠実に模したお面。用途は何かというと……。
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5/35……「顔認証システムを突破する試みを阻止するデバイス」の紹介だった。IDEMIA社のブースにて。
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6/35BMWは「i3」をベースに、SAEレベル5の自動運転が可能なコンセプトカーを公開。屋外ブースで試乗会を実施した。
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7/35BMWの自動運転コンセプトのデモ。スマートフォンのアプリケーションを操作すると、パーキングスペースから無人の車両がやってくる。
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8/35同じく、BMWによる自動運転車のデモのひとこま。助手席にはスタッフが座っているが、運転席は無人。テストエリア内で周回を繰り返した。
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9/35スペイン国王が会場に姿を現した直後、「点滴」を持った白衣の人物が! 「すわ、事件か」と思いきや、水没したスマートフォンを特殊な液に漬けてよみがえらせる「ウオーターリバイブ」なるスタートアップ商品のデモだった。
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10/35スマートフォンの保護フィルムを製造する、ポーランド企業のブースにて。身長よりも高さのある筒を通して鉄球を落としてみせる。大丈夫とは知りつつも、1970年代の“脱出マジック系番組”を思い出して「天功さん、やめてー」と叫んでしまった。
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11/35こちらはハンマー攻撃。スマートフォン用保護フィルムの強度を示すデモンストレーション。
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12/35コンチネンタルのブース。ドアを開ける際に外側にある障害物を検知するデバイスの提案。ドアミラーとサイドプロテクションモールにあるセンサーがポイントだ。
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13/35ヒューレット・パッカード・エンタープライズのブースにて。いきなり、宇宙飛行士と国際宇宙ステーションの原寸大模型。
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14/35ヒューレット・パッカード・エンタープライズが展示した、国際宇宙ステーションの模型の内部。「使用されているヒューレット・パッカードのサーバーは標準的な製品に限りなく近いものだが、宇宙ステーションに搭載するには重量1ポンドあたり1000万ドル(約10億5800万円)のコストが掛かる」とスタッフが教えてくれた。
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15/35会期2日目の会場には、元F1チャンピオンのフェルナンド・アロンソも登場。「今日のF1では、シミュレーション、テスト、天候予測に至るまで、コンピューター無しには戦えない」と語った。
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16/35「ファンといつでもつながっていられるのも、通信テクノロジーのおかげ」とアロンソ。
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17/35「MISSION TO THE MOON」の展示。これは、ボーダフォンとアウディのサポートにより、1972年のアポロ17号以来の月面着陸実現を目指すというプロジェクト。
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18/35「MISSION TO THE MOON」に搭載される予定の月面探索機「アウディ・ルナ・クワトロ」。
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19/35サブ会場のフィラ・モンジュイックには数々のスタートアップ企業が。「なくすを、なくす」のキャッチフレーズで知られる紛失防止タグを扱うMAMORIOは初出展。目下、内外の自動車ブランドからも試乗プレゼントなどのノベルティーグッズとして引き合いが相次いでいるという。
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20/35フィラ・モンジュイックの一角で。来場した理由をステッカーで示すコーナー。写真で一番右にある「酒に誘い出し、ライバルの動静をスパイするため」にも、ホントかウソか、たくさんのステッカーが。
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21/35トヨタはスマートフォンとの連携アプリケーション「スマートデバイスリンク(SDL)」のある世界を、「プリウス」などを使用して紹介した。
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22/35トヨタのブースには、「スマートデバイスリンク」のコンソーシアム参加企業であるスズキのバイクも。
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23/35NTTドコモのブースにて。小さなコンピューターを多数配置する「エッジ・コンピューティング」を応用した、衝突回避技術のデモ。クラウドに過度に頼らず、交差点付近に設置した装置で処理すれば、通信負荷が大幅に低減できるという。
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24/35NTTドコモの書画ロボット。5G通信を用いて、センサーを装着した人間のデモンストレーターの動きをほとんど遅れることなく再現する。エッセイ「マッキナ あらモーダ!」の関連記事も参照されたし。
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25/35フォルクスワーゲン グループのスペインブランド、セアトのコーナーで。アマゾンのAIアシスタント「アレクサ」を搭載し、15のセーフティーアシスタントを装備したコンセプトカー「セアト・レオン クリストバル」。なおセアトは、4年前に自動車メーカーとして初めてMWCに出展した。
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26/35セアトのブースにて。カタルーニャ州政府およびバルセロナ市議会と連携したプロジェクト。都市の渋滞回避や最適な交通手段の選択といった情報の提供サービス実現を目指す。
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27/35SKテレコムのブースで。「ヒュンダイ・ジェネシス」を使用した5G通信のエクスペリメンタルカー。同社と、同じ韓国のコリア・テレコムは、専用テストコースを建設して5G通信の自動車への応用を研究している。
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28/35VISAカードのブースにベントレーが。なぜかといえば……。
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29/35ベントレーは、「クルマそのものをクレジットカード代わりにしてしまうコンセプト」の紹介用だった。説明員は「例えばハンバーガーを車内でオーダーし、店に行くだけで自動的に決済が完了」と言うが、クルマがクルマだけに少々違和感があったのも事実。
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30/35フィラ・バルセロナ・グランヴィアは、このようなレイアウトになっている。スカイウオークと名付けられた階上通路で、見る必要のないパビリオンをスキップできるのは、ほかのメッセでも採用してほしいアイデア。
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31/35AT&Tビジネスとキャタピラーとのコラボレーション。現場での建機の位置をGPSで確認したり、掘削した穴の深さをセンサーで自動的に計測しオペレーターに伝えることで無駄な作業を削減したり……。
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32/35会場内では、VRゴーグルでプレイできるコーナーがいくつか見られた。ただし無音のため、プレイヤーが没頭すれば没頭するほど傍観者には奇妙な光景に映るのもたしか。
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33/35これは、インテルその他による実験車両。近くのトランスミッターが飛ばす5G波を受信し、車内のディスプレイに映し出す。何かヘンな光景だと思ったら、「トヨタ・アルファード」は欧州未導入だった。
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34/35ファーウェイによる招待イベントのゲート。各国の民族衣装でお出迎え。
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35/35Cloudマネジメントならぬ、Crowd(混雑)マネジメント。こじゃれたジョークだ。