「第13回 クラシックカーフェスティバル in 桐生」の会場から
2018.11.09 画像・写真2018年11月4日、群馬県桐生市にある群馬大学理工学部 桐生キャンパスにおいて「第13回 クラシックカーフェスティバル in 桐生」が開かれた。今や関東圏では質・量ともにトップクラスの旧車ミーティングであると同時に、桐生市あげてのお祭りとして多くの来場者を集めるこのイベント。今回の開場時間は午前9時30分だったが、正門前に入場待ちの来場者が集まりすぎて危険なため、開場を30分繰り上げたほどである。会場には1980年までに生産された国内外の車両という参加規定に沿った300台近くのクラシックカーが集結。車両展示のほか、桐生市内約40kmのコースをルートマップにしたがって走るラリー、子どもお絵描き大会などのおなじみとなったプログラムを実施。恒例となっている特別展示車両は、今年は平成最後の年であることから、日産ヘリテージコレクション収蔵の、今上天皇が皇太子時代に愛用した「プリンス・セダン」をフィーチャー。やはり日産ヘリテージコレクションの「ダットサン・ブルーバード1600SSS」のサファリラリー優勝車などと共に展示された。それらをはじめとするクラシックカーが所狭しと並び、約2万2000人の来場者でにぎわった会場から、リポーターの目に留まった参加車両を中心に紹介しよう。(文と写真=沼田 亨)
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1/33左から1968年「ディーノ206GT」、1970年&74年「ディーノ246GT」、そして1980年「フェラーリ308GTS」。後方には「アルファ・ロメオ・ジュリア ベルリーナ」や「フィアット500」が並ぶ。
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2/33会場入りする1967年「トヨタ2000GT」。新車以来の「品川5」ナンバーを持つ個体を譲り受けた現オーナーが、全バラにしてからボディーワークを除き独力でレストアしたという。
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3/331972年「トヨタ・ランドクルーザー」(FJ40)。「FJクルーザー」のモチーフにもなった、ランクルの歴史を代表するモデル。
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4/331974年「マツダ・ロータリーピックアップ」。13B型ロータリーエンジンを搭載した輸出専用車。
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5/331974年「ヴァンデン・プラ1500」。小さな高級車として知られる「ヴァンデン・プラ・プリンセス」(コードネームADO16)の後継モデル。プリンセスと同様にFF小型車の「オースチン・アレグロ」(ADO67)をベースにパルテノン風のグリルを付け、内装をウォルナットと本革で高級化。日本ではかなり珍しい。
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6/33約70台が参加したラリーは、午前10時に1968年「ディーノ206GT」を先頭にスタート。スターターは桐生市長の亀山豊文氏。
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7/33正門を出てラリーコースを行く1966年「アルファ・ロメオ・ジュリア スプリントGTヴェローチェ」。新車以来の「群5」ナンバーを付けた、親子で受け継がれた準ワンオーナー車。
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8/331957年「オースチンA35」。「ミニ」の前にオースチンのボトムラインを支えていた2ドアセダン。948cc直4のBMC Aタイプユニットを搭載。
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9/331960年「トヨペット・クラウン」。1.5リッターエンジンを搭載した初代クラウンの、最初のマイナーチェンジを受けたモデル。RS20の型式名を持つ、珍しいスタンダード仕様。
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10/33特別展示車両である、日産ヘリテージコレクション所蔵の1954年「プリンス・セダン」(AISH-2型)。初代「スカイライン」の前身となるモデルで、今上天皇が皇太子時代に自らステアリングを握って愛用された個体。そもそも「プリンス」のブランドネームは、陛下が皇太子であることを公に告げる儀式である立太子礼にちなんで命名された。その後も陛下のご成婚を記念してスカイラインの上級車に「グロリア」と命名したり、国産初の御料車となるリムジン「ロイヤル」を開発するなど、プリンスは皇室と縁の深いメーカーだった。
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11/33これらも特別展示車両。手前は「伊香保おもちゃと人形自動車博物館」館長の横田正弘氏が、今年のラリー・モンテカルロヒストリックに参戦した、1972年「ダットサン240Z(フェアレディ240Z)」。同年のモンテカルロラリーで3位に入賞した日産のワークスマシンのレプリカである。その隣は日産ヘリテージコレクションの収蔵車両である1970年「ダットサン・ブルーバード1600SSS」(P510)。同年の東アフリカ・サファリラリーで日本車初の総合優勝に輝いたマシン。
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12/33特別展示車両の2台のラリーカーつながりで、それらの近くにラリー仕様の参加車両が展示された。手前から1970年「三菱コルト ギャランAII」、1975年「三菱ランサー1600GSR」、1970年「三菱コルト ギャランAII」、そして1973年「トヨタ・セリカ1600GTV」。
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13/331970年「ダイハツ・フェロー バギィ」。アメリカ西海岸で流行していた、「フォルクスワーゲン・ビートル」のシャシーを流用したサンドバギー風のFRP製ボディーを、軽ボンネットトラック「フェロー ピックアップ」のシャシーに載せたモデル。1968年の東京モーターショーに参考出品され、1970年に100台限定で市販された。登録上は乗車定員2人、最大積載量150kgの軽トラックとなる。
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14/33「群5」のシングルナンバーを付けた1969年「マツダ・ルーチェ ロータリークーペ」。マツダのロータリーエンジンで唯一ローターハウジングが大きい13A型エンジンを積んだ、マツダ初にしてロータリーではこれっきりとなるFF車。大きさの違いがわかるよう、車両右側にその13A、左側に12Aのローターハウジングを展示していた。ちなみに10A、12A、13Bはローターハウジングの大きさは同じで、厚みを変えて排気量を増減。3ローターの20Bも13Bの個数を増やしている。
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15/331978年「日産シルビアLS」。S10の型式名を持つ2代目シルビア。そもそも日産で開発していたロータリーエンジン搭載車として企画されたが、ロータリー開発が中止されたため、レシプロエンジン搭載のスペシャルティーカーとして世に出たモデル。
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16/33通称ヨタハチこと1965年にデビューした「トヨタ・スポーツ800」。手前のシルバーと隣の赤は前期型で、ブルーメタは1968年のマイナーチェンジ以降の後期型。純正色は当初は赤とシルバーの2色で、後期型からブルーメタが加えられた。つまり純正色はこれら3色だったのである。
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17/331973年に登場した、オーバーフェンダーを純正装着したホットモデルである「日産チェリー クーペ1200X-1・R」が3台並んだ珍しい光景。カーゴルームでくつろいでいたオーナーのお嬢さんいわく「広いから遊んだり、いろんなことができるの」。当時の日産の広報マンが聞いたら泣いて喜びそうなコメントだが、実際に後席バックレストを倒すと、外観から想像するよりはるかに広いスペースが生まれる。
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18/331970年に登場した「トライアンフ1500」と思ったが、それと入れ替わりで1973年に出た「1500TC」かもしれない。TCとはツインキャブの略なので、たいした違いはないと思われるかもしれないが、実は大違い。1500はエンジン縦置きのFFだが、1500TCは同じボディーのまま駆動方式をFRに転換しているのだ。トランクリッドのエンブレムで両車は識別可能とのことだが、確認し忘れた。おまけにプログラムに掲載されていないという、取材者泣かせのクルマ。いずれにしても、相当なレア車であることは間違いない。
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19/331964年「フォード・サンダーバード」。クラシックなサンダーバードの中でも、日本では珍しい4代目。6.4リッター(390立方インチ)のV8エンジンを搭載。
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20/33これも珍しい1974年「オールズモビル98」。GMの今はなきディビジョンであるオールズモビルの最上級フルサイズセダン。全長5.9m、全幅2mのボディーに7.5リッター(455立方インチ)のV8エンジンを積む。
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21/331954年「ベントレーRタイプ サルーン」(左)と1956年「ロールス・ロイス・シルバークラウドI」(右)。2台の優雅なホワイトエレファント。
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22/331916年(大正5年)竣工の群馬大学工学部同窓記念会館をバックに並んだ3台のフレンチベルリーヌ。2台の1972年「シトロエンDS21」と1973年「プジョー504」。
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23/33ラリーの上位入賞者らが受賞した表彰式で、特別賞を授与された花井 覚さん。新車から乗り続けて車齡50年を迎えた1968年「ダットサン・サニークーペ」で毎年参加している花井さんは、今年でめでたく満100歳! さすがにご自分では運転されてなかったが、すこぶるお元気でそのお年には見えない。副賞として「『プリンス・セダン』の運転席に座る権利」も与えられた。
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24/33表彰式に続く閉会式終了後、参加車両は地元新聞社から配られた小旗を振るギャラリーに見送られ、パレード形式で退場する。1969年「ロータス・ヨーロッパS2」にJPSカラーの1974年「同スペシャル」が続く。
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25/33左ハンドル仕様の1965年「ホンダS600」を先頭に「MGミジェットMk2」「オースチン・ヒーレー・スプライトMk1」といったライトウェイトオープンスポーツが並んだ。
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26/33ギャラリーが笑顔で見送るのは、前出の花井 覚さんの初代「ダットサン・サニークーペ」。本人は助手席で、贈られた特別賞の盾を掲げている。
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27/33走行距離が12万kmを超えた、今も新車当時の状態をほぼ維持しているという、奇跡のようなコンディションの1970年「ダットサン・ブルーバード1800SSS」。
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28/33「練馬5」のシングルナンバーの付いた1967年式のモデルだが、果たしてなんでしょう? 答えは「クッバトスーァフTG0061トッレベ・ゞすい」(逆から読んで)。
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29/33往年のフランス車特有の、イエローバルブのヘッドライトをともした1971年「シムカ1200Sクーペ」。リアエンジンの「1000クーペ」の高性能版だが、ラジエーターをフロントに移設したため、一見したところではRR車に見えない。
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30/33マチレスの二輪用Vツイン990ccエンジンを前端に積んだ、1933年「モーガン・スリーホイーラー」。その名のとおり前二輪、後ろ一輪の三輪スポーツカー。後ろに続くのは1970年「マツダ・コスモスポーツ」。
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31/33軽三輪トラックの1968年「マツダK360」に小型三輪トラックの1963年「同T1500」が続く。いわばマツダの親子三輪トラックである。
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32/33これも非常に珍しい1970年「日産キャブオール バン」。キャブオールは「いすゞ・エルフ」や「トヨタ・ダイナ」などのライバルだった2t積み中心のキャブオーバートラックで、その3代目のバン仕様。
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33/331968年「ホンダTN360スノーラ」。後輪に雪上走行用のオプションであるクローラーを装着。オプション価格は前輪に履かせるスキーとセットで18万5000円だった。ちなみに車両価格は29万9000円だったから、その6割強に達する。