「JCCAクラシックカーフェスティバル Final ニューイヤーミーティング」の会場から
2019.01.31 画像・写真2019年1月27日、東京・江東区青海の特設会場で、「JCCAクラシックカーフェスティバル Final ニューイヤーミーティング」が開かれた。
1977年に初開催されて以来、今日まで継続開催されているものとしてはわが国で最も歴史の古い旧車イベントであるニューイヤーミーティング(NYM)だが、タイトルにFinalと銘打っているとおり、今回で四十余年の歴史に終止符を打つことになった。終了する理由は諸事情によりとのことだが、2003年以来会場としてきた、船の科学館近くの青海臨時駐車場が東京オリンピック開催準備のために、今春以降使えなくなってしまうことが大きい。
NYMに限らず「モータースポーツジャパン」や「D1グランプリ」など、ここを会場としていた自動車イベントの存続が危ぶまれているわけだが、それはさておき、参加資格はこれまでと変わりはなく、原則として1979年までに生産された車両およびその同型車(クラブスタンドは1989年まで)。展示のメインとなる個人による出展台数は166台。前々回の202台から一気に121台まで減ってしまった前回よりは盛り返したが、クラブスタンドの件数およびそこに並ぶ車両は減少。また前回まではフリーマーケット(個人による出店)、オートジャンブル(旧車関連ショップの出店)と分けられていた物販コーナーはショップブースとして統一されていた。全体としての印象は前回とほぼ変わらず、会場内の空きスペースがやけに目についた。
往時を知る身としては寂しい印象は否めなかったが、NYMがこうした状況になったいっぽうで、現在では全国各地で数え切れないほどの旧車イベントが開催されている。だが、わが国にそうした旧車イベント、ひいては旧車文化を広めるきっかけとなったのは、間違いなくNYMなのである。その功績は決して忘れてはならないし、感謝しなければいけないと思う。
(文と写真=沼田 亨)
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1/30時折冷たい風が吹くことはあったが、気温もさほど低くなく、好天に恵まれた会場。
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2/30新車以来の「埼5」ナンバーを付けた1969年「日産スカイライン1500デラックス」。通称“ハコスカ”こと3代目スカイラインの基本となるモデル。旧プリンス設計の1.5リッターSOHCクロスフロー直4エンジンを搭載。
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3/301979年「ダットサン・ブルーバード ハードトップ1800 G4」。型式名810こと5代目ブルーバードの後期型。1.6/1.8リッター直4エンジンを積んだ基本モデルに加え、ノーズを延ばして2リッター直6エンジンを積んだ「G6」という上級モデルが存在したが、これはそのG6のボディーに1.8リッター直4エンジンを積んだ、いわば見えっ張り仕様。非常に珍しい。
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4/301961年「三菱360ピックアップ」。三菱初となる軽四輪商用車の希少な初期型。三菱360は最初は「ライトバン」がデビュー、次いでこのピックアップが加わり、これらをベースとして翌1962年に三菱初の軽乗用車となる初代「ミニカ」が誕生した。空冷2ストローク2気筒エンジンを搭載、駆動方式はオーソドックスなFR。
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5/302台並んだ1969年「ダイハツ・フェロー」。水冷2ストローク2気筒エンジンをフロントに搭載、初代「ミニカ」と同様にオーソドックスに後輪を駆動するダイハツ初の軽乗用車。デビューは1966年で、日本車で初めて角形ヘッドライトを採用。水冷エンジンによる効きのいいヒーターがセリングポイントのひとつだった。
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6/301969年「ホンダ1300 77S」。熱烈な空冷エンジン信奉者だった本田宗一郎の肝いりで開発された、DDAC(二重空冷)という特殊な空冷エンジンを搭載する、ホンダ初の実用的な量産小型乗用車。この個体はワンオーナー車で、二十数年来の常連参加車両の一台。
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7/30三菱初のDOHCエンジン搭載車だった1971年「三菱コルト ギャランGTO-MR」(左端)をはじめとする「ギャランGTO」と「同FTO」。これらの並びもよく目にした風景だった。
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8/301974年「フォード・エスコートMk1エステート」。初代エスコートは旧車レースではよく見るが、ワゴンは珍しい。今回の数少ないニューカマーの一台。
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9/301966年「三菱2W400」。隣に並んでいる「メルセデス・ベンツ・ウニモグ」に倣った特殊作業車。数年前に同じ会場で見た覚えがある……と思って調べたところ、ひとまわり昔の2007年で、異なる個体だった。
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10/30ズラリと並んだ2代目と3代目の「スカイライン」。
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11/30かつては常連だったが、いつからか見かけなくなってい「エスプリ」と「ヨーロッパ」のロータス軍団が復活していた。
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12/30ここからはオーナーズクラブのクラブスタンド。「オースチン・ヒーレー・クラブ・オブ・ジャパン」は通称“カニ目”こと「オースチン・ヒーレー・スプライトMk1」を5台そろえた。
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13/30キャブレター車愛好家が集う「メカニカル・キャブ」のスタンドに展示されていた「いすゞ・ジェミニ1600LS」。マーシャルの角形ヘッドライト(ジェミニ用として販売されていたが、本来は「プジョー104」用)、「オペル・カデットGTE」用のドアミラー、カンパニョーロのアロイホイール(これは103E)は、往年のドレスアップジェミニの定番アイテム。
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14/30これも「メカニカル・キャブ」のスタンドから、1973年「ダットサン・キャブスター」。1968年に「キャブライト」の後継として登場した、トヨタの「トヨエース」の対抗馬となる小型キャブオーバートラック/ライトバン。
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15/304台の初代「日産セドリック」を展示した「初代セドリック友の会」から、2台の縦目の「バン」と横目の「エステートワゴン」。真ん中のバンは最初期となる1961年式で、加えて特注の寝台車仕様である。
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16/30「日産チェリー」の愛好者が集う「チェリークラブジャパン」。右の1971年「チェリー2ドアX-1」のオーナーであり、おそらく日本で唯一のチェリーを得意とするガレージである竹口自動車代表の竹口さんは、毎年、遠く広島から参加していた。
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17/30マツダのマイナー旧車乗りの集いという「マツダプレミアムコレクション」。手前の1983年「ファミリア5ドア1500XE」は、なんと走行3600kmという奇跡のコンディションのバーンファウンドもの。オーナーには申し訳ないが、もし前期型の赤い「3ドア1500XG」(いわゆる赤いファミリア)だったら……と思ってしまった。
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18/30長年クラブスタンドに出展している「ホンダN360エンジョイクラブ」。展示車両はN360がデビューした1967年の夏ごろに作られた、モノグレード時代の初期型。レストアされ、まるで新車のようなコンディション。
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19/30「ホンダS」シリーズの動態保存を目的に1976年に設立された、日本車のワンメイククラブの草分け的存在である「ホンダツインカムクラブ」。NYMにもクラブスタンドができた当初(はっきりとはわからないが30年くらい前?)からの皆勤賞である。これは「S600レーシング」のエンジン始動パフォーマンスに、ギャラリーが集まったところ。
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20/30「ホンダツインカムクラブ」と通路を挟んで向かい合っていた、こちらは2003年に設立された「ホンダS」シリーズのクラブである「エスで走ろう会」のスタンド。隣(奥)は「旧いシビックの輪」のスタンド。
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21/30毎年秋に群馬大学工学部 桐生キャンパスで開かれている「クラシックカーフェスティバル in 桐生」をプロデュースしている「ジャックヒストリックカークラブ」のスタンドに展示されていた1968年「ロータス・コーティナMk2」と1973年「トライアンフ1500TC」。コーティナには“FOR SALE”とあるが、「できれば売りたくない」気持ちが伝わってくる微妙な値付けだった。
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22/30「フォルクスワーゲン・カルマンギア」を愛好する「カルマニア」は1958年&1968年の「タイプ1」と1969年「タイプ3」の「カルマンギア・クーペ」を展示。
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23/30日本では絶滅危惧種となっているクラシックオペルを残すべく、近年になって設立された「日本オペル保存協会」。1971年「マンタSR」(左)と72年「レコルト クーペ」(右)という、今となっては超レアな70年代オペル2台を、どこから手に入れたのか旗まで掲げて展示。
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24/30これも老舗の常連クラブである「SP/SRオーナーズクラブ」。展示車両は1968年「ダットサン・スポーツ2000」(SRL311、日本名「フェアレディ2000」の北米仕様)のレーシング。1972年のSCCA(スポーツカー・クラブ・アメリカ)のDPクラスのチャンピオンマシンという。
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25/301960年代後半から80年代にかけてレースが行われた、軽自動車用エンジンを使った日本独自の単座レーシングカーであるFLを動態保存している「FLレーシングクラブ」のスタンド。
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26/30基本的に1960年代に製造された、空力付加物をもたない葉巻型のFJ、F3、F2などのレースを実施している「ヒストリックフォーミュラレジスター」のスタンド。マシンはロータス、ブラバム、クーパーなど英国製が中心。
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27/3079店が出店したショップブースの光景。
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28/30ショップブースで見かけた「ダイハツ・ミゼット」のティントイ。手前のバーハンドル仕様の郵便車は、幼い頃に持っていた記憶がある。そういえば、これの実車もかつてこの会場に出展されたことがあったような? それとも丸ハンドル仕様だったか?
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29/30コンクールデレガンスの表彰式。今回はテーマカーは設定されず、エントリー全車両が対象で、5台が選ばれた。
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30/30短い冬の日が西に傾きはじめ、そろそろ閉会式。NYMが四十余年の歴史に幕を降ろす直前の風景。3台の「イセッタ」が並んでいるのは、「バブルカークラブ」のクラブスタンド。