「トヨタの電動車普及チャレンジ」説明会の会場から
2019.06.07 画像・写真トヨタ自動車は2019年6月7日、電気自動車(EV)の普及に向けた取り組みについて、東京都内で説明会を開催し、その進捗(しんちょく)状況を報告した。
同社によれば、電動車の中でも特にニーズが高まっているEVの普及については、車体の開発はもちろん、動力源となる電池の安定供給や耐久性の向上、使用後の再利用まで視野に入れた“EVビジネスモデル”を構築する必要があるという。そのほか、どのような課題をクリアする必要があるのか。記者会見の模様をリポートする。
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1/15電動車普及への取り組みについて説明する、トヨタ自動車の寺師茂樹副社長。EVについては、2020年に中国市場に自社開発の量産モデルを投入したあと、日本、インド、米国、欧州などでもトヨタ・レクサス両ブランドでラインナップを拡大。2020年代の前半には、10車種以上を展開すると意気込む。
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2/15トヨタの電動車のコア技術を説明するスライド資料。さまざまな技術を有するトヨタをもってしても「EVビジネスが成り立つかどうかはわからない」。資料の右下に見られるように、「EVの使用を前提としたMaaS(Mobility as a Service)が浸透するなど、社会の条件が大きく変わってようやく、やっていけるかどうかというレベルにある」などと、プロジェクトとしての難しさが語られた。
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3/15電動車普及の動きは年々加速しており、2017年12月に設定した「2030年にEVとFCVは計100万台以上、ハイブリッド車やPHVは計450万台以上生産する」という目標は、5年早い2025年には達成できる見込みという。
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4/15こちらは、現在の主なEV市場を示すグラフ。ご覧の通り中国が圧倒的で、世界の過半数を占めている。図中に示されているように、その販売台数には購入補助金をはじめとする各国の優遇策が大きく影響している。
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5/15トヨタでは、EVについては通常の販売だけでなく、電池の回収率を高める車両のリースやバッテリーの再利用にも取り組み、「エネルギーや資材を使い切る」ためのビジネスモデルを構築する必要があると考えている。その皮切りとなるのは日本市場であり、ユーザーからは超小型EVの展開が期待されているという。
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6/15発表会の会場に展示された「トヨタi RIDE」。2017年の東京モーターショーに出展されたコンセプトカーで、「長い距離は乗らない」「1人または2人で使う」「駐車場に困らないサイズが理想」といったユーザーニーズに合致するよう開発されている。
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7/15前出の「トヨタi RIDE」をベースに開発が進められている市販予定車のイメージ。今回の会場に試作車は展示されなかったが、2020年には発売される見通しだ。ボディーサイズは全長×全幅×全高=2500×1300×1500mm。最高速度は60km/hで、一充電あたりの航続可能距離は約100kmが目標とされている。
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8/15こちらも同じく「トヨタi RIDE」から発展した、商用コンセプトモデル。想定されるスペックは明らかにされていないものの、さまざまな用途に使えそうな広々としたキャビンが目を引く。
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9/15発表会では、“歩行”の領域をカバーする1人乗りのEVも3種類紹介された。写真左から、2021年に発売を予定している「車いす連結タイプ」(航続距離:約20km、充電時間:2.5時間)と、「座り乗りタイプ」(同約10km、同2時間)、そして2020年に発売予定の「立ち乗りタイプ」(同約14km、同2.5時間)。いずれも搭載バッテリーの交換は可能となっている。
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10/15「立ち乗りタイプ」については、会場でデモ走行も行われた。音もなく走る同モデルの全高は1200mm。最高速度は2、4、6、10km/hの4段階に切り替えられる。
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11/15一方グローバルでのEV展開については、中国をはじめとする需要の高い市場での普及を視野に、効率的な車両開発を行っていくという。すでに共同企画を発表しているスバルやダイハツ、スズキと同様、各カテゴリーで強みを見せるブランドをパートナーに選び、全6種類のEVを開発する計画だ。
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12/15スバルと共同で展開する「e-TNGA」の概念図。モーターとアクスルの位置は固定する一方でホイールベースや前後オーバーハングは可変式とし、さまざまなモデルバリエーションが展開できる。スバルとの協業においては、モーターやパワーコントロールユニット(PCU)を含む専用のEVユニットも共同開発される。
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13/15「e-TNGA」を採用することで、可変型シャシーのさまざまな車種展開が可能になる、というモックアップ。ボディーサイズとしては、写真左から「シエンタ」クラス、「RAV4」クラス、「カムリ」クラス、「ハイランダー」クラスとなっている。
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14/15「e-TNGA」の採用を想定した、「ハイランダー」クラスのEV。スバルと共同で開発される電気自動車のSUVは、このようなデザインになるのかもしれない。
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15/15「環境性能に優れる電動車は、社会に普及して初めて役に立つ」と主張するトヨタ。そのためにも、中国電池大手のCATLや日本のパナソニックを含む世界のバッテリーメーカーと提携するなどして、“量”と“質”を追求していくという。