「BP東京ノスタルジックカーショー」開催
2011.05.31 画像・写真2011年5月28日、29日、東京・江東区の東京ビッグサイトで、恒例となった「BP東京ノスタルジックカーショー2011」が開かれた。本来、このショーはショップ主体の旧車の展示即売会だが、今回は本年1月に亡くなった「スカイラインの父」と呼ばれる名設計者の桜井眞一郎氏を追悼した特別展を中心に構成され、展示車両もスカイラインが多かった。出展車両の中から、リポーターの印象に残ったモデルを紹介しよう。(文と写真=沼田 亨)

追悼スペシャル企画「桜井眞一郎の世界展」のメイン展示は、彼が手がけたプリンス/日産のレーシングマシン。手前から1966年の第3回日本グランプリ優勝車である「プリンスR380-A-I」(2リッター直6DOHC24バルブ)、その発展型で67年に国際速度記録を樹立した「日産R380-A-II 改」、68年日本グランプリ優勝車の「日産R381」(シボレー製5.5リッターV8OHV)、69年日本グランプリ優勝車の「日産R382」(6リッターV12DOHC48バルブ)。このほか、開催中止となった70年日本グランプリ用に開発された「日産R383」も飾られていた。
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追悼スペシャル企画「桜井眞一郎の世界展」のメイン展示は、彼が手がけたプリンス/日産のレーシングマシン。手前から1966年の第3回日本グランプリ優勝車である「プリンスR380-A-I」(2リッター直6DOHC24バルブ)、その発展型で67年に国際速度記録を樹立した「日産R380-A-II 改」、68年日本グランプリ優勝車の「日産R381」(シボレー製5.5リッターV8OHV)、69年日本グランプリ優勝車の「日産R382」(6リッターV12DOHC48バルブ)。このほか、開催中止となった70年日本グランプリ用に開発された「日産R383」も飾られていた。
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「桜井眞一郎の世界展」より。手前から、レースで通算50数勝を挙げ、スカイライン伝説最大の担い手となった通称「ハコスカ」の「2000GT-R」(PGC10)が初優勝を飾った、1969年JAF GP仕様のレプリカ。72年の東京モーターショーにイメージモデルとして出展されたものの、実戦には出走しなかった「ケンメリ」の「ハードトップ2000GT-R」(KPGC110)、「鉄仮面」こと「2000RSターボC」のイメージをまとい、83年の「富士スーパーシルエット」シリーズで5勝を挙げた「トミカ・スカイライン・スーパーシルエット」(KDR30)。これらマシンのほか、彼が残した業績をたどった貴重な歴史写真や資料も多数展示されていた。
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「ノーチラススポーツ」が桜井眞一郎氏公認のもとに製作中の「プリンスR380」レプリカ。ホンモノ同様の鋼管スペースフレームにアルミ叩き出しのボディをかぶせ、エンジンは日産製直6DOHC2.5リッターの「RB25DE」を搭載する予定という。
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1972年式「スカイライン・ハードトップ2000GT-R」(KPGC10)のボンネットに、その下におさまる「R380」譲りの「S20」エンジン(直6DOHC24バルブ2リッター)を描いているのは、エアブラシのスペシャリスト「WEST」の塩澤徹哉氏。下書きから仕上げまで、すべて参考写真を見ながらの手作業で、メーカーズプレートの文字まで100%エアブラシで描いていた。作品の緻密さと正確さ、そしてショー会場の喧騒(けんそう)にも乱されない集中力には脱帽するしかない。
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その「S20」エンジンをおさめたハコスカのセダンとハードトップの「2000GT-R」(PGC10/KPGC10)の販売車両がズラリと並べられていた。手前の1台の価格は898万円だが、これで驚いてはいけない。数年前には新車価格(154万円)の10倍、1500万円の正札がついた売り物も存在していたのから。
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一般ユーザーから募集した「桜井眞一郎杯 スカイライン大賞コンテスト」には、2代目「S50」系から10代目「R34」系までの17台が参加した。
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この世界では、さほど珍しくないハコスカの「ハードトップ2000GT-R」(KPGC10)のワークスカーのレプリカ……と思って通り過ぎようとしたところ、かすかに違和感を覚えた。なんとノーズを延ばして直6エンジンを積んだハードトップGT系(KGC10)ではなく、マニアの間では「ショートノーズ」と呼ばれる直4エンジンを積んだ「ハードトップ1800」(KPC10)をGT-Rレーシング風に仕立てていたのだ。「プリンス・ファクトリー」の出展だが、こういう遊び心は大歓迎。
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「GT-Rレーシング仕様ハードトップ1800」のエンジンルーム。旧プリンス系の設計になるSOHCクロスフロー・ヘミヘッドの「G18」エンジンを、それをスケールアップした初代/2代目「ローレル」用の「G20」に換装。さらに2.1リッターまで拡大し、加工カム、ビッグバルブやFCRキャブ、オリジナルのタコ足などでチューン。ミッションは5段でLSDを入れ、もちろん足まわりも固めてある。鼻先が軽いので、ツイスティなコースでは「GT-R」より速いのでは?
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「GT-Rレーシング仕様ハードトップ1800」(写真上)と「GT-Rレーシング・レプリカ」(写真下、方向をそろえるため画像を左右反転させてある)との比較図。角度や縮尺は厳密にそろえていないので、あくまで参考だが、ノーズの長さがこれだけ違う。ちなみにスペックでは、「ハードトップ1800」のほうがホイールベースで150mm、全長で195mm短い。
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「プリンス・ファクトリー」の、ハコスカのバン。1968年式「スカイライン1500バン・デラックス」をベースに外装をスタンダード仕様にダウングレードし、エンジンはSUツインキャブ仕様の「G20」2リッターに換装。通称ベンコラことベンチシートにコラムシフト仕様だが、ギアボックスはオリジナルの3段から4段に替えられている。ホイールは珍しいRSワタナベの4スポーク。このシブさ加減は、ハコスカ好きでもかなりの上級者向けと見た。
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1970年にデビューした日産初のFF車である「チェリー」の、高性能グレードである71年式「X-1」。その走りっぷりから日本では「プアマンズ・ミニクーパー」の異名をとったが、個人的にはミニよりこちらのほうが魅力を感じる。「アイライン・ウィンドウ」と呼ばれる、当時流行の後端が切れ上がったウィンドウ・グラフィックスが特徴。チェリーの開発はスカイラインと同様に旧プリンス系のスタッフが担当したため、顔つきにはハコスカに通じるものがある。初代「チェリー」を得意とする広島の「竹口自動車」のデモカー。
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「チェリーX-1」は、OHVながらよく回ることでは定評のあった「サニー」用1.2リッターの「A12」エンジンを横向きに搭載。この個体はキャブレターをオリジナルのSUツインからFCRに替えるなどしてスープアップ。かつて高性能キャブの定番だったソレックスに比べ、FCRは3000〜5000rpm前後のトルクが大きくて乗りやすいという。オイルクーラー、車高調サスやストラットタワーバーは、もちろんノン・スタンダード。
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1971年に追加された初代「チェリー・クーペ」は、テールゲートを備えたスポーツワゴン風のモデルだった。この個体はオーバーフェンダーによりハードな足まわりを持つ最強モデルの74年式「クーペX-1・R」。若き日の星野一義は、これのワークス仕様を駆って名を上げた。円形のテールランプは、スカイラインの血を引く証しである。
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1971年式「フォード・マスタング BOSS351」。歴代でもっとも大柄だった71年から73年までの通称「ビッグ・マスタング」。「BOSS351」はスポーツルーフと呼ばれるファストバックボディに、NASCARのホモロゲーション取得用に作られた330hpを発生する351立方インチ(5.7リッター)のV8を積んだモデルで、生産台数は1806台のみ。「ポモナオート」が出展したこの個体は498万円ナリ。
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「シェルビージャパン」が出展していた「シェルビー・コブラ・デイトナ・クーペ」。1965年にフェラーリを破って世界耐久選手権GTクラスのチャンピオンを獲得したオリジナルの生産台数はわずか6台と伝えられているが、これは最近の再生産モデル。グラマラスで超カッチョイイが、新車価格は1580万円と意外にリーズナブル。それでも買えないけど。
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「シェルビー・コブラ・デイトナ・クーペ」のエンジンは、フォードと縁の深いチューナー/レーシングカー・コンストラクターの「ROUSH」が手がけたV8OHV。351(5.7リッター)を427(7リッター)まで拡大し、550hpを発生するという。ちなみに車重は約1.3トン。1トン強のオリジナルに比べたら重いとはいえ、427の鬼トルクによる加速は強烈に違いない。
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ショーの常連出展者であるスーパーカー専門店「キャステルオート」の「フェラーリ365GT BB」。シルバーブルーのペイントがとても上品で似合っている。好みの問題だが、リポーターの目には赤よりもはるかに魅力的に映った。
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このショーではすっかりおなじみとなったアトラクションである「キャステルオート」によるスーパーカーのサウンドパフォーマンス。「フェラーリ512BB」と「ランボルギーニ・ミウラ」の12気筒対決の巻より。
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オーバーレストアとも思えるほどの輝きを放っていた1955年式「ダイハツSCE型三輪トラック」改消防車。長野県丸子町(現・上田市)で96年に操業を停止した旧カネボウ丸子工場に配備されていた消防車両で、99年に丸子町に寄贈された後、2009年に上田市の地域活性化のためのプロジェクトとしてレストアされたのだという。もともと構内作業車だったために走行距離は約1500kmと少なく、レストア前のコンディションも比較的良好だった。現在は走行、放水ともに問題なし。
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バーハンドル、エンジンをまたいで乗る感覚は、ほとんど二輪と同じ。エンジンは空冷90度VツインSV(サイドバルブ)の1135ccで、最高出力26ps。