旧車イベント「土浦 昭和のくるま大集合 Vol.8」(後編)
2011.04.27 画像・写真2011年4月24日、茨城県土浦市の「新治ショッピングセンター さん・あぴお」の駐車場で、旧車イベント「土浦 昭和のくるま大集合 Vol.8」が開かれた。
東日本大震災の影響により、クルマ関係イベントは、中止や延期が相次いでいる。このイベントも実施すべきかどうか主催者は悩んだそうだが、「スタッフおよび会場は直接的な被害を受けてないのだから、被災地へのチャリティ活動も加味して元気にやろう!」という結論に達したのだという。
その思いは参加者も同じだったようで、当日は昨年の170台には及ばなかったものの、約160台の旧車が集合。好天に恵まれた会場は活況を呈していた。ちなみに参加規定は、タイトルに「昭和のくるま」とあるとおり、1985年頃までに生産されたクルマならば生産国、種類、二輪/三輪/四輪の別を問わないというゆるやかなもの。記者のもっとも好きな“ごった煮”的なイベントで、文字どおりバラエティに富んだ車種が集まった。その中から、印象に残ったモデルを紹介しよう。(文と写真=沼田 亨) (前編はこちら)

1971年「アルファ・ロメオGT1300ジュニア」。ジウジアーロの傑作のひとつに数えられる「ジュリア」のクーペは、今なお高い人気を誇る。1967年以降のこの顔つきは、通称「段付き」と呼ばれる初期型に対して「フラットノーズ」と呼ばれるが、とくにシングルヘッドライトだとシンプルでカッコイイ。
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1971年「アルファ・ロメオGT1300ジュニア」。ジウジアーロの傑作のひとつに数えられる「ジュリア」のクーペは、今なお高い人気を誇る。1967年以降のこの顔つきは、通称「段付き」と呼ばれる初期型に対して「フラットノーズ」と呼ばれるが、とくにシングルヘッドライトだとシンプルでカッコイイ。
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1966年「いすゞベレット1600GT」。通称「ベレG」ことベレットGTは1964年から1973年まで10年近くの間造られ、仕様は数多いが、この個体は大ざっぱに言って3型。アルファの「ジュリア クーペ」にどことなく雰囲気が似ているが、デビューはほぼ同時期なので、決してまねをしたわけではない。
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1962年「トライアンフTR4」。TRとは「トライアンフ・ロードスター」の頭文字で、ミケロッティによる独特な寄り目スタイルが印象的な「MG B」のライバルである。「サリートップ」と呼ばれる、ポルシェでいうところのタルガトップのような着脱式トップを備えた仕様と思いきや、ちょっと違う……。
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サリートップの着脱部分をFRPで作り直し、Tバールーフに改造していた。「サリートップより簡単に着脱できるし、外した部分をトランクにしまえるので便利」とオーナーは語っていたが、アイデア賞ものだ。
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なかなかの人気者だった1981年「デロリアン」。独特のヘアライン仕上げのステンレス製ボディをピカピカに磨いて参加したオーナーは、ギャラリーの気持ちをくんで、ずっとガルウイングドアとエンジンフードを開け放っていた。エンジンはPRV(プジョー・ルノー・ボルボ)の2.8リッターV6である。
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1976年「ジャガーXJ6Lシリーズ2」。今見ると低くて、スリークで、とってもカッコイイ初代「XJ6」。とくにこの「シリーズ2」まではルーフの後端がクーペのように低いため、その感が強い。フェンダーミラーは正規輸入車の証しである。まるで新車のような輝きの秘訣(ひけつ)は、オーナーによれば「フクピカで磨くこと」だそう。
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1972年「スズキ・フロンテ クーペGX」。ジウジアーロのデザインといわれることが多いが、実際には彼の手になるシティコミューターのプロポーザルをベースにスズキがクーペに仕立てたものだ。それはともかく、よく回る水冷2ストローク3気筒エンジンをリアに搭載、ゴーカートのように軽快で楽しいマイクロスポーツである。
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1972年「スバルR-2スーパーL」。2ストローク2気筒エンジンを水冷化した「R-2」の最後期の上級グレード。シンプルでかわいらしかったR-2本来の顔つきを崩してしまった大げさなグリルは、出た当時は嫌いだったが、今見るとバルタン星人のようで、これはこれで味があるかも。
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1967年「ダイハツ・ハイゼットキャブ ライトバン」。現役の軽トラ/ライトバンであるハイゼットの祖先。そもそもハイゼットは1960年に軽ボンネットトラックとして誕生し、1964年に写真のキャブオーバータイプが加わった。エンジンは2ストローク2気筒360ccだが、他に先駆けて水冷化されていた。いまにもしゃべりだしそうな顔つきだ。
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1967年「スバル・サンバー トラック」。ベースとなった「スバル360」以来の伝統であるリアエンジンと四輪独立懸架を今日まで守り続けているサンバー。初代は1961年の誕生で、これは1966年に登場した2代目。同時代の、同じキャブオーバーの軽トラでも、隣にいる「ハイゼットキャブ」に比べ重心が低い。RRならではの特徴だろう。
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1973年「バモスホンダ-2」。軽トラックの「TN360」をベースとしたユニークな多用途車。「バモス」の名は10余年前に軽ワンボックスとして復活したが、あちらは「ホンダ・バモス」で、こちらは「バモスホンダ」である。車名のあとの「2」は2人乗りを表し、4人乗りだと「バモスホンダ-4」、荷台すべてを幌で覆うタイプ(4人乗り)が「バモスホンダ-フルホロ」となる。
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1970年「ダットサン・サニーキャブ トラック」。1リッターエンジンをはじめ初代サニーのメカニカルコンポーネンツを流用したキャブオーバー商用車で、現在の「バネット」のルーツ。荷台に載っているのは農薬散布用のラジコンヘリコプターで、「電波法の改正により今は飛ばせないが、オブジェとして積んできた」とのこと。
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1975年「スズキRE-5」。数台が参加した二輪の中に、世界で唯一のロータリーエンジン搭載車の姿があった。スズキが輸出用として1974年から2年間に6000台ほど作ったRE-5で、497ccのシングルローターエンジンを積んでいる。デザインはスズキと縁の深いジウジアーロだが、彼の才能が発揮されたとは言いがたい。
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スズキRE-5の「茶筒」と俗称された、特徴的な円筒形のメーターナセル。大きく丸いウインカーとともに、スズキの地元である静岡の二大特産物である「茶」と「みかん」をモチーフにしたのでは? などと一部ではまことしやかにささやかれたが……。
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ゲストによる特別展示車両の1952年「アーノルトMG」。ボディはイタリア、中身はイギリス、資本と販売はアメリカという3カ国分業企画のスポーツカーで、直4OHV1250ccエンジンを積んだ「MG TD」のシャシーにベルトーネ製ボディを載せている。ボディはこのクーペのほかにコンバーチブルがあり、双方で100台強が作られたという。
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新車からの「品川5」のシングルナンバーを付けた特別展示車両の1968年「トヨタ2000GT」。フェンダー上のドライビングランプはもちろんノン・オリジナルで、走り主体のヒストリックイベント用に装着したものという。
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特別展示車両の1970年「日産フェアレディZ432-R」。初代「S30Z」に「スカイライン2000GT-R」用のS20エンジンを積んだZ432の競技用ベースモデル。標準の0.8mmに対して0.6mmの薄い鋼板を使ったボディパネル、FRP製ボンネット、フロント以外のウィンドウをアクリルに替えるなどして軽量化。生産台数30〜50台といわれるが、作ったもののさばけず、ノーマルのZ432に戻して販売されたものも少なくないという。
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「Z432-R」のインテリア。この個体はドア内張やフロアマットが外されているが、純正の状態でも快適装備はすべて省かれていた。イグニッションキーがフロアトンネル上にあるのに注目。FRP製フレームを使ったバケットシートやフルハーネスのシートベルトも専用品で、ステアリングホイールはオプションのマッハ製。
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大勢のギャラリーに囲まれているのは、特別展示車両の1926年「ブガッティT35T」。「カーグラフィックTV」の旧オープニングに登場した、あの個体そのものである。オープニングでおなじみのエンジン始動の儀式をライブで行い、喝采を浴びた。ちなみに1926年といえば、年始から12月25日までが「大正15年」、そこから31日までが「昭和元年」だった年。よって、これもギリギリセーフで「昭和のくるま」になるのかも。
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約160台が参加した会場全景。