クラシックカーイベント「第30回 コッパ ディ小海」の会場から
2021.04.28 画像・写真2021年4月24日、25日、長野県南佐久郡小海町にある小海リゾートシティー・リエックスをベースとして、クラシックカーイベント「第30回 コッパ ディ小海」が開かれた。今では数多くの類似したクラシックイベントが開催されているが、その先がけとなるコッパ ディ小海。1991年に始まり、新型コロナ禍によって中止された昨2020年を除いて毎年開催され、今回で30回目の節目を迎えた。
その記念すべき開催となる今回の参加車両は、1920年代から90年代までの約80台。プログラムは初日が風光明媚(めいび)な八ケ岳周辺の全行程約226kmのコースをドライブし、途中4カ所でPC競技(決められた区間を指定時間にいかに近く走れるかを100分の1秒単位で競う)を行うレギュラリティーラリー、2日目は小海リエックスの敷地内(私道)で走行タイムを競うヒルクライムである。
初日は抜群のイベント日和、2日目もまずまずの天候に恵まれた会場周辺から、参加車両を中心にリポートしよう。
(文と写真=沼田 亨)
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1/40スタート/ゴール地点である小海リエックスの駐車場に並んだ約80台の参加車両の一部。
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2/40小海リエックスホテルのロビーに展示されたイベントポスターの原画。左から第10回(2000年)、第15回(2005年)、第20回(2010年)、第25回(2015年)、そして第30回(2021年)。
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3/40初日の午前10時、約226kmのコースに向かってカーナンバー(ゼッケン)順にスタート。カーナンバー6は1947年「ナルディ・ダネーゼ」。ステアリングホイールで有名なナルディが手がけたスポーツカーで、BMWの二輪用750cc空冷フラットツインを搭載。
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4/401950年「シアタ・アミカ」。シアタはフィアットベースのスペシャルをつくっていたメイクで、これは“トッポリーノ”の愛称で呼ばれる「フィアット500B」をベースとする愛らしいコンバーチブル。
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5/40ギャラリーが連なる“花道”を抜けていく、ダブルバブルのルーフが特徴的な1957年「フィアット・アバルト750GTザガート」。
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6/40まるで弁当箱のようにボクシーな「フィアット124」。ごくオーソドックスな設計ながらバランスがとれたサルーンとして高評価を得て、1967年の欧州カー・オブ・ザ・イヤーを獲得した。
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7/40小海リエックスの敷地を出て、シラカバ林の中を行く1974年「アルピーヌA110」。
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8/401954年「トライアンフTR2」。「Triumph Roadster」の頭文字であるTRシリーズの最初の市販型。2リッター直4 OHVエンジンを積む。
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9/40初日のレギュラリティーラリーで2位に入った1973年「ケータハム・スーパーセブン1600GT」。
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10/40今回のエントリー車両のなかで最も古かった1927年式「ブガッティT35B」。
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11/40レーシングスクリーンがカッコいい、通称カニ目こと1961年「オースチン・ヒーレー スプライトMk1」。
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12/40エントリーリストにあった「ディーノ246GT」に代えて「ロータス・エランDHC S3」で参加したカーナンバー24。初日のレギュラリティーラリーで見事優勝した。
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13/401941年「フィアット500Aテスタ マリノ」。この顔つきから、赤塚不二夫のマンガ『もーれつア太郎』に出てくるキャラクター“べし”を連想するのは私だけ?
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14/401947年「チシタリア202SC」。MoMA(ニューヨーク近代美術館)に永久保存されていることで知られるイタリアンスポーツ。前後フェンダーがボディーと一体化したフラッシュサイドを世界に先がけて採用したボディーはピニンファリーナが担当。
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15/40日本に存在する最も古いフェラーリの1台である、トゥーリング製ボディーを持つ1949年「フェラーリ166インター」。2リッターV12エンジンは軽やかで上品なサウンドを響かせていた。
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16/401960年「アルファ・ロメオ・ジュリエッタ スパイダー」。これもボディーはピニンファリーナ製。
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17/401966年「ジャガーEタイプ Sr.1 4.2 FHC」。Eタイプは2021年に誕生60周年を迎えたが、これは当時のインポーターである新東洋企業の正規輸入車で、しかも英国仕様の右ハンドルという希少車。2日目のヒルクライムで総合トップタイムを記録、Gクラス(1966~72年)で優勝した。
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18/40レーシング風のモディファイが施された1968年「MGC GT」。「MGB GT」のボディーに「オースチン・ヒーレー3000」と同じ2.9リッター直6 OHVエンジンを積んだモデル。
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19/401934年「フィアット508Sバリッラ・スポルト」。上品なツートンカラーが似合う戦前の小型スポーツカーの傑作。
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20/401970年「スバルff-1 1300Gスポーツセダン」。いつもは「シトロエンSM」で参加しているオーナー氏いわく「シトロエンとスバルが好きなんです」。
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21/40「『ACエース』? でも違うな」と思ったら、1954年「スワロー・ドレッティ」という希少車とのこと。独自のフレームにアルミボディーを架装し、パワートレインなどのメカニカルコンポーネンツは「トライアンフTR2」から流用。
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22/40女性ペアがドライブした1991年「マセラティ・スパイダー ザガート」。もともとザガートでボディーを製造していた「ビトゥルボ スパイダー」が、マイナーチェンジに際して車名にザガートを冠した。
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23/40ノーマルの外装を維持した型式名AE86こと「トヨタ・カローラ レビン/スプリンター トレノ1600GT」のクラブ“NW86”(NWはNormal Wheelの頭文字)から参加した3台。年式もそれぞれカーナンバーと同じ(19)85、86および87年式とか。
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24/40200km以上を走破して小海リエックスに戻ってきた1939年「HRG 1500」。HRGは1936年から56年まで存在したイギリスのスポーツカーメイク。
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25/40レザートップと呼ばれるビニールレザー張りルーフを持つ1969年「マツダ・コスモスポーツ」。レギュラリティーラリーで3位に入賞した。
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26/40小海リエックス内における最後(4つ目)のPC競技に臨む参加車両。先頭は1936年「フィアット508シアタ」。
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27/40PC競技中の1963年「ポルシェ356Cカブリオレ」。1948年に誕生した356シリーズの最終モデル。2日目のヒルクライムで、Fクラス(1954~65年のスポーツカー)で優勝した。
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28/40PC競技で最後の“線踏み”(コード状の計測センサーをタイヤで踏むことからそう呼ばれる)を終えた1947年「MG TC」。ヒルクライムのクラスC(1941~53年の1000cc以上)で優勝を果たした。
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29/40これも最後の線踏みを終えた直後の1947年「チシタリア202SCカブリオレ」。14枚目の写真で紹介したMoMA保存車両のオープン版。
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30/40初日の全行程を終え、ゴールインした1962年「フィアット1100ベルリーナ」。写真左端でフィニッシュ車両を迎えるのは、コッパ ディ小海を30年にわたって企画・運営してきた岡田邦雄氏。
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31/402日目に小海リエックスの敷地内で行われたヒルクライム。参加車両は年式やタイプによって8クラスに分けられるが、スタート順は任意。まさにスタートしようとしているのは、クラスE(1958~70年の4シーター車)で2位となった1970年「トライアンフ・ヴィテス2リッター Mk2」。
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32/40スタートして最初のコーナーを駆け下りる1964年「ルノー・ドーフィン ゴルディーニ」。クラスEで3位入賞。
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33/401953年「DBパナール」。小型実用車の「パナール・ディナ」から空冷フラットツインによるFFパワートレインを流用したフレンチスポーツ。
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34/401950年「シアタ750MM」。自社開発の750cc直4 DOHCエンジンを積んだレーシングスポーツ。クラスB(1941~53年の1000cc未満)で優勝。
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35/401963年「フィアット・アバルト1000ビアルベロ」。このアングルからは分からないが、ダックテールのリアスタイルが特徴。ビアルベロとはイタリア語で“ツインカム”の意味。
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36/401966年「シムカ1000クーペ」。リアエンジンの仏製小型セダンである「シムカ1000」のシャシーにベルトーネ時代のジウジアーロが手がけたボディーを載せた小粋なクーペ。インポーターだった国際興業による正規輸入車という。
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37/40世界初の市販ミドシップスポーツである1964年「ルネ・ボネ・ジェット」。路面のギャップを越えた勢いで左前輪を浮かせている。クラスD(1955~67年の「ダブルバブル」「ジェット」「CD」および「スプリジェット」)で優勝。
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38/401977年「フィアット131アバルト ラリー」。1977、78、80年とWRC(世界ラリー選手権)のメイクスタイトルを3度獲得したマシンのホモロゲーションモデル。クラスH(1977年以降)で2位に入った。
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39/40ヒルクライムコースに設けられていたシケインを抜けていく1964年「ポルシェ356SCクーペ」。
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40/40オーバーフェンダー装着など大胆なモディファイが施された1971年「アルピーヌA110」。