「第64回SHCC大磯ミーティング」の会場から
2021.06.04 画像・写真2021年5月30日、神奈川県大磯町の大磯ロングビーチで、湘南ヒストリックカークラブ(SHCC)主催の「第64回SHCC大磯ミーティング」が開かれた。1980年代後半に始まったこのミーティングは、駐車場内の特設コースで行われるタイムトライアル(ジムカーナ)を中心とするもので、初夏と秋の年2回開催されている。出場資格は1969年までに生産された車両およびレプリカを含む同型車、そして主催者が認めた車両で、排気量やチューニング度合いなどによって9つのクラスに分けられ、午前と午後の2回タイムトライアルを行い、ベストタイムを競った。
今回の参戦車両は約80台といつもよりやや少なかったが、会場にはそれらとは別に100台近いクラシックカーが展示された。これは「熱海HISTORICA G.P.」や「谷保天満宮旧車祭」などのイベントを主催しているオートモビル・クラブ・ジャパン(ACJ)、およびクラシックロータスのスペシャリストであるテクニカルショップ・ハッピーとのコラボレーションによるもので、ギャラリーはもちろん、参加ドライバーや関係者も大いに楽しませた。
近年ではレジェンドドライバーらをスペシャルゲストとして招聘(しょうへい)することがほぼ恒例化しているが、今回は「ガンさん」こと黒澤元治氏が初来場。「日産R382」を駆っての1969年日本グランプリ優勝をはじめレーシングドライバーとして活躍した後に自動車評論家に転身、ブリヂストンの高性能タイヤ「ポテンザ」や初代「ホンダNSX」などの開発ドライバーとしても高名である。そのガンさんは、オープニングでスピーチした後にデモランを披露した。
多くのクラシックカーが集まり、好天にも恵まれて大盛況だった会場から、出走車両を中心に紹介しよう。
(文と写真=沼田 亨)
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1/40好天に恵まれた大磯ロングビーチ駐車場に集まった参加車両。
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2/40テクニカルショップ・ハッピーによる、赤と金のゴールドリーフカラーをまとった展示車両。手前から往年のF2マシン「ロータス59」と、同じロータスの「ヨーロッパ」と「エラン」。ロータス59はデモランも行った。
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3/40オートモビル・クラブ・ジャパン(ACJ)会員の車両のなかには、こんなモデルも。ほぼ前後対称でドアは前後にあり、前後シートは背中合わせという1957年「ツェンダップ・ヤヌス」。以前のボディーカラーはブルーだったが、最近、ドアとルーフ(部分)を白く塗ってツートンカラーとなった。
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4/40これもACJ会員の車両である1969年「ランボルギーニ・エスパーダ」。生産台数200台未満の「シリーズ1」というだけでも珍しいが、この個体はなんと初度登録が1969年、つまり新車で輸入されたクルマだという。
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5/40「ランボルギーニ・エスパーダ」のリアビュー。ベルトーネ時代のガンディーニによるボディーはフル4シーターで、テールゲートを開くと現れるラゲッジルームは浅いがかなり広い。当時としては進んだコンセプトのグランツーリスモだったことがわかる。
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6/40「ランボルギーニ・エスパーダ」のコックピット。魅力的なデザインで、コンディションも良好。
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7/40「ランボルギーニ・エスパーダ」のエンジン。「ミウラ」用と基本的に同じ4リッターV12 DOHC。
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8/40ドライバーズブリーフィングでスピーチするスペシャルゲストの黒澤元治氏。御年81歳ということで「後期高齢者クラスがあれば私もエントリーしたんだけど……」と笑いを誘いつつ、「タイムよりも楽しみましょう!」と締めた。
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9/40ガンさんは、エントリー車両のなかから「ロータス・エランS4スプリント」と「フォード・エスコートRS1600 Mk1」のステアリングを握り、デモランを披露した。彼にとってエランは、日産ワークス時代に「ダットサン・フェアレディ」で戦ったマシンの1台であろう。
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10/40「フォード・エスコートRS1600 Mk1」を駆るガンさん。慣れないマシンだろうに、スムーズに走らせる腕はさすが。
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11/40ここからは1000cc以下のノーマル車両および500cc以下の軽自動車によるAクラス(出走8台)の参加車両。この「スズキ・フロンテクーペGXCF」は5位となった。
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12/40ロングホイールベースで、どう見てもジムカーナには不利だが、室内にロールケージを入れるなどのモディファイが施された「フィアット500ジャルディニエラ」。
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13/40日野自動車によるライセンス生産モデルではなく、日本では非常に珍しいフランス本国製の「ルノー4CV」は6位に入った。
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14/40ダブルエントリーしてAクラスで2位と4位になった「ホンダS600クーペ」。1965年に登場した日本初となるテールゲート付きのスポーツクーペで、発売当初は「ビジネスにも最適」とうたっていた。
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15/40こちらもダブルエントリーでAクラス優勝と3位となった「ホンダS800クーペ」。優勝タイムは58秒109。
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16/40ここからは1300cc以下のノーマル車両および1000cc以下の改造車両によるBクラス(出走11台)。「フィアット・アバルト1000TC Hspl.」は55秒810をたたき出して優勝した。
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17/40チャンピオンナンバー「1」を付けた前回優勝車である、KP30の型式名を持つ2代目「トヨタ・パブリカ1000」。ご覧のように旋回時は内側後輪を浮かせる攻めの走りを見せたが、コンマ16秒という僅差で2位となった。
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18/40Bクラス3位は、フラットな形状のレーシングハードトップを装着した「ホンダS800レーシング」。
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19/40続く4位は「ヒルマン・スーパーインプ」。F1用エンジンもつくっていたコベントリー・クライマックス設計の総アルミ製SOHCエンジンをリアに積んだ「Mini」のライバル。
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20/40Bクラス5位に入った、珍しい初期型(シリーズ1)の「アウトビアンキA112アバルト」。
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21/40古くからの常連である「スバルff-1 1300Gスポーツセダン」(顔つきは「ff-1 スポーツセダン」仕様)はBクラス6位。
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22/40「ランチア・フルビア クーペ ラリー1.3」。駆動方式ひとつとってもFR、FF、RRがそろったBクラスの参加車両はバラエティーに富んでいた。
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23/40ここからは1800cc以下のノーマル車両および1300cc以下の改造車両によるCクラス(出走11台)。ガンさんも操った「ロータス・エランS4スプリント」は54秒169で優勝した。
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24/40Cクラス2位となった「アルピーヌA110 1600SC」。リアサスペンションがスイングアクスルから「A310」と同じダブルウイッシュボーンとなった、初代A110の完成形である。
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25/40Cクラスのディフェンディングチャンピオンだった「ロータス・エランS2」。連覇は果たせず3位となったが、今回は全クラスを通じて連覇はなかった。
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26/40「エラン」や「A110」などの2座席スポーツカーが幅を利かせるCクラスで、毎回奮闘している「ダットサン・ブルーバード1600SSSクーペ」。今回は7位にとどまった。
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27/40クラブで参加したACJからエントリーした8台がクラスを形成。そのACJクラスで優勝した「ロータス・エランS1」。円形テールランプ/ウインカーが「S2」以降との識別点である。
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28/40ACJクラス5位となった「アルファ・ロメオ・ジュリア スーパー」。デュアルヘッドの内側をメッシュにして、レース用ホモロゲーションモデルの「ジュリアTIスーパー」風にモディファイ。
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29/40ACJクラスで6位となった「ダットサン240Z」。「日産フェアレディ240Z」(HS30)の北米仕様だが、アウトサイドミラーは国内仕様のフェンダーミラーに替えてある。
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30/40毎回、最大の激戦区となる1801cc以上のノーマル車両および1301cc以上の改造車両によるDクラス。今回も出走22台を数えたが、頂点に立ったのは51秒673をたたき出した「ロータス・エランS1」。「レーシングエラン」(26R)風の固定式ヘッドライトにロールケージなど、かなり手が入っているもよう。
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31/40初参戦ながら2位に入った「オースチン・ヒーレー100/4」は、長年にわたってアメリカのSCCA(Sports Car Club of America)選手権を戦っていたマシン。
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32/40ディフェンディングチャンピオンの型式名SR311こと「ダットサン・フェアレディ2000」は、やはり連覇ならず3位だった。
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33/40Dクラス4位は「ベルトーネX1/9」。ノーマルと同じ1.5リッターというエンジンは、クラス最小だった。
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34/40ダブルエントリーを含め5台出走した「ポルシェ911」のうち、唯一の5ナンバー車(2リッター)だった「911S」。
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35/40ブリスターフェンダーなどでレース用ワークスマシン「914-6GT」風にモディファイされた「ポルシェ914/6」。
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36/40ローダウンされ、ナロートレッド風の足まわりに小径ホイール/タイヤを履いた2代目「ダットサン・サニー」(B110)。
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37/40レーシングカーおよび「スーパーセブン」の同類車による最速のRクラスには13台が出走。過去何度も優勝している「ケータハム・スーパー七」が、2位に1秒以上の差を付ける47秒819という圧倒的なタイムで制した。
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38/401~7位を占めた「スーパーセブン」に続いて8位となった、常連参加車の「ジネッタG4」。
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39/40軽量コンパクトとはいうものの、ステアリングの切れ角が小さくてサイドブレーキもなく、決してジムカーナ向きではないフォーミュラカーの「ロータス51」。これもRクラスの常連の1台。
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40/40JCCAのFレースからスライド参戦(?)してきた、完全レーシング仕様の「ダットサン・サニークーペ1200GX」(KB110)。