ランドローバーのファンイベント「LAND ROVER DEFENDER DAY 2021」の会場から
2021.10.25 画像・写真ジャガー・ランドローバー・ジャパンは、2021年10月16日~17日の2日間にわたり、長野県北安曇郡白馬村にて体験型イベント「LAND ROVER DEFENDER DAY 2021」を開催した。
同イベントはランドローバー車のオーナーやファンを対象としたもので、延べ800人が来場。大人気となっている新型「ディフェンダー」にスポットを当てたもので、走行コンテンツは主として同車の悪路走破性を実感できるものが用意された。今回のイベントがディフェンダーに特化された背景には、納期が長期化する今、成約を結んだ新しいオーナーに少しでもディフェンダーに触れてもらい、納車を楽しみにしてほしいというジャガー・ランドローバー・ジャパンの思いが込められていたようだ。また、現オーナーやファンが新生ディフェンダーの実力を体感する機会を設けることも目的とされていた。
加えて本イベントの開催は、2020年の公式イベントがコロナ禍の影響によりオンラインのみとなっていたので、ジャガー・ランドローバー・ジャパンにとってリアルイベント復活の重要な一歩でもある。広報部によれば、今後も状況を踏まえつつ、安心安全なイベントの開催を実現していきたいとのことだった。
今回は時節柄コンテンツも絞られたため、70周年のときのようなビッグイベントにはできなかったものの、日本各地からランドローバー車のオーナーが集合。愛車によるゲレンデドライブや、特設コースでのディフェンダーの“味見”などを楽しんだようだ。
ディフェンダーの魅力が凝縮された「LAND ROVER DEFENDER DAY 2021」の様子を、筆者の体験したコンテンツのリポートを含めてお届けしよう。
(文と写真=大音安弘)
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1/33白馬村にあるスキー場「エイブル白馬五竜」にて開催されたランドローバー公式イベント「LAND ROVER DEFENDER DAY 2021」には、2日間で約800人のオーナーおよびファンが足を運んだ。同会場は、ランドローバーのブランド70周年を記念した「70TH ANNIVERSARY JAPAN LAND ROVER DAY」が行われた場所でもある。
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2/33イベントの目玉は、現行型「ランドローバー・ディフェンダー」を使ったさまざまな体験コンテンツだ。「ミニテラポッド・バンク」は、駐車場に設置された障害物による傾斜路と凹凸路を、自身の運転で走行。ディフェンダーの走破性を体感できるもの。体験車両にはロングボディーの「ディフェンダー110」が使われた。
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3/33凹凸路に模した障害物を乗り越える際には、なんと1輪が浮いてしまう状況が発生。もちろん、この状態でも「ディフェンダー」の動きは安定。立ち往生するそぶりもなく、じんわりクルマを前進させるとシーソーのように前輪が着地する。デフロック機構付きの本格的4WDシステムを持つディフェンダーには、まさに朝飯前の芸当だ。
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4/33車体を傾斜させバンクを走る「ディフェンダー」。持ち前の、悪路走行を考慮した設計が生きるシーンのひとつだ。
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5/33バンク走行時の車内の様子。1本目は助手席での同乗体験となっており、2本目で自らステアリングを握る。この程度のバンクは「ディフェンダー」の敵ではないが、オーナーであっても傾斜路を走った経験がある人は限定されるはず。ランドローバー本来の性能を知るいい機会となっただろう。
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6/33「ディフェンダー」が採用するカメラシステムを用いれば、左右前輪や前方直下の状態を映像で確認できる。さらに、ダンパーの伸び縮みやデフロックの作動状態なども表示されるので、車両のおかれた状況をモニター越しに理解できるのだ。ハイテクを新たなクロカンの武器として取り入れたのが、新世代ディフェンダーの大きな強みだ。
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7/33「ディフェンダー」の高いオフロード走行性能を同乗体験で確認できるアトラクションが、「オフロードタクシー」だ。ランドローバーの実力を知り尽くした公認インストラクターによるデモンストレーションは、トランクションが激しく変化するぬかるんだ路面での“ドリドリ”走行。プロのドライビングテクニックとディフェンダーの4WD性能があってこその芸当だ。
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8/33デモの会場のぬかるみ度合いは車体の汚れからも想像できるだろう。そんな道を華麗に駆け抜けてしまうのが「ディフェンダー」のスゴさ。もちろん、それを操るドライバーもただ者ではない。当日のドライバーの一人は、「マッドドッグ三好」こと三好秀昌さん。運転席ではマスク姿だっただけに、アグレッシブなドライブに心奪われて気がつかなかった人も多かったのでは?
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9/33日常どころか悪路走行でも、ここまでの傾斜を体験することはめったにないはず。それが最大傾斜43°の傾斜走行を疑似体験できる「ツインテラポッド」だ。同乗走行によるコンテンツだが、専用スロープの上りでは、フロントウィンドウの向こうにはほぼ空しか見えず、さらに下りは体感的に垂直かと思うほどの角度となるだけに、かなりスリリングな体験だ。現行「ディフェンダー」の最大傾斜角は45°なので、このスロープより厳しいシーンでも走れてしまうというのは、まさに驚きだ。
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10/33イベントでは愛車とともに気軽に楽しめるコンテンツも用意。それが「ゲレンデドライブ」だ。オフシーズンの「いいもりゲレンデ」を愛車でドライブするというもので、20分ほどの軽い冒険を楽しむべく、さまざまなランドローバー車が参加。そのなかには最新モデルだけでなく、歴代「レンジローバー」や「ディスカバリー」などの姿も見られた。
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11/33ゲレンデドライブ中の車内の様子。隊列を組んで進むランドローバーの姿は、まるで冒険に挑むキャラバンのよう。ゲレンデを管理するための道を行くのだが、そこは凹凸もある未舗装路で適度な傾斜もあるため、軽いオフロード走行体験にはピッタリの場所なのだ。
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12/33筆者も「ディフェンダー90」を借りて疑似オーナーとなり、「ゲレンデドライブ」に飛び入り参加。隊列はゆったりとした速度だが、凹凸のある未舗装路のため、時折クルマが激しく揺すられる。安心安全な状況だが、悪路を走る楽しさを十分に感じられる、魅力的なコンテンツだった。
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13/33しばしの時間、筆者の相棒を務めてくれたショートボディーの「ディフェンダー90」。「ディフェンダー110」は試乗済みだったが、実は90はこの日が初ドライブだった。5ドアの110よりコンパクトだが、乗り込んでみれば後席も含め車内は広々。街なかで乗るにもいいな思ったが、ショートホイールベースの恩恵もあって、実は「悪路走破も90のほうが上」とのことだ。
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14/33ゲレンデドライブでは道中2回の休憩があり、それが記念撮影タイムに。秋色となった白馬の景色も美しく、短い時間だがドライブに出かけた気分をしっかりと味わえた。本格的な悪路コースではなく、このようにライトなオフロード走行が楽しめる機会が増えれば、昨今の“雰囲気重視”なSUVブームも、また異なる盛り上がりをみせるかもしれない。
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15/33無事ゲレンデドライブから帰還したランドローバーとオーナーたち。ゲレンデのふもとから見上げた光景だと天気が悪かったように見えるかもしれないが、取材した10月17日(日)の天候は、時折小雨に見舞われる程度。雲の合間から晴れ間が見えることもしばしばで、少し肌寒いが、風も少ない穏やかな一日だった。
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16/33体験コンテンツの参加を申し込む来場者たち。程よい人の集まり方で、かつほとんどのコンテンツが屋外ということもあり、多くの人が安心してイベントを楽しむことができた。来場者はカップルやファミリーが多く、若い人の姿も。現行型「ディフェンダー」の誕生で、ブランドの若返りも進んでいるのかもしれない。
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17/33ルーフテント付きで展示されていた「ディフェンダー110」は、なんとレンタカー。オーバーランド キャンパー ジャパンは、ルーフトップテント付きのカスタム仕様の四輪駆動車に特化したレンタカー屋さんだ。展示車は、ルーフテント、270°の日よけ、野外簡易更衣室兼シャワー室、カスタムメイドキッチン、大容量のポータブル電源などを備えている。しかも車両レンタルには、イスやテーブル、ライト、BBQコンロなどのキャンプ用品まで含まれるという。気になるレンタル費用は、1泊2日で7万1060円からとのこと。このほかに「ディフェンダー90」もあるようだ。
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18/33コロナ禍の影響もあって盛り上がりをみせるキャンプ。イベント会場にはアウトドア用品を幅広く取り扱い、オリジナルのアイテムも手がけるA&Fもブースを出展していた。
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19/33ゲレンデに展示された、MOSS TENT WORKSのテントと「ディフェンダー110」の用品装着車。愛車のディフェンダーとともにキャンプを楽しみたいと考えるオーナーもきっと多いのだろう。その姿も、実に絵になる。
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20/33「ディフェンダー」の純正アイテムは170種類にも及ぶが、そのなかには他のクルマには見られないようなものも。簡易シャワーや積載用のスロープなど、アウトドアレジャーをサポートする多種多様な装備が用意されているのも魅力のひとつなのだ。
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21/33子供向けのコンテンツとして用意された「ディフェンダー110」のペーパークラフト。製作したのは梱包(こんぽう)材などを手がけるTANAXだ。
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22/33室内ではミニカーや、ランドローバーの活躍を記録した写真などを展示。注目は細部までこだわりのみられるレゴのブロックだ。エンジンや足まわり、インテリアまでしっかりと再現された「ディフェンダー90」は、2573ピースで構成される。対象年齢は11歳以上なので、クルマ好きの少年はもちろん、大人向けのクリスマスプレゼントにも好適かもしれない。
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23/33物販エリアでは、ランドローバーのコレクションやアクセサリーなどの特価販売に加え、ヨーロッパブランドのシューズなどを扱うカメイ・プロアクトもセールを開催。お得な商品が多く並んでいたようで、盛り上がりをみせていた。
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24/33会場にはコンチネンタルタイヤやノキアンタイヤもブースを出展。日本では聞きなれないノキアンは北欧フィンランドの老舗タイヤメーカーだ。なんと1934年に世界初のウインタータイヤを生みだしたメーカーが、このノキアンなのだ。そんなノキアンはスタッドレスタイヤを展示。一方ドイツのコンチネンタルは、スタッドレスにオンロード向けのコンフォートタイヤと、タイプの異なるアイテムを展示していた。
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25/33こちらは「SUPARTAN RACE(スパルタンレース)」のブースに展示されていた「ディフェンダー110」。この競技は世界最大規模の障害物レースで、年間200以上の大会が世界各地で開催される。距離、障害物数、難易度に応じて3つのカテゴリーが用意される、いわゆる鉄人レースだ。強靱(きょうじん)な肉体を持つオーナーには、やはりタフなクルマがふさわしい!?
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26/33会場内にはキャンプサイトが設けられ、キャンピングトレーラーや大型テントを設置して、宿泊を楽しむオーナーの姿も見られた。こちらは米エアストリームのキャンピングトレーラーをけん引する現行型「ディフェンダー110」(手前)と、第2世代の「レンジローバー」(奥)。往年の英国車の趣を残す2代目レンジローバーは、今は“クラシックレンジ”こと初代の陰に隠れている感もあるが、やはり端正で均整のとれたデザインが美しく魅力的だ。
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27/33迫力満点な初代「ディフェンダー」のキャンピングカー仕様。オーナーに話をうかがうと、前のオーナーは世界各地を旅するためにこのディフェンダーを購入。冒険の旅を無事に終えた後、同車は縁あって現オーナーのもとにやってきたそうだ。車内はコンロやシャワーなども備わり、かなり快適とのこと。
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28/33スポーティーな雰囲気を放つこちらの初代「ディフェンダー」は、「レンジローバー」を中心に手がける英国のカスタムブランド、オーバーフィンチのスペシャルモデルだ。シートをスポーティーなセミバケットタイプに換装するなど、内外装ともにしっかりとコーディネート。スパルタンなクラシッククロカンをここまでしゃれた雰囲気に仕上げるのは、ランドローバー専門ショップのなせる業だ。
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29/33ロングボディー仕様の新旧「ディフェンダー」。親しみやすいデザインとなったイメージが強い現行型だが、2台を並べてみると、クラシックモデルが持つ迫力もしっかりと受け継いでいることを実感させる。こうしたヒストリーを大切にする姿勢も、世界的な人気につながっているのだろう。
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30/33“ディスコ”の愛称で親しまれる「ディスカバリー」。左側は第3世代となる「ディスカバリー3」。最近はだいぶ見かけることが少なくなってしまった。右側は先代となる第4世代の「ディスカバリー4」だ。筆者もディスコ4は取材などで触れる機会が多かったが、5リッターV8エンジンの滑らかなフィールとエアサスペンションの快適性は、上級モデル「レンジローバー」にも引けを取らないものだった。
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31/33こちらも希少な2代目「ディスカバリー」の後期型。初代のイメージを受け継ぎながら、後継モデルである「ディスカバリー3」に近いフロントマスクを備えているのが、時代を感じさせるところ。この世代から、ディスコも高級車感が強まった印象である。
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32/33「ゲレンデドライブ」に参加した第3世代「レンジローバー」の後期型。前期型のトガった部分を抑え、より上品な顔立ちとなった。フロントフェンダーにアクセントパネルが採用されたのは、この3代目からだ。
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33/33現行型「レンジローバー」の姿も多数見かけた。レンジローバーのモデルライン強化により、「イヴォーグ」「ヴェラール」などの新生モデルも多く見られるようになったが、やはり頂点となる“レンジ”は風格が異なる。「ディフェンダー」が大ヒットした今も、ランドローバーファンの多くにとって憧れの象徴であることに変わりはない。