クラシックカーラリー「第15回 コッパ ディ東京2021」の会場から
2021.11.26 画像・写真2021年11月23日、「第15回 コッパ ディ東京2021」が開かれた。勤労感謝の日の恒例となっているこのイベントは、晩秋の都内を設定ルートに沿ってクラシックカーで巡り、途中の数カ所でPC競技(例えば20mを5秒で、30mを6秒で走行といったふうに、決められた区間を指定時間にいかに近く走れるかを1/100秒単位で競う)を行って、走りの正確さを競うラリーである。
2020年は新型コロナ対策として、スタート/ゴール地点(東京・港区東新橋 汐留シオサイト5区イタリア街の汐留西公園)での密状態を避けるべく、実施を11月22日、23日の2日(2回)に分けて参加車両を分散させた。22日が日曜だったこともあっての措置だったが、今年は通常に戻してワンデー開催となった。
今では首都圏では随一の希少なモデルが集まるイベントとしても知られるコッパ ディ東京だが、今回の参加車両は約120台。ルートはイタリア街をスタートした直後にPC競技を行い、最初のチェックポイントである神田明神でおはらいを受け、上野を経て浅草の今戸神社でおみくじを引き、柳橋で2度目のPC競技を実施。両国橋を渡ってから南下して豊洲市場~台場と回り、レインボーブリッジを渡って芝浦を経て三田に至る。例年ならここからイタリア街に戻るのだが、今回はそこから麻布、青山方面を巡るルートをプラスしたことで、全行程はいつもより10km少々長い約45kmとなった。スタート/ゴール地点およびルートから、エントリー車両を中心に紹介しよう。
(文と写真=沼田 亨)
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1/40汐留西公園でスタートを待つ参加車両の一部。手前の珍しいブラウンメタリックの1970年「ディーノ246GT」の後ろは1971年「マセラティ・インディ」。左側に並ぶのは「BMWイセッタ」や「メッサーシュミットKR200」などのバブルカー群。
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2/40お行儀よく「小さいもの順」に並んで移動するスモールフィアット。手前から1959年「ヌオーバ500スポルト」、1956年「600」、1963年「アバルト850TCニュルブルクリンク」、1967年「アバルトOT850」。
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3/40高年式の「フィアット500F」をドイツのカロッセリー(カロッツェリア)がカスタムしたという珍しいスペシャル。
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4/40見る者を和ませる1967年「フェルヴェス・レンジャー」。遊園地の遊具のようだが、「フィアット・ヌオーバ500」のコンポーネンツを流用したミニオフローダーである。
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5/401944年「キューベルワーゲン」。「フォルクスワーゲン・タイプ1」と基本設計を共有する軍用車だが、ビートルベースのレプリカではなく、第2次大戦中にドイツ空軍で使われていたヒストリーを持つホンモノとのこと。
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6/40ぎっしり詰め込まれた参加車両。手前は『webCG』にも試乗記が掲載された、新車で買える1937年「アルヴィス4.3リッター バンデンプラ ツアラー」である。
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7/40汐留西公園への入場に備え、イタリア街の裏手にあるJRの線路と並行した道で待機する参加車両。手前の1969年「スバル360」のオーナーが「こんなクルマでエントリーできるとは思ってませんでした」と語っていたが、それがコッパ ディ東京のいいところ。そもそもスバルも後ろにいる「ホンダS600クーペ」も、世界に誇る日本のクラシックだし。
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8/40こちらも入場待ちの「ポルシェ356」群。手前は1963年「356Bスーパー90」。
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9/40大いに注目を集めていた「フェラーリ288GTO」だが、なんと1983年「308GTB」をベースに製作したレプリカとのこと。
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10/40午前10時からカーナンバー順にスタート。ナンバー5は1928年「ランチア・ラムダ221カッサーロ」。1世紀をさかのぼる1922年に登場したラムダは、世界で初めてモノコックボディーを採用したクルマといわれる。
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11/40ライトブルーメタリックのボディーカラーが美しい1971年「アストンマーティンDB6 Mk2」。
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12/40ギャラリーに見送られる1948年「ジャガー・マークIV 3-1/2リッター DHC」。堂々とした姿の戦前生まれのモデルだ。
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13/401951年「ジャガーXK120ロードスター」。直6 DOHCのXKエンジンを搭載し、本格的なスポーツカーメイクとしてのジャガーを確立したモデル。
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14/40スタート直後、先に紹介したJRの線路と並行した道で“線踏み”(タイヤで計測センサーが仕込まれたコードを踏むことから、俗にPC競技をそう呼ぶ)を実施。1948年「チシタリア コロンボ バルケッタ」のコドライバーが、線の位置を正確にドライバーに伝えるべくチェックしている。
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15/40先の「チシタリア コロンボ バルケッタ」の後ろにうっすらと見えていた1954年「フィアット8V」。2リッターV8エンジンを積む8Vの多くが著名なカロッツェリアによる特製ボディーを持つのに対して、これはフィアット自製のボディーを架装した希少車。
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16/401959年「フィアット・アバルト750アレマーノ スパイダー」。こちらもコドライバーが大きく身を乗り出している。
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17/40鮮やかなイエローの1974年「ランチア・ストラトス」は、常連参加車両の一台。
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18/40通称“デイトナ”こと1970年「フェラーリ365GTB/4」。プレキシガラスのヘッドライトカバーを持つ前期型だが、後方にリトラクタブルライトに変更された後期型が続いている。
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19/40白いボディーが新鮮な1972年「アルファ・ロメオ・モントリオール」。2.6リッターV8 DOHCエンジンを積む。
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20/40チェックポイントである浅草の今戸神社の境内を進むチビッコ軍団。最後尾の軽登録されたモデルは、ドイツの「ハインケル」を英国でライセンスした1963年「トロージャン200」。
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21/40境内では参加者にスタッフからおみくじが渡されるが、たまたまお参りに訪れていた幼い女の子が初めて見た(?)旧車群をいたく気に入ったようで、臨時アシスタントを務めてくれた。かわいい手を振られて、思わず参加者の頰も緩む。先頭は1957年「アルファ・ロメオ・ジュリエッタ スパイダー」。
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22/40スタッフからおみくじを受け取ったのは、1960年「MGA」のコドライバー。後方に見える「シトロエンDS」はスタッフの移動用。
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23/401963年「ランチア・フルヴィア2Cベルリーナ」。右端の白い建物は神輿(みこし)庫だが、屋根の上に東京スカイツリーの先端がのぞいている。
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24/40柳橋の北詰(台東区柳橋)手前の、神田川沿いの路地でPC競技を実施。1964年「ジャガーEタイプS1 3.8ロードスター」に1963年「FHC(フィクスドヘッドクーペ)」が続く。
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25/402台の「Eタイプ」に続いて柳橋を渡ろうという1965年「アストンマーティンDB5」。
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26/401957年「アルファ・ロメオ・ジュリエッタ ベルリーナ」。PC競技を終えた車両は、柳橋手前の小松屋でおみやげ(つくだ煮)をもらう。
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27/40柳橋を渡る1962年「フィアット1100ベルリーナ」。フロントドアが前開きで、前後ドアはセンターピラーを支柱に観音開きと逆に開く。
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28/401965年「ポルシェ912」。ナロー「911(901)」のボディーに「356」用の1.6リッターフラット4を搭載したモデル。
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29/40毎回、愛犬を乗せて参加している1964年「ルノー・ドーフィン ゴルディーニ」。ワンちゃんは筆者に向かって「アンタもいつも来てるね」とでも言いたげ?
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30/40柳橋を渡って京葉道路へと向かう1968年「マーコス1600GT」。シャシーが合板製であることで知られる。
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31/40東京タワーの足元を抜けて赤羽橋方面に向かう1954年「ロールス・ロイス・シルバードーン」。
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32/40タワー下を行く1938年「フィアット508Sバリッラ ベルリネッタMM」。優美な小型スポーツクーペ。
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33/401950年「ジャウル750S」。俗に“虫”と呼ばれる、1940~50年代にイタリアで多くのメイクから送り出された軽レーシングスポーツのひとつ。
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34/401958年「バックラーDD2」。イタリア製かと思ったらイギリス製という、鋼管スペースフレームにアルミボディーをかぶせた本格的なレーシングスポーツ。
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35/401953年「ブリストル401」。イギリスの航空機メーカーであるブリストルが戦前型BMWをベースにつくった高級な中型2ドアサルーン。2リッター直6エンジンをはじめとする中身はもちろん、キドニーグリルまでBMWに倣っている。
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36/40秋空にそびえ立つ東京タワーの下を抜けて行く、真っ赤な1975年「シトロエンSM」。
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37/40芝・増上寺を背景に大門に向かう1961年「トライアンフTR3」。続くのは1954年「オースチン・ヒーレー100」。
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38/40大門をくぐり抜けた、右ハンドルの本国仕様の1965年「ジャガーEタイプS1 4.2ロードスター」。ゴールまであと少し。
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39/40約45km、およそ3時間の東京ドライブを終えてイタリア街に戻り、ゴールインした1968年「フェアソープTX-S」。「トライアンフGT6」のシャシーやパワートレインを流用した少量生産車である。再びゲートを通過した後はそのまま帰るもよし、会場に残って余韻を楽しむのもよし。
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40/40全車フィニッシュ後の会場風景。