中はこうなっている! 新施設「富士スピードウェイホテル」内覧会の会場から
2022.10.06 画像・写真2022年10月7日に、富士スピードウェイホテルが静岡県小山町にオープンする。これは富士スピードウェイに隣接する新たな宿泊施設で、同サーキットを拡大・再開発し「未来のモビリティー・モータースポーツの街」を創出しようというプロジェクトの一翼を担うもの。
ハイアットの独立系ブランド「アンバウンド コレクション by Hyatt」の国内第1号として展開される同ホテルは、レーシングコースや富士山を望める客室を有し、トヨタ博物館監修の博物館「富士モータースポーツミュージアム」が併設されるなどの特徴があり、利用者にユニークな滞在を提供できる施設とアピールされている。
では、その内部はどうなっているのか? ミュージアムの展示車両や、客室・レストランなどの様子を写真で紹介する。
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1/88富士スピードウェイを訪れたことのある人にはおなじみの西ゲート。その西隣に、富士スピードウェイホテル(写真左奥)は建設された。真新しいアプローチ路がエントランスへと続く。
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2/88駐車場側から見た富士スピードウェイホテル。地上9階・地下1階という10フロアの施設で、離れのヴィラ(5室)を含めて計120の客室を持つ。
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3/88ホテルのエントランス。両サイドにはミュージアムとホテルのプレートが添えられている。
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4/88エントランスでまず目に入るのが、大きなアート作品。富士スピードウェイの象徴として、自動車部品やレースの用語がちりばめられている。
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5/88ホテルの1階・2階には富士モータースポーツミュージアムが同居する。その入り口で来場者を出迎えるのは、フロアと垂直にディスプレイされた、1970年のレーシングカー「トヨタ7」。奥のエスカレーターは、3階のホテル・ロビーラウンジへとつながっている。
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6/88展示されている「トヨタ7」は実車のレプリカではあるものの、エンジンとトランスミッションは“本物”が搭載されている。
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7/88展示用の「トヨタ7」は、タイヤも約50年前の当時モノ。内覧会では、展示車両のコンディションの良さを示す一例として紹介された。
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8/88「トヨタ7」の手前にはボルトやナットを敷き詰めることで、展示車両と来場者を仕切る“結界”が設けられている。極力、通常の柵やロープを使って両者を隔てたくないという、ミュージアムの配慮である。
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9/88ミュージアム内で最初に目に入るのが、フランス最古の自動車メーカーといわれるパナール・エ・ルヴァッソール(Panhard et Levassor)の「タイプB2」(1899年)。FRの駆動方式を採用した一台で、近代の自動車の祖とされる。
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10/88「パナール・エ・ルヴァッソール・タイプB2」のインストゥルメントパネル。見た目には、エスプレッソマシンが並ぶカフェのキッチンを思わせる。
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11/88「トーマス・フライヤー・モデルL」(1909年)。「ニューヨーク・パリ世界一周ロードレース」で優勝し、ガソリン自動車の信頼性と耐久性の高さを世に示した一台。
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12/88「スタッツ・ベアキャット シリーズF」(1914年)。戦前のアメリカで「最良のスポーツカー」と評された。
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13/88「スタッツ・ベアキャット シリーズF」のコックピット。丸いウインドシールドが新鮮に見える。
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14/88「フォード999」(1902年)のレプリカ。巨大なラジエーターとエンジンが目を引く。
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15/88フォード999(1902年)
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16/88「フォード999」のエンジン。真ちゅう製とおぼしきエアダクトが美しい。
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17/88「フォード999」の排気量は、なんと18.9リッター。車体の隣に展示されたピストンの直径は184.2mmもある。
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18/88写真手前は「サンビーム・グランプリ」(1922年)で、奥が「ブガッティ・タイプ35B」(1926年)。往年の“優美なグランプリカー”のそろい踏み。
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19/88「サンビーム・グランプリ」のコックピット。
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20/88ブガッティ・タイプ35B(1926年)
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21/88「ブガッティ・タイプ35B」(1926年)のコックピット。
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22/88軽量化を徹底追求したことで知られるレーシングカー「メルセデス・ベンツW25」(1934年)。展示車両は、そのレプリカである。
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23/88メルセデス・ベンツW25(1934年)
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24/88メルセデス・ベンツW25(1934年)
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25/88メルセデス・ベンツW25(1934年)
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26/88富士モータースポーツミュージアムは現在、国内外の自動車メーカー10社の協力を得て常設展示を行っている。ホンダもそのひとつで、館内には貴重な2台のグランプリ優勝マシン、「RA272」(1965年/写真右)と「RC162」(1961年/同左)が展示されていた。
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27/88ホンダRA272(1965年)
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28/88ホンダRC162(1961年)
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29/88「レースを通じての技術の向上」を目指し、1951年に製作された「トヨペットレーサー」。展示車両は、そのレプリカ。
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30/88トヨペットレーサー(1951年)
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31/88トヨペットレーサー(1951年)
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32/88「トヨペットレーサー」のコックピット。
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33/88写真は、1958年に開催された第6回豪州ラリーに参戦し、4位で完走した「ダットサン210型」の“桜号”。もう1台の出走車“富士号”はクラス優勝を果たしている。
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34/88富士モータースポーツミュージアムの2階に上がったところで来館者を迎えてくれるのが、ポルシェのレーシングカー「904カレラGTS」(1964年)。ドイツのポルシェミュージアムから移送され、この場に展示されている。904カレラGTSは3台生産されており、この車両は1964年のタルガ・フローリオでクラス優勝した実車である。
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35/88ポルシェ904カレラGTS(1964年)
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36/88ポルシェ904カレラGTS(1964年)
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37/88ポルシェ904カレラGTS(1964年)
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38/88名車の誉れ高い「チシタリア202C」(1947年)。地域連携のモータースポーツ、ミッレ・ミリアの出場車として展示されている。
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39/88チシタリア202C(1947年)
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40/88チシタリア202C(1947年)
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41/88アルファ・ロメオ6C 1750グランスポルト(1930年)
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42/88館内では特にサーキットに焦点を当てた展示も見られた。写真手前は、国内の主要なコースを紹介するプレート。
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43/88第1回日本グランプリでクラス優勝を飾った「日野コンテッサ900」(1961年)。
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44/88三菱にWRC初優勝をもたらした「ランサー1600GSR」(1974年)。
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45/88「トヨタ・セリカGT-FOUR」(1993年)は日本車で初めて、WRCにおいてメーカー・ドライバーの両タイトルを獲得した。
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46/88各車両の傍らには、開発にかかわる重要な資料も展示されていた。写真は「セリカ」の改造内容を示す技術報告書。
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47/881980年のサファリラリーで優勝した「日産バイオレット」。
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48/88「スバル・インプレッサ555」。写真は1996年のアクロポリスラリー優勝マシン。
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49/88三菱ランサー エボリューションIII(1995年)
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50/88富士モータースポーツミュージアムの2階中央は吹き抜けになっている。向こう側には異なるテーマの展示車両が並ぶ。
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51/88ルマン24時間レースで4連勝した「ベントレー4 1/2」。展示車両は1930年式の一台。
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52/88「ベントレー4 1/2」(1930年)のコックピット。前方に見えるのは、年の差65年の「三菱ランサー エボリューションIII」のリアビュー。
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53/88「RENESIS(レネシス)」と名づけられた、マツダのロータリーエンジン。
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54/881991年のルマン24時間レースを制した「マツダ787B」(写真左)と1999年の同レースで2位となった「トヨタGT-One」(同右)。
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55/88「マツダ787B」の4ローターエンジン。
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56/882002年から2009年までF1に参戦したトヨタ。館内には、その最終年の最終戦で小林可夢偉がドライブしたマシン「TF109」も展示されていた。
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57/88館内には、技術的な知識を高めてくれるさまざまな資料も展示されている。
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58/88ヤマハが1987年に開発したレーシングエンジン「OX66」。軽量・コンパクトな設計で、1気筒あたり5つのバルブが備わっている。
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59/88「フジを彩ったツワモノ・マシン」というテーマで並べられた、「トヨタ・スープラ ターボA」(1990年)と「日産ペンズオイルNISMOスカイラインGT-R」(1998年)。
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60/88日産ペンズオイルNISMOスカイラインGT-R(1998年)
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61/88トヨタ2000GT スピードトライアル(1966年)
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62/88ホンダNSX-R(1992年)
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63/88日本発祥の誇るべきモータースポーツとして、ドリフト競技用のマシン(HKSがチューンした「GRスープラ」)も展示されている。
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64/88「GRスープラ」のドライバーズシートの主(あるじ)は、現在もモータースポーツの第一線で活躍している谷口信輝。
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65/88ミュージアムのさらに上階、3階はホテルのロビーラウンジになっている。フロントの前に置かれたモニュメント(写真)は、世界中のサーキットをかたどったプレートを、地球儀の形に集積したもの。
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66/88ロビーラウンジでは、富士山を眺めながらティータイムが楽しめる。
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67/88こちらはグッズの販売スペース。窓からは、レーシングコースの最終コーナーやストレートを含む景色が一望できる。
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68/88クルマのパーツを素材としたアート作品は、ホテル内のさまざまな所に飾られている。写真は、レストランの入り口で見られた、排気系を使ったオブジェ。
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69/88「炉端 OYAMA」は、沼津港でその日の朝に陸揚げされた魚をはじめ、静岡の食材を生かした料理が自慢。写真はそのオープンキッチン。
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70/88「炉端 OYAMA」の個室。壁面には、改修を重ねてきた富士スピードウェイの、歴代レーシングコースを重ねたオブジェが飾られている。
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71/88「TROFEO(トロフェオ)」と名づけられたイタリアンレストランも、オープンキッチン。味はもちろん、調理の手さばきでもお客を楽しませてくれる。
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72/88客室は半々の割合で“サーキットビュー”または“富士ビュー”となっており、全室にベランダが設けられている。写真はサーキットビューのスイートルームで、部屋からの眺めはご覧のとおり。
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73/88こちらは、スタンダードルームのベランダからの眺め。コースからは迫力満点のエキゾーストノートが聞こえてくるが、二重サッシの窓を閉めれば音はほぼシャットアウトできる。
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74/88部屋番号を示す壁面のプレート。シフトゲートを模したデザインが楽しい。
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75/88「BAR 4563」の入り口には、モータースポーツ(CART)用のV8エンジンがドンと置かれている。ちなみに、数字の4563はレーシングコースの全長(4563m)に由来する。
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76/88カラフルに彩られた「BAR 4563」の内壁は、よく見ればおびただしい数のミニチュアカー。
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77/88壁面に飾られたミニチュアカーは、つくりがかなりリアルなタイプ。これをさかなに、バーでの自動車談義に花が咲きそう。
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78/88バーの個室にも、さまざまなアートが。写真中央に見えるのは、タミヤのプラモデル(組み立て前の「レクサスLFA」)をアレンジした作品。
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79/88富士スピードウェイホテルには、癒やしの施設を集めたウェルネス棟も併設されている。こちらは20mプールとジェットバス。白と黒のフロアが特徴的な屋外スペースは、チェッカードフラッグを模したものだという。
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80/8824時間オープンのフィットネスジム。その奥に本格的なレーシングシミュレーターが用意されているのが、富士スピードウェイホテルならでは。シミュレーターで体験できるコースは、もちろん富士スピードウェイのレーシングコース。
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81/88主に女性客のためのスパルームを6部屋用意。ユニークな形の窓は、クルマのサイドウィンドウをイメージしてデザインしたのだとか。
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82/881階の通路には、まるで岩肌のようなオブジェも。近づいてよく見ると……?
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83/88岩壁のコースを走る、WRカー(プジョー)のジオラマ風オブジェだった。富士スピードウェイホテル内には、クルマやモータースポーツに興味のある人なら思わず笑顔になるような工夫があふれている。
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84/88ボールルーム(宴会場)。場内には、レーシングマシンを搬入することも可能。幅広いニーズに対応できる広間となっている。
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85/88ホテルの外には、1機のヘリコプター。現在、非日常的な体験ができるアクティビティーとして、富士スピードウェイ上空の遊覧サービスが検討されている。県外からサーキットまでの移動手段としてのヘリコプター・チャーターは既に運用されており、例えば東京・豊洲から富士スピードウェイまでの移動は所要時間30~40分、費用は46万円ほどになるという。
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86/88試験的に実施されたヘリコプター遊覧を体験してみる。富士スピードウェイ内の発着場から飛び立てば、あっという間に鳥の世界に。
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87/88ヘリコプターからの富士スピードウェイ全景。写真左奥に富士スピードウェイホテルが、さらにその奥に富士山が見える。
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88/88写真中央がレーシングコースで、左端に見えるのが富士スピードウェイホテル。手前に広がる更地には今後、レーシングチームのガレージやレストラン、温浴施設が建設される計画だ。この地の開発にかかわるトヨタ自動車および富士スピードウェイ、トヨタ不動産は、人生をより豊かで幸せなものにしてもらえる“大人の遊び場・社交場”をテーマに、「未来のモビリティー・モータースポーツの街」を創出しようとしている。