クラシックカーラリー「第16回コッパ ディ東京2022」の会場から
2022.12.02 画像・写真2022年11月23日、「第16回コッパ ディ東京2022」が開かれた。勤労感謝の日の恒例となっているこのイベントは、晩秋の都内を設定ルートに沿ってクラシックカーで巡り、途中数カ所でPC競技(例えば20mを5秒で、30mを6秒で走行といったふうに、決められた区間を指定時間にいかに近く走れるかを1/100秒単位で競う)を行って、走りの正確さを競うラリーである。首都圏では随一の希少なモデルが集まるイベントとしても知られるが、スタート/ゴール地点である東京・港区東新橋 汐留シオサイト5区イタリア街の汐留西公園に集まった今回の参加車両は、エントリーリストでは110台以上。ただし丸一日雨という天気予報を受けて若干の参加キャンセル、およびオープンカーからクローズドモデルへといった車両変更が見られた。
ルートはイタリア街をスタートした直後にPC競技を行い、最初のチェックポイントである神田明神で交通安全のおはらいを受け、上野を経て浅草の今戸神社を通過し、柳橋でPC競技を実施。両国橋を渡ってから南下し、晴海、築地を経由して青山方面に向かい、初の試みとしていちょう並木が見ごろの明治神宮外苑をぐるりと一周。そこから六本木、東京タワー周辺を経て汐留西公園に戻ってくる全長約38kmだった。あいにくの天候ながら、熱心なエントラントとギャラリーで盛況だったスタート/ゴール地点周辺およびルートから、エントリー車両を中心に紹介しよう。
(文=沼田 亨/写真=沼田 亨、コッパ ディ東京 実行委員会)
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1/40100台近くの参加車両をカーナンバー順に収めた、スタート/ゴール地点である汐留西公園の俯瞰(ふかん)図。手だれのスタッフによる車両誘導および配置は一寸の無駄もなく、芸術的ですらある。
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2/40地上で眺めるとこんな感じ。キチキチのようでいて、車両への乗降および人間の通行に支障はない絶妙な間隔になっている。
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3/40雨にぬれたボディーを拭きながら、ゼッケンを貼る参加者。
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4/40カーナンバー100番以降の汐留西公園に入りきらない参加車両は、いったん近隣の有料駐車場まで連なって移動。1962年「シボレー・コルベット(C1)」を先頭とするその列に……。
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5/40……非常に珍しい1972年「AMCグレムリン」が並んでいた。アメリカ第4のメーカーだった今はなきAMC(アメリカン・モータース・コーポレーション)によるコンパクトカー。全長は4mちょっとだが、全幅は1.8m近いアメリカンサイズのガラスハッチ付き2ドアボディーに、3.2リッター直6から5リッターV8までの各種エンジンを積む。
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6/40午後は雨が強くなるという天気予報を踏まえて、午前10時の予定より少々早くイタリア国旗が降り下ろされ、ラリーがスタート。カーナンバー1は1928年「ランチア・ラムダ221カッサーロ」。
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7/40スタートは20秒間隔で、カーナンバー2は1935年「フィアット508Sベルリネッタ ミッレミリア」。今回、戦前車の参加は2台のみだった(エントリーリストにはもう1台あったが車両変更)。
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8/40スタート直後、汐留西公園の裏手にあるJRの線路と並行した道で“線踏み”(タイヤで計測センサーが仕込まれた線を踏むことから、俗にPC競技をそう呼ぶ)が実施される。本来なら1台ずつ流れるように競技が行われるが、今回は先行した1台が車両トラブルで競技中に止まってしまったため、期せずして順番待ちの列が生まれた。2台の「ランチア・フルヴィア」の「クーペ」に同じく「ベルリーナ」、そして「シトロエンSM」などが続く。
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9/40PC競技中の1947年「ジャウル」。俗に“虫”と呼ばれる、1940~1950年代にイタリアで多くのメイクから送り出されたバルケッタの一台。ウェザープロテクションが皆無で、コドライバーも不在という厳しい状況で奮闘中。
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10/40トボけた表情で周囲を和ませ、どこでも人気者のバブルカーたち。先頭からドイツの「ハインケル」を英国でライセンスした「トロージャン」、そして「メッサーシュミットKR200」「BMWイセッタ」など。
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11/40PC競技中の1971年「マセラティ・インディ」。初代「ギブリ」の4シーター版ともいえる最高級グランツーリスモ。
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12/40PC競技を終えた、常連参加車両の1台である1974年「ランチア・ストラトス」。
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13/40いかなる天候だろうとソフトトップ装着など眼中になさそうな、なんともいい色合いの1951年「ジャガーXK120」。
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14/40最初のチェックポイントとなる、千代田区外神田にある神田明神。道路に面した隨神門前で交通安全祈願を受けているのは1958年「フィアット・アバルト750アレマーノ スパイダー」。
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15/40交通安全祈願を終えてコースに戻る1941年「キャデラック・フリートウッド60スペシャル」。
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16/40次なるチェックポイントである浅草の今戸神社の鳥居をくぐろうという1967年「フェルヴェス・レンジャー」。「フィアット・ヌオーヴァ500」のコンポーネンツを流用したミニオフローダーである。
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17/40境内では雨のなかを待機していた女性スタッフが到着した車両をスマホで撮影。1975年「シトロエンSM」。
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18/40縁結びスポットとして知られる今戸神社に参拝した女性観光客グループとすれ違う1952年「クレパルディ・パナール・アレマーノ750MM」。空冷フラットツインで前輪を駆動するフランスの小型車「パナール・ディナ」をベースにしたスペシャル。
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19/403台連なって今戸神社に到着した、1960年代生まれの最高級イタリアンスーパースポーツとGT。先頭は1964年「マセラティ・ミストラル」。
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20/40続いて通称“デイトナ”こと1969年「フェラーリ365GTB/4」。
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21/403台目はエレガントな4座グランツーリスモの1969年「フェラーリ365GT 2+2」。後ろに往年のフランス車(フランス仕様)特有のイエローバルブのヘッドライトをともした「ルノー・ドーフィン ゴルディーニ」が続いている。
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22/40このイベントでは初めて見た1971年「サーブ96 V4」。2ストローク3気筒エンジンからドイツフォード製の1.5リッターV4ユニットに換装された、今はなきサーブの長寿モデル。後ろに「オースチン・ヒーレー3000 Mk3」と「ディーノ208GT4」が続いている。
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23/40境内を走り抜ける1971年「アストンマーティンDB6 Mk2」。今戸神社は縁結びスポットのほか、招き猫発祥の地のひとつということでも知られている。
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24/40恒例となっている、柳橋の北詰(台東区柳橋)手前の神田川沿いの路地でのPC競技。競技を終え、柳橋手前にある小松屋謹製のおみやげ(つくだ煮)をもらっているのは「ロールス・ロイス・シルバークラウド」。
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25/40PC競技中の1956年「ACエース ブリストル」。「シェルビー・コブラ」のベースともなった英国製オープン2座スポーツ。
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26/40おみやげをもらい、スタッフに見送られるスプリットウィンドウの1951年「フォルクスワーゲン・エクスポートリムジン(タイプ1)」。
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27/40これから柳橋を渡ろうという、ヘッドライトのモチ網(ストーンガード)が似合う1959年「ポルシェ356A」。
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28/40新車以来かもしれない「練馬5」のシングルナンバーが付いた1965年「ダットサン・フェアレディ1500(SP310)」。
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29/40築地の場外市場を抜けていく1957年「フィアット・アバルト750GTザガート」ら参加車両。予期せぬクラシックカーの隊列に観光客もびっくり。
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30/40今回、初めてコースに組み込まれた明治神宮外苑のいちょう並木を行く1970年「ディーノ246GT」。
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31/40同じく1959年「アルファ・ロメオ・ジュリエッタSZ」。雨にぬれたいちょう並木は独特の風情を醸し出していた。
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32/401950年「フォルクスワーゲン・ヘブミューラー カブリオレ」と1963年「ポルシェ356B スーパー90」。
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33/40JPSカラーの「ロータス・ヨーロッパ」。周囲の現代車のスカットル周辺くらいまでしかない、カタログスペックで全高1090mmという車高の低さを再認識させられる光景。
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34/40いちょう並木から神宮外苑の周回路に入る、世界初の市販ミドシップスポーツである1964年「ルネ・ボネ・ジェット」。前方は1965年「トライアンフ・スピットファイア」。
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35/40外苑周回路から再びいちょう並木に向かう「フェラーリ365GT4 2+2」。先に紹介した「365GT 2+2」の後継として1972年に登場した最高級GT。
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36/40同様に外周路からいちょう並木に入った1964年「ポルシェ356SC」。
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37/40神宮外苑から東京タワー周辺を経て汐留西公園に戻ってきた1975年「トヨタ・セリカ1600GT」。
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38/40スタートと同様、ゲートをくぐってゴールする1964年「ランチア・フルヴィア2Cベルリーナ」。スタッフがランチを渡している。
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39/40雨のためゴールイン後は汐留西公園にしばらくとどまるもよし、そのまま帰路につくのもよしの流れ解散となった。
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40/40雨のなか、エントラント、スタッフそしてギャラリーのみなさん、お疲れ様でした! また来年お会いしましょう!!