トヨタ博物館クラシックカーフェスタ in 神宮外苑(後編)
2010.11.29 画像・写真2010年11月27日、いちょう祭りでにぎわう東京・明治神宮外苑の聖徳記念絵画館前で、「トヨタ博物館クラシックカーフェスタ in 神宮外苑」が開かれた。
愛知県長久手にあるトヨタ博物館が「クラシックカー愛好家同士の交流とクルマ文化の継承を目的とするイベントを、首都圏でも」という主旨で2007年に始めたこのイベントも、今年で4回目。晩秋の抜けるような青空の下、会場には一般募集した91台のクラシックカーが並び、会場から銀座まで全長約11kmの公道パレードを行った。
いっぽう「蒸気、ガソリンから究極のエネルギーへ」をテーマとするトヨタ博物館による企画展示では、蒸気自動車から燃料電池車までの所蔵車両6台が展示され、うち木炭車のデモ走行も行われた。多くの一般ギャラリーも訪れ大盛況だったイベントの様子を、前編に続き写真でリポートしよう。(文と写真=沼田 亨)

1955年「シトロエン2CV」。マロニエではないけれど、開け放ったキャンバストップから見えるいちょう並木はちょっぴりパリ気分?
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1955年「シトロエン2CV」。マロニエではないけれど、開け放ったキャンバストップから見えるいちょう並木はちょっぴりパリ気分?
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1964年「トヨペット・コロナ1500デラックス」。60年に登場した2代目「コロナ」の最終型。長年風雨にさらされてほとんど色を失ってしまったナンバープレートの数字が、過ごしてきた歳月を物語る。
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1966年「トヨタ・パブリカ・コンバーチブル」。空冷フラットツインを積んだ初代「パブリカ」のオープン仕様。降り注ぐ陽光と清々しい秋風を受け、特有の排気音を響かせながら気持ちよさそうに走っていた。
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1962年「デイムラーSP250」。60年にジャガーに吸収され、近年までジャガーの高級グレードに名を残していた英国最古のメーカーであるデイムラーが作った唯一のスポーツカー。2.5リッターV8エンジンを搭載。
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1975年「マツダ・ルーチェAPワゴンGRII」。2代目「ルーチェ」のワゴンボディに12A型ロータリーエンジンを搭載したスポーツワゴン。車両自体も希少だが、加えてさらに希少と思われる純正アルミホイールを履いている。
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1969年「オペル1900GT」。GM傘下だったオペルが大衆車である「カデット」をベースに作った、いわば“ミニ・コルベット”。
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1962年「ファセル・ベガ・ファセリアF2」。戦後フランス唯一の高級ブランドだったファセル製の小さな高級パーソナルカー。3年前に急逝した『CG』編集部員の牧野幸子さんの愛車で、弟さんのドライブで参加。
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1971年「サーブ99」。67年にデビュー、80年代まで生き延びたモデルで、日本では希少な存在。同時代の「スバル1000/ff1」に雰囲気が近い気がするのは、同じ飛行機屋の作という先入観のせいか?
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1959年「フォード・フェアレーン・スカイライナー」。スチール製のトップが油圧で開閉し、トランクルームに収まる。
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1961年「BMWイセッタ」。大切な愛車のシートを来場者に開放していたオーナーの厚意に拍手!
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1975年「ジェンセン・インターセプターMk3」。イタリアのヴィニャーレが手がけたボディにクライスラー製の6.3リッターV8エンジンを積んだ、イギリスの大型高級グランツーリスモ。日本では非常に珍しい。
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参加車両のなかでもっともギャラリーの注目を集めていたのは、モータージャーナリスト西川淳さんの「ランボルギーニ・カウンタックLP400」。地球外の産物のようなインパクトに引き寄せられたギャラリーは、老若男女を問わなかった。
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「大変、車両火災だ!」というわけではない。これはトヨタ博物館から持ち込まれた1937年「ビュイック改木炭車」がデモ走行の準備をしているところ。戦中から戦後にかけて石油輸入が途絶え、ガソリンが欠乏していた時代にガソリン車から改造された、木炭や薪(まき)などを燃料源とする代用燃料車(代燃車)を復元したものである。
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木炭車走行までのプロセスをざっと順番に紹介しよう。これは燃料源となる木炭。いわゆる雑炭で、備長炭などの高級なものでは完全燃焼に近いため不向きだという。その理由は後述。
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トランクルームに設置された「木炭ガス発生炉」に木炭を入れる。
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木炭を不完全燃焼させ、一酸化炭素を主成分とするガスを発生させる。このガスをガソリンの代わりにキャブレターに送り込む。ちなみにこの個体は、ガソリンとの切替え可能なハイブリッド仕様とのこと。
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キャブレターのバイパス通路から噴出するガス。このガスに……。
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着火してよく燃えるようだったら、エンジン始動準備OK。
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デモ走行コースを疾走する「ビュイック改木炭車」。実際は微速走行だったのだが、走る姿を表現しようとシャッタースピードを遅くしたところ、やりすぎてしまった。実用に際してはエンジン始動やメンテナンスに大変な手間がかかり、本来のガソリンに比べ性能も大幅に低下、相当に扱いにくい代物だったという。
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1960〜70年代の日本車を並べた一角。いわば青春時代を共有するクルマたちの姿に、感慨深げな年配のギャラリーも少なくなかった。