第3回コッパ ディ 東京
2010.11.25 画像・写真2010年11月23日、東京・汐留シオサイトのイタリア街で、ヒストリックカーイベント「第3回コッパ ディ 東京(3a COPPA DI TOKYO)」が開かれた。当日は1920年代から70年代までの貴重なモデル88台が集まり、車両展示、来場者の投票によるコンクール・デレガンス、そして会場をスタート/ゴール地点とする全行程60kmのラリー形式のツーリングが行われた。参加車両のなかから、リポーターの印象に残ったモデルを紹介しよう。(文と写真=沼田 亨)

こぬか雨の降るイタリア街の広場で、ツーリングのスタートを待つ参加車両。ここが日本であることを語るのは車両のナンバープレートのみ、という光景である。
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こぬか雨の降るイタリア街の広場で、ツーリングのスタートを待つ参加車両。ここが日本であることを語るのは車両のナンバープレートのみ、という光景である。
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ロードスター用の異形ヘッドライトとオプションのセンターロックホイールを備えた、故・石原裕次郎の愛車と同じ仕様の「メルセデス・ベンツ300SLガルウイング」。あたりを圧倒するオーラを放っていた。
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1968年「マーコス1600GT」。合板製のフレームに低い車高と長いノーズ、60年代のフロントエンジンのレーシングスポーツの魅力を凝縮したようなボディを載せた英国製スペシャリストカー。エンジンはフォード製の1.6リッター直4OHV。
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1947年「スタンゲリーニ1100Sフルア」。戦前生まれの「フィアット1100」のメカニカルコンポーネンツを流用した、イタリア製のバルケッタ(小舟)。そのコンパクトなサイズとルックスから、俗に「虫」と呼ばれるたぐいの1台である。カロッツェリア・フルアによる戦後間もない作とは思えないモダンな顔つきには、通称「ヨタハチ」こと「トヨタ・スポーツ800」にも通じる雰囲気がある。
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午前10時、「ブガッティT13ブレシア」(1924年)を先頭にツーリングにスタート! ルートは汐留〜台場〜東京スカイツリー〜浅草雷門〜今戸神社(チェックポイント)〜神保町〜丸の内〜皇居〜四ツ谷〜神宮外苑〜六本木〜芝浦〜汐留というもので、テーマは「江戸から21世紀まで、さまざまな変貌(へんぼう)を遂げた東京を巡るタイムトリップのような旅」。
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創立100周年を記念して、今回のフィーチャー・メイクとなったアルファ・ロメオ。参加車両は19台を数えたが、これは1955年の「1900SSZ」。戦後アルファの第1作である「1900」の高性能クーペである「SS(スーパー・スプリント)」にカロッツェリア・ザガート製のアグレッシブなボディを着せたもの。後ろに見える黄色いモデルも、やはりザガート・ボディの1967年式「2600SZ」。
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きれいなライトブルーに塗られた1957年「アルファ・ロメオ・ジュリエッタSVZ」。「ジュリエッタSV(スプリント・ヴェローチェ)」のシャシーに、ザガートによるハンドメイドのアルミボディを載せたスペシャルで、生産台数は17台。しかもディテールは1台ずつ異なる。これをベースにアルファでカタログモデル化されたのが、「ジュリエッタSZ」。
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まるで昔の遊園地の豆自動車のように可愛らしい1949年「シアタ・アミカ」。ベースは「トッポリーノ」の愛称で呼ばれる「フィアット500B」で、小さいながらもちゃんと巻き上げ式のサイドウィンドウと立派なソフトトップを持つ「コンバーチブル」である。
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これも「虫」の仲間である1955年「バンディーニ750ストリームライナー」。当時のフェラーリやマセラティのレーシングスポーツをまんま縮小したようなアルミ製の流麗なボディに、バンディーニ自製の747ccビアルベロ(ツインカム=DOHC)エンジンを積む。ドライバーとコ・ドライバーもキマってる。
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「フィアット・アバルト750GTザガート」(1957年)。「フィアット600」をベースに、特徴的なダブルバブル(ルーフに泡のようなふくらみがふたつ並んでいる)のルーフを持つザガート製のアルミボディを載せた、50年代のアバルトの代表的なモデル。
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いわゆるバブルカーも数台参加した。「イセッタ」といえばBMWがライセンス生産したモデルが有名だが、これは1500台しか販売されなかったというイタリアの本家イソ製の「イソ・イセッタ」。ひとつの燃焼室にピストンがふたつ並んだ、独特の空冷2ストロークダブルピストン単気筒236ccエンジンを搭載する。
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1952年「ランチア・アウレリアB20 GT」。ヘミヘッドの狭角V6エンジン、トランスアクスル、インボード式のリアブレーキなど進歩的かつ高級な設計を誇る中型ベルリーナ(セダン)だったアウレリアのクーペ版。優雅なボディはピニンファリーナ製で、世界で初めて「GT」の名を冠したモデルと言われている。
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上品なランチア・ブルーに塗られた1959年「ランチア・アッピア・ザガートGTE」。非常にコンパクトな1.1リッター狭角V4エンジンを持つ、アウレリアの弟分であるアッピアのシャシーに、ザガート製のクーペボディを載せたモデルである。
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バンパーレスにしてコンペティション気分がいっぱいの1957年「ポルシェ356Aクーペ」。同時代のイタリアやイギリス製のスポーツカーと比べると、ボディが堅牢(けんろう)に作られていることが見た目でわかる。決して優劣ではなく、思想の違いではあるが。
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威風堂々とした風貌(ふうぼう)の1936年「ラゴンダLG45ラピード」。戦後アストン・マーティンと同門となったラゴンダが、独立したメイクだった時代の作品。ラゴンダは1935年にルマンで総合優勝しているが、その血筋を受け継ぐモデルで、30年代のクルマとしてはロードクリアランスが低いことに注目。エンジンは4.5リッター直6OHV。
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「練馬5」のシングルナンバーを付けた1967年「ロブ・ウォーカー・スプリント・ミニ・アニバーサリー」。ジョン・クーパーが手がけた「ミニクーパーSマーク1」のワークスカーをベースに、ボディを切り詰め全高を10数cm下げてロブ・ウォーカー仕様としたスペシャル。オーナーはミニ専門店として名高い「ミニマルヤマ」の丸山和夫氏。
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1955年「ジャガーXK140」。48年にデビュー、性能の割には安価なことで北米でヒットし、スポーツカーメイクとしてのジャガーの名を確立した「XK120」の改良型。エンジンは3.4リッター直6DOHC。これもバンパーが外されている。
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1966年「シェルビーGT350」。「コブラ」を作ったキャロル・シェルビーが、フォードの依頼を受けて仕立てたスーパー・マスタング。4.7リッターV8エンジンやサスペンションはもちろん、後席が取り払われ2座となるなど、内外装すべてに手が入れられている。
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鮮やかなイエローに塗られた1971年「ディーノ246GT」。フェラーリ初の市販ミドシップ・ロードカー(ただしフェラーリの名は付かない)である「ディーノ206GT」のボディをアルミからスチール製に変更し、V6エンジンを2リッターから2.4リッターに拡大したモデル。クラシック・フェラーリのなかでも、人気の高い1台である。
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1966年「ルノー8 ゴルディーニ」。弁当箱のような四角いボディの、実用的な4ドアセダンである「ルノー8」のリアに積まれたエンジンを、名チューナーであるゴルディーニの手になるヘミヘッドの1.1または1.3リッターに換装したコンペティションモデル。大きなネガティブキャンバーがつけられ、「ハ」の字状になった後輪に注目。