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1/25S字に揺らめく、大胆なリフレクション(陰影)が特徴的な「マツダCX-30」。今回は、今日における日本のカーデザインの水準と、さらなる発展を遂げるうえでの克服すべき課題について考えてみた。
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2/25今回の内容は、リアルイベント「ぶしつけ御免! 人気連載『カーデザイン曼荼羅』公開収録&交流会」の講演内容を編集したものだ。来場された皆さま、本当にありがとうございました。
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3/25いきなり、ちゃぶ台を返すような話で恐縮だが、そもそも日本のカーデザインは、世界的に見てもすでに高い評価を得ており、各地で権威ある賞を獲得している。写真は2026年のワールド・カー・オブ・ザ・イヤーにおいて、デザイン賞に輝いた「マツダ6e」。マツダが同賞を受賞するのは、これで3度目だ。
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4/25世界三大デザイン賞のひとつであるドイツのレッド・ドット・デザインアワード(1953年創設)で、2020年にプロダクトデザインの最高賞に輝くとともに、スマートプロダクト部門でも表彰を受けた「ホンダe」。日本車はカーデザインの観点はもちろん、工業デザインの観点でも高く評されているのだ。
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5/25「マツダCX-30」のサイドビュー。最近は欧州車でもドア面をうねらせた車種が見られるが、これほど大胆に動かしているのは、やはりマツダぐらいだ。
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6/25「マツダ3ファストバック」のリアクオータービュー。Cピラーからリアフェンダーにかけてが巨大な一枚の面となっており、非常にシンプルかつ独創的な構成となっている。
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7/25上から順に「フォルクスワーゲン・ゴルフ」と「マツダ3」「マツダCX-30」のサイドビュー。カーデザインに対する考え方の違いがよく分かる。
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8/25特有のプロポーションと面の動きが特徴的な、「トヨタ・クラウン スポーツ」(上)と「日産アリア」(下)。
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9/255代目「トヨタRAV4」のサイドビューとアイデアスケッチ。フロントのかたまりとリアのかたまりを組み合わせたら、接合部にはどんな模様が現れるのか? 日本のカーデザイナーは、そんなことも考えながら開発にいそしんでいるのだ。
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10/25日本では、空間効率を追求したミニバンや、寸法に制約のある軽自動車が大人気。たとえ「こんなの、どうすりゃカッコよくなるんだよ!」というパッケージでも、きっちりまとめ上げるデザイナーの底力は、世界的に見てもスゴいのだ。
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11/25パッケージ上の厳しい制約を、デザイナーが創意工夫で克服した例として挙げられるのが「トヨタ・アルファード」だ。
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12/25箱型のミニバンでは、パッケージに加えて大きなスライドドアもデザイン上の制約になる。リアドアやリアクオーターパネルに凹凸をつけると、スライド時にボディーとドアが干渉してしまうし、そもそもボディーにスライドレールを組み込む必要がある。面に抑揚をつける手だてが、ほとんどないのだ。
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13/25そこで「アルファード」では、デザインするうえで制約の少ない、フロントのフェンダーパネルとドアパネルで大胆に陰影を表現。リア側はあまり面に抑揚をつけず、ベルトラインの流れで動きを見せている。(写真:佐藤靖彦)
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14/25ご覧のとおり、リア側のパネルは非常に平滑。リアクオーターウィンドウの下にひとつ段差がついている程度で、広い面の圧で存在感を示している。
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15/25Bピラー根元の、ベルトラインのキックアップにも注目。こうすることで、ミニバン特有の大きなガラスエリアを薄く見せているのだ。
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16/25清水「あとはやっぱり、なんといってもこの顔だよね! これはもう、ミニバン史上最高傑作なんじゃないかな」
ほった「……」 -
17/25コンパクトミニバンの「トヨタ・シエンタ」。サイドビューで見ると、全高1.7mのボディーに対して、15インチサイズのタイヤはこんなに小さいのだが……。(写真:向後一宏)
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18/25クオータービューで見ると、なかなかのスタンスのよさ。いっちょまえに踏ん張りを感じさせる。(写真:向後一宏)
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19/25踏ん張り感の理由のひとつが、このフロントまわり。上部をぐっと絞り込むことで、フェンダーからバンパーコーナーにかけてを相対的に張り出させているのだ。
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20/25「トヨタ・シエンタ」のアイデアスケッチ。
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21/25日本で最も売れているクルマこと、軽スーパーハイトワゴンの「ホンダN-BOX」。その外寸は全長×全幅×全高=3395×1475×1790mm(4WDは全高=1815)である。欧州のデザイナーなら、筆をへし折りたくなるようなパッケージに違いない。
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22/25普通につくったらただの四角になってしまうところを、「N-BOX」ではフロントコーナーの上部を絞り込むことでスタンスのよさを表現。またリアコーナーの縁を丸めることで、乗用車的な質感や、視覚的な“軽さ”、リアタイヤの踏ん張り感を表現している。
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23/25リアコーナー(写真右奥)の丸みがよく分かるカット。フロントのタイヤまわり(写真左奥)を見ても、フロントコーナーの上部が削られているために相対的にタイヤが張り出して見え、スタンスのよさが感じられる。
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24/25ほった「ところでご両人は、新しくなった『N-BOXカスタム』の顔は、どう思います?」
渕野&清水「……」
ほった「……これは、いずれあらためて、オラオラ顔の正否についても議論せにゃなりませんね」 -
25/25清水「こんなカタチの自動車、世界中探しても日本にしかないだろうしねぇ」
ほった「それをここまでのクオリティーでまとめ上げるんだから、日本のカーデザイナーは、やっぱスゴいですよ」

渕野 健太郎
プロダクトデザイナー兼カーデザインジャーナリスト。福岡県出身。日本大学芸術学部卒業後、富士重工業株式会社(現、株式会社SUBARU)にカーデザイナーとして入社。約20年の間にさまざまなクルマをデザインするなかで、クルマと社会との関わりをより意識するようになる。主観的になりがちなカーデザインを分かりやすく解説、時には問題定義、さらにはデザイン提案まで行うマルチプレイヤーを目指している。

清水 草一
お笑いフェラーリ文学である『そのフェラーリください!』(三推社/講談社)、『フェラーリを買ふということ』(ネコ・パブリッシング)などにとどまらず、日本でただ一人の高速道路ジャーナリストとして『首都高はなぜ渋滞するのか!?』(三推社/講談社)、『高速道路の謎』(扶桑社新書)といった著書も持つ。慶大卒後、編集者を経てフリーライター。最大の趣味は自動車の購入で、現在まで通算47台、うち11台がフェラーリ。本人いわく「『タモリ倶楽部』に首都高研究家として呼ばれたのが人生の金字塔」とのこと。
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