1年目の通知表 新型「ホンダ・プレリュード」の販売実績は想定どおり?
2026.09.10 デイリーコラム新型「プレリュード」発売から1年が経過
ホンダの新型「プレリュード」の特別仕様車「2027リミテッドエディション(以下、2027LE)」が、2026年8月20日に発売となった。標準のプレリュードからメカニズムや装備の変更はいっさいなく、外板色や内装色、そして内外装ディテールのカラーコーディネートが専用仕立てとなる。
通算6代目として24年ぶりに復活したプレリュードは、2025年9月5日の国内発売をかわきりに、北米、中南米、欧州、豪州、東南アジアなどに順次市場投入された。こうした時系列や2027LEという商品名をみると、そこには「デビュー1周年記念」、そして2027モデルイヤー(MY)のキックオフ……といった意味合いがこめられていると思われる。
そんな新型プレリュードは、最近になって都内の街なかでもときおり遭遇するようにはなったが、失礼ながら、「よく見かける」というレベルとはいいがたい。
筆者も某ホンダディーラーと個人的な付き合いがあり、昨年の夏ごろには、営業担当氏から「新型プレリュードにご興味ありませんか?」という営業も受けた。当時は販売現場も新しいプレリュードをどういう客層にアピールすべきか考えあぐねており、このときは、ひとまず顧客リストのなかから、筆者を含めた“50代後半男性”を中心に声がけしているようだった。50代後半といえば、1982年~1991年のプレリュード全盛期(=2代目~3代目の現役時代)を肌で知る最後の世代といえる。
で、新型プレリュード発売から1年が経過して、たまたまその営業担当氏と話をしていると、「当店で売れたプレリュードは今のところ1台です。購入したのは、もともと当店のお客さまではない輸入車のオーナーさんです」とこっそり教えてくれた。つまり、このディーラーでの現時点で唯一の新型プレリュード購入者は、ホンダ車を長年乗り継いでいる筋金入りのファンではなく、いわばひと目ボレの飛び込み客ということか。
ちなみに、このディーラーは「土地がらもあって、軽自動車やコンパクトカーなど、比較的安価なモデルの販売比率が高い」そうだが、東京23区内のホンダ販売店としては比較的大きな部類に入る。それでも“1年で1台”ということは、プレリュードの販売は好調とはいえないのか……。というわけで、そのあたりの疑問を、ホンダ広報担当にぶつけてみると、次のような答えが返ってきた。
「プレリュードの国内登録台数は、発売からおよそ1年が経過した2026年8月26日現在で、累計3970台となっています」
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アメリカ市場での人気は?
日本全国で4000台弱しか走っていないのなら、今も街なかで頻繁に見かけないのもうなずける。ただ、これはプレリュードとしては不調というわけではない。というのも、2025年9月の発売時に公表されていた国内販売計画は“月間300台”。年間換算にすると3600台だから、実際の登録台数はそれを超えている。
また、ホンダ正規ディーラーは現在、日本全国で約2300店舗あるという。プレリュードの累積登録台数を店舗数で単純に割ると、1店舗平均で年間約1.73台。筆者が話をうかがった都内ディーラーの“1台”も、ある意味で平均的な成績といえる。
「プレリュードについては、24年ぶりの車名復活、また『S660』以来となる手ごろな2ドアクーペの投入ということで、多くのお客さまからご好評の声をいただいており、独自の存在感をきずいていると考えています。お客さまからはスポーティーで美しいデザインに加え、どこまでも走りたくなる走りのよさと快適な乗り心地、『ホンダS+シフト』による新しい運転感覚、そして『e:HEV』ならではの静粛性、快適性、優れた燃費性能に、高い評価をいただいています」(ホンダ広報担当)
もっとも、プレリュードは冒頭にも書いたようにグローバル商品でもあり、この種のクーペやスポーツカーの大票田といえば、いうまでもなくアメリカ合衆国市場だ。プレリュードも日本の次に合衆国を含む北米で発売されて、本格的な販売がはじまった2026年1月~8月の販売台数は約2500台。月間計画は日本と同じ300台とのことなので、合衆国でも一応は計画台数に達している。
ちなみに、同国(の同時期)におけるライバル車の販売台数は、「マツダMX-5ミアータ(和名はロードスター)」が約6900台、「GR86」が約5200台、「スバルBRZ」が約2100台だった。「日産Z(和名フェアレディZ)」についてはマイナーチェンジの関係もあってか、2026年の販売は明確に落ち込んでいるが、2025年は年間5500台ほどだったとのことで、単純換算での同期間の販売台数は3600~3700台といったところか。
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2027LEはカンフル剤となるか?
近年の国産スポーツカーはどれも日本と合衆国で同等か、場合によっては日本の台数が上回るケースも多く、プレリュードも例外ではない。それはともかく、この“BRZ以上、GR86未満”という台数をどう評価するかには議論があるだろう。ただし、ホンダ広報担当によると、アメリカ合衆国におけるプレリュードにまつわる公式見解は「アメリカでもスポーティーなデザインや走りの魅力について高い評価をいただいております。また、NACOTY(北米カー・オブ・ザ・イヤー)のファイナリストに選出されるなど、商品として高い関心を集めるとともに、ホンダブランドの存在感向上やハイブリッドモデルの魅力発信に貢献していると考えております」とのことである。
プレリュードのような趣味性の高いクルマの場合は、デビュー初年度に販売のピークとなるケースも多いので、発売初年度の“計画台数+α”というレベルの台数に、少しばかりさみしい気もするのも本音だ。
標準のプレリュードは、比較的はっきりした色調の外板色に、バンパー下部やブレーキキャリパーに青のアクセントをあしらい、インテリアも白や青を基調としたさわやかな仕立てとなっているのに対して、今回の2027LEは内外装とも、ダークな“ワインレッド”調で統一される。ホンダ広報担当によると、外板色の「プレミアムクリスタルガーネット・メタリック」は4代目の外板色「カシスレッドパール」へのオマージュであり、ボルドーを基調としたインテリアは、真紅の内装色を用意した5代目のイメージだとか。
さらに前後バンパー下部のアクセントやブレーキキャリパーもレッドに変えられた今回の2027LEは、プレリュードに「クルマは悪くないけど、色のセンスが……」とためらっていた向きの背中を押す役割も担うことになるだろう。実際、プレリュードどんぴしゃ世代の筆者にも、2027LEはけっこう刺さる。そんな2027LEが「不調ではないが、絶好調ともいえない!?」というプレリュードの販売台数を大きく押し上げたりすると、2028MYあたりからのプレリュードの戦略も、また変わってくるかもしれない。
(文=佐野弘宗/写真=本田技研工業/編集=櫻井健一)
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佐野 弘宗
自動車ライター。自動車専門誌の編集を経て独立。新型車の試乗はもちろん、自動車エンジニアや商品企画担当者への取材経験の豊富さにも定評がある。国内外を問わず多様なジャンルのクルマに精通するが、個人的な嗜好は完全にフランス車偏重。
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