新車ラッシュの日本勢!【LAショー2012】
2012.12.06 自動車ニュース【LAショー2012】新型「トヨタRAV4」に「アキュラRLX」、日本車は新車ラッシュ!
2012年11月28日に開幕したロサンゼルスオートショー2012。北米市場で大きな勢力を形成する日本車メーカーにとって、LAショーは自社のイメージや新型車をアピールする絶好のチャンス。かの地でのさらなる飛躍を目指し、多くのニューモデルを発表した。
■新型「RAV4」も“キーンルック”に
まずは、「トヨタRAV4」が7年ぶりに新型へと生まれ変わった。乗用車的なテイストを持つコンパクトSUVの草分けも、これで4世代目を数える。北米では“セクレタリーカー”などと呼ばれる女性向けの用途からファミリーカー需要までに応える万能車という位置付けだが、日本では「ヴァンガード」や「ハリアー」にその道を譲り、導入されないもようだ。
「コンパクトSUV」という車両コンセプトや、ボディー全体のフォルムなどは先代から引き継いでいるが、「オーリス」から展開されている、トヨタの新しい「キーンルック」デザインを採用し、イメージを大きく変えた。先代よりもアグレッシブでスポーティーな印象が増し、“変わった感”は十分だ。もっとも、まだ新しいデザイン言語を自在に使いこなせていない印象も残る。
これまで北米向けのRAV4にはショートとロングの、2種のボディーが用意されていた。しかし今回お披露目されたのは、全長4569×全幅1844×全高1661mm、ホイールベース2659mmの1種だけ。全長は先代のロングより約50mm短く、逆にショートより約260mm長い。これより短い(あるいは長い)バリエーションが今後追加されるかどうかは発表されなかったが、このボディーに一本化される可能性もある。シート配置は2列の5人乗車のみ。先代のロングボディーに設定されていた3列7人仕様の有無も、今回はアナウンスされなかった。
搭載するエンジンは2.5リッター直4。北米向けに用意されていた3.5リッターV6は、今のところラインナップされない。おそらくその代わりに、「カムリ」などに搭載されている2.5リッター直4ハイブリッドが追加されることになるだろう。ATが5段から6段へと進化を遂げたのもトピックだ。
■「アキュラRLX」は3モーターのハイブリッドに注目
ホンダのプレミアムブランド、アキュラのスタンドで注目されていたのが「RLX」である。アキュラのみならず、本田技研の四輪車ラインナップのトップに君臨するモデル(日本では「ホンダ・レジェンド」に相当)であり、この新型で5世代目となる。
先代はコンパクトなキャビンを持つスポーティーな装いだったが、新型ではシルバーメッキを大胆にあしらったフロントグリルを採用するなど、ラグジュアリー色が強められた。LED式のテールランプをはじめ、ディテールの意匠はちょっとハデめ。全体的にきらびやかさが増した印象だ。もしかすると、大きな需要が期待できる中国市場も意識しているのかもしれない。
エンジンをフロントに横置きする基本的なレイアウトは変わらないが、機能面はかなりのブラッシュアップが図られている。エンジンは気筒休止機能(6→3気筒)を備えた新開発の3.5リッターV6SOHCで、310psと37.6kgmを発生する。
またシャシーにも「Precision All-Wheel Steer」と呼ばれる世界初の四輪操舵(そうだ)システムが採用されている。四輪操舵自体は目新しい装備ではないが、左右後輪のトー角を独立制御するところが世界初なのだそうだ。
そしてRLXにおける最大のトピックは、2013年後半に追加される「SPORT HYBRID SH-AWD」である。4代目のレジェンドに搭載されていた四輪駆動システム「SH-AWD」を進化させたもので、左右後輪のトルク配分を従来は多板クラッチを用いて可変制御していたが、それを2基のモーターに置き換えている。先代のシステムと同様に、左右後輪のトルク配分を自在に制御するだけでなく、駆動力を変化させることでヨーを発生させる、つまり後輪を操舵したのと同じ効果を生み出すことができる。
このモデルに搭載されるパワーユニットは、新しい3.5リッターV6SOHCに1モーター内蔵の7段DCTを組み合わせたハイブリッドシステム。つまり、車体全体で計3基のモーターを搭載していることになる。
このSPORT HYBRID SH-AWD仕様のレジェンドは、2013年の後半に日本でも発売される見込みだ。すでにお届けしているLAオートショー開幕のリポートでは「日本への導入が見送られる可能性が高い」と書いたが、ごめんなさい、訂正します。
■「シビック」が早くもマイナーチェンジ
またホンダは、2011年に北米で発売したばかりの新型「シビック」に、早くもマイナーチェンジを施した。新型シビックといえば、2011年にアメリカの消費者専門誌『コンシューマー・リポート』から「積極的に推薦せず」という辛い評価を受け、ホンダ側が「受け入れられない」と反論するいきさつがあったのが記憶に新しい。ホンダにとって、そこで受けたダメージは決して小さくはなかったはずだから、スタイルを刷新し、新しいモデルとすることでイメージアップを図るのが狙いだろう。
日本車では、このほか日産が「サニー」を祖に持つCセグメントセダン「セントラ」のニューモデルをお披露目した。また、スバルは新型「フォレスター」を、また三菱は新型「アウトランダー」をそれぞれ北米デビューさせている。いずれのメーカーもいつも以上に中身の濃い展示になっており、北米市場にかける意気込みを感じさせた。
(文と写真=新井一樹)
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