日産スカイラインセダン350GT(6MT)【試乗記】
もっとスカイラインを! 2003.07.02 試乗記 日産スカイラインセダン350GT(6MT) ……320.0万円 2003年6月3日のマイナーチェンジによって、「3.5リッターV6+6段MT」の選択が可能になった「スカイラインセダン」。自動車ジャーナリスト生方聡が、千葉県にある「東京ドイツ村」での試乗会に参加した。待望のマニュアル仕様
日産スカイラインに、これまでクーペにしかなかったマニュアルモデルが、セダンにも用意されるようになった。2003年6月3日のマイナーチェンジで追加されたのは、セダンの「350GT」および「350GTプレミアム」。350GTに対し、350GTプレミアムは、運転席パワーシートやBOSEサウンドシステム、レイズ製鍛造アルミホイールなどが標準装着される豪華仕様。いずれも、3.5リッターV6と6段マニュアルギアボックスの組み合わせになる。価格はそれぞれ300.0万円と325.0万円。350GTプレミアムとほぼ同じ装備内容で3.5リッターとCVTを組み合わせた「350GT-8」が366.0万円であることを考えると、かなりおトクな価格といえる。
6段マニュアルの変速比は、1速:3.794、2速:2.324、3速:1.624、4速:1.271、5速:1.000、6速:0.794、最終減速比:3.538で、クーペ(そしてフェアレディZ)とまったく同じ。3速から6速がクロースの設定である。VQ35DE型エンジンも、最高出力272ps/6000rpm、最大トルク36.0kgm/4800rpmと、こちらもクーペと同じスペックである。
適度にスポーティ
今回試乗したのは350GTである。スカイラインセダンのなかではスポーティな存在だが、クーペのように前後プロファイルの違うタイヤを装着したり、ブレンボ製ブレーキキャリパーを奢ったり……ということはない。タイヤは前後ともに「215/55R17」サイズで、試乗車には「ダンロップSP SPORT230」が装着されていた。サスペンションは、セダンのなかでは硬めの“ユーロチューンドサスペンション”を採用する。
さっそく運転席に収まり、シートポジションを調節する。ステアリングのチルト機構は、ステアリングコラムだけでなく、メーターごと上下する親切設計だ。メーターパネルはオートマチックと若干違うデザインとなるが、スポーツサルーンを演出するまでには至ってはいない。それは室内の他の部分にもいえることで、もうすこし落ち着いたなかにもドライバーの気持ちを高揚させるスパイスがほしいものだ。
一方、運転した印象は適度にスポーティである。カチッとしたフィールのシフトレバーを1速に送り、クラッチをつなぐと、低回転からトルクに余裕のあるエンジンのおかげで、いとも簡単にクルマは動き出す。乗り心地は硬めではあるが、フラットで十分快適なレベル。路面の荒れを伝えることもあるがカドが取れた感じで、目地段差を越えたときのショックの遮断も悪くない。
V6エンジンは、1500rpmも回っていれば十分走る柔軟性を備えており、2000rpmを超えれば、さらなる力強さを見せる。だから街なかでは、シフト操作をさぼって、3速に入れたままでも走ることはできるのだが、ストロークの短いシフトレバーとヒールアンドトウのしやすいペダル配置を活かして、ここは積極的にシフト操作をしたい。
低いギアを選んでエンジンを回してやると、4000rpmあたりから一段と力強い印象。自然吸気エンジンらしく、スロットル操作に対するレスポンスはダイレクトで、最大出力をマークする6000rpmあたりまで気持ちよく吹け上がる。その際、キャビンにはエンジンからのノイズがある程度侵入してくるが、決して耳障りではない。おそらく設計者の意図した演出なのだろう。
足りないのは主張
今回は一般道のみの試乗だったが、乗り心地や快適性を損なわず、スポーティに仕上げられた点に好感を抱いた。クーペに比べるとラゲッジスペースも広く実用的で、“どうしてもクーペ”というこだわりがなければ、セダンでも十分楽しめる。
そういいながら、何か物足りない。あるときスカイラインに乗っていたら「このクルマは何ですか?」と尋ねられたことを思い出した。伝統ある名前は知っていても、名前とクルマが一致しない。それほど現行モデルはドラスティックに変貌を遂げたといえるのだが、その反面、一目見てスカイラインとわかるフォルムが失われてしまったのが残念だ。丸形のテールランプにこだわるかどうかという次元ではなく、スカイラインとしての主張がもっとあってよかったのではないか、と思う。
(文=生方 聡/写真=峰 昌宏/2003年6月)

生方 聡
モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。
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