カロッツェリアは秀作ぞろい【ジュネーブショー2012】
2012.03.13 自動車ニュース【ジュネーブショー2012】今年はカロッツェリアも秀作ぞろい
例年にもまして力作がそろう今年のジュネーブモーターショー。大手メーカーのニューモデルが佳作ぞろいなら、ジュネーブの華、カロッツェリアの“ドリームカー”も同様。長く記憶に残りそうな秀作がめじろ押しだった。
■夢のようなクルマがぞくぞく
現在、カロッツェリアが出展しているショーカーは、基本的に自社のデザインや技術を自動車メーカーへ売り込むためのものであり、一般のユーザーがそれを手に入れることは難しい。しかし遠い昔、まだ自動車メーカーが製作したエンジンとシャシーにカロッツェリアが手掛けたボディーを架装していた頃は、ショーカーそのものを自分のガレージに納めることができた。今では考えられないようなぜいたくな話である。
しかし、今回のジュネーブショーでそんな夢物語を現代によみがえらせたカロッツェリアがいた。その名はカロッツェリア・トゥーリング・スーパーレッジェーラ社。同社は今回、1952年に手掛けた「アルファ・ロメオ1900 C52“ディスコヴォランテ”」をモチーフにしたコンセプトカー「ディスコヴォランテ2012」をお披露目した。
2006年に発表された市販のスーパースポーツ「アルファ・ロメオ8Cコンペティツィオーネ」をベースに、職人が手でトンテンカンとたたいたアルミボディーを載せている。つまり、「8Cコンペティツィオーネ」の実車とお金さえ用意すれば、誰でもこの「ディスコヴォランテ2012」を手に入れられるというわけだ。
販売価格2200万円の限定500台のクルマをカロッツェリアのボディーに架装し直すというのはなんたるぜいたく……。価格は発表されていないが、製作に掛かる日数は8カ月ほどだという。
一方、2010年にフォルクスワーゲン傘下に入ったイタルデザインは、ハイブリッド4シータークーペ「BRIVIDO(ブリヴィド)」を公開した。フォルクスワーゲン傘下に入ったということで、「フォルクスワーゲングループの新型車を模索したものか?」と、よこしまな目で見てしまうが、そのような発表は今のところない。クーペでありながら、実用性をないがしろにしていないジウジアーロらしいスタイリングは、なかなか好感度が高かった。
■期待の“地元”リンスピード
自動車メーカーやカロッツェリアの出展ラッシュがひと段落したのか、ここ数年、リッチな顧客を相手にしたチューニングメーカーの存在が目立つ。ブラバス、RUF、マンソリーなど、名だたるチューナーが軒を連ねている。
しかし、ここジュネーブでチューニングメーカーといったらやはり地元リンスピードの存在を忘れることはできない。同社は地元の企業というだけでなく、毎年、奇抜なアイデアを取り入れたコンセプトカーを出展することで知られている。
今年のコンセプトカーは「スマートEV」にトレーラーを組み合わせた「Dock+Go」。トレーラーは荷台の下にバッテリーが積まれており、実用性を高めながら航続距離を伸ばす工夫が施されている。残念ながら、リンスピードのコンセプトカーはその発想の奇抜さゆえ、市販に結びついた例は(おそらく)なく、今回もこのままお蔵入りになってしまうのだろう。
でも、そんなことは関係ない。「お祭りの出し物」と言ったら失礼かもしれないが、少なくともジュネーブショーの常連たちは毎年、リンスピードの展示を楽しみにしている。そしてリンスピードも、毎年それにきっちり応えている。
モーターショーの主役はあくまでクルマだ。開催場所にこだわるのもいいけれど、ショーの集客に必要なのはこういうことだったりするのだ。どうでしょう? わが東京モーターショー関係のみなさん!
(文と写真=新井一樹)
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
関連キーワード:
ジュネーブモーターショー2012,
イベント, 自動車ニュース