中国セダン「クオロス3」欧州衝突テストで5つ星
2013.10.01 自動車ニュース ![]() |
中国セダン「クオロス3」が欧州衝突テストで5つ星
中国のクオロスオートモーティブ社は2013年9月25日、同社のセダン「クオロス3」が、欧州で行われる自動車衝突安全テスト「ユーロNCAP」で、最高評価の5つ星を獲得したことを発表した。
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クオロスは中国の奇瑞汽車(チェリー自動車)とイスラエルの投資会社が2007年に設立したブランド。副社長に元フォルクスワーゲン・ノースアメリカのフォルカー・シュタインヴァッシャー氏、デザインディレクターにMINIのデザインを主導したゲルト・ヒルデブラント氏など、欧米の自動車エキスパート十数名をスカウトして話題を呼んだ。開発には上海、ミュンヘン、グラーツなど4極体制を敷いている。
「クオロス3」は欧州で「フォルクスワーゲン・ゴルフ」「アウディA3」などと同じCセグメントに該当するセダン。プレスリリースによると、1839mmの広い全幅がセリングポイントだ。
エンジンは1.6リッターおよび1.6リッターターボで、変速機はいずれも6段マニュアルとシーケンシャルシフトが用意されている。
2013年3月のジュネーブショーで世界初公開されたあと、翌4月の上海ショーで中国初展示された。
ユーロNCAPのテストは、前面40%オフセット衝突(64km/h)、側面衝突(50km/h)、および側面ポール衝突(29km/h)、歩行者衝突(40km/h)で判定される。
今回のクオロス3のテスト結果は、 成人乗員保護95%、幼児乗員保護87%、歩行者保護77%、安全補助装置81%で、それら各項目に独自の比率を加えて算定した総合評価点は88%=5つ星だった。総合評価点はユーロNCAP自体では公表していないが、今回の88%は、2013年にユーロNCAPがテストを行った車両中、現時点で最高点である。
中国を本拠とするメーカーで5つ星を獲得したのは、今回のクオロス3が初めてだ。中国車といえば、2010年にランドウインド(陸風汽車)のミニバン「CV-9」が同じユーロNCAPを受けた際は、わずか2つ星にとどまった。また2007年のADAC(ドイツ自動車連盟)による衝突テストでも、ブリリアンス(華晨汽車)の大型セダン「BS6」の変形がクラッシャブルゾーンを越えて前席乗員スペースまで及んだことから、結果として欧州進出に失敗した。
そうした経緯があっただけに、今回のクオロスの5つ星獲得は、ヨーロッパの自動車界に少なからぬ衝撃をもたらしている。
クオロスは欧州進出における第一歩として、すでにスロバキアでクオロス3の販売を開始した。価格は2万960ユーロ(約273万円)だ。今後販売は、周辺諸国にも順次拡大してゆく構えである。
3月のジュネーブにおける担当者の話をもとにすれば、「欧州で好評を得ることが、ひいては中国での高い評価につながる」というのがクオロスの考えだ。
ところで韓国車は、停滞が続く今日の欧州自動車市場で、数少ない好調なセールスを記録している。クオロスはそうした韓国車より、さらに速いペースで進出を図ろうとしている。さらに韓国車がシティーカーで足がかりを作ったのと違い、いきなり準プレミアム路線で戦いを挑む。欧州の自動車史にとっても、初めてのケースだけに注目に値する。
(文=大矢アキオ<Akio Lorenzo OYA>/写真=クオロス、ユーロNCAP、Akio Lorenzo OYA)
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