ブリヂストンが路面状態判別技術の実用化に成功

2015.11.27 自動車ニュース webCG 編集部
技術発表会に登壇した3人。左から、ブリヂストンの森田浩一氏、花塚泰史氏、統計数理研究所の樋口知之所長。
技術発表会に登壇した3人。左から、ブリヂストンの森田浩一氏、花塚泰史氏、統計数理研究所の樋口知之所長。 拡大

ブリヂストンが路面状態判別技術の実用化に成功

ブリヂストンは2015年11月25日、「CAIS」と呼ばれるタイヤセンシング技術を用いた、路面状態判別技術の実用化に成功したと発表した。

タイヤ内に設置されたセンサーユニット。路面状態判別技術の実用化に際しては、情報の解析や識別のアルゴリズムの高度化に加え、センサーユニットの小型化や耐久性の向上も課題だったという。
タイヤ内に設置されたセンサーユニット。路面状態判別技術の実用化に際しては、情報の解析や識別のアルゴリズムの高度化に加え、センサーユニットの小型化や耐久性の向上も課題だったという。 拡大
「CAIS」の路面状態判別技術が搭載された「日産エクストレイル」。センサーは右のフロントタイヤに装着されている。
「CAIS」の路面状態判別技術が搭載された「日産エクストレイル」。センサーは右のフロントタイヤに装着されている。 拡大
インストゥルメントパネルに装着された専用ディスプレイ。中央上段のモニターに加速度センサーが検知した振動の変化が、その下の枠に路面状態の判定結果が表示される(写真で「未判定」と表示されている枠)。
インストゥルメントパネルに装着された専用ディスプレイ。中央上段のモニターに加速度センサーが検知した振動の変化が、その下の枠に路面状態の判定結果が表示される(写真で「未判定」と表示されている枠)。 拡大
ラゲッジルームに搭載される解析装置。一般車両への普及に際しては、車載ECUでも情報の解析、識別が可能なまでにアルゴリズムを高度化させる必要があるという。
ラゲッジルームに搭載される解析装置。一般車両への普及に際しては、車載ECUでも情報の解析、識別が可能なまでにアルゴリズムを高度化させる必要があるという。 拡大

■タイヤのトレッドの振動を解析し、路面の状態を7種類に判別

CAIS(Contact Area Information Sensing)とは、タイヤの内側に装備されたセンサーによって路面状態やタイヤの状態などを把握する、ブリヂストン独自のセンシング技術である。

今回実用化されたのは、タイヤのトレッドの振動をもとに冬季の路面状態を判別するシステム。その仕組みは、回転時にタイヤのトレッド面が地面に接地、乖離(かいり)することで生じる振動の変化を加速度センサーで計測し、無線で車載解析装置に送信。その情報をリアルタイムで解析し、「乾燥」「半湿」「湿潤」「シャーベット」「積雪」「圧雪」「凍結」の7つの路面状態に判別するというものだ。判別の結果は車載のディスプレイを通してドライバーに知らされるほか、通信ネットワークを介して共有することが可能となっている。

■冬季の道路管理をより効率的・効果的に

今回、CAISを用いた路面状態判別技術の運用に踏み切ったのは、北海道内の高速道路の保全・点検業務を担うネクスコ・エンジニアリング北海道である。同社は2011年11月よりブリヂストンと共同で同技術の試験を推進。このたびブリヂストンとライセンス契約を結び、2015年の冬より道路管理の現場において同技術の運用を開始することとなった。

具体的には、CAISを搭載した巡回車が事前に高速道路を巡回し、路面情報を凍結防止剤散布車と共有。自動散布システムによって必要な場所に必要な分だけ凍結防止剤をまくことにより、効率的かつ効果的な雪氷対策作業が可能になるという。なお、タイヤから得た情報による路面状態判定技術の実用化は、今回が初となる。

CAISでは加速度センサーのほかにも、空気圧や温度などのセンサーもタイヤ内に設置することが可能となっている。ブリヂストンでは、CAISの核となる「タイヤ挙動理解」と「センサーデータの理解」を自社のコア技術とし、国立の研究機関である統計数理研究所と共同で情報の解析や識別に関するアルゴリズムの高度化を推進。システムのコンパクト化、低価格化を推し進め、ゆくゆくは乗用車などの一般車両への適用を目指すとしている。

(webCG)
 

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