独自デザインをまとう新型プリウスPHVが登場【ニューヨークショー2016】
2016.03.23 自動車ニュース![]() |
【ニューヨークショー2016】新型「トヨタ・プリウスPHV」がデビュー
トヨタ自動車は2016年3月23日、ニューヨーク国際オートショー(開催期間:2016年3月23日~4月3日)において、プラグインハイブリッド車「プリウスPHV」の新型を発表した。
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■普通の「プリウス」と違う姿
2012年1月の発売以来、日本とアメリカ、ヨーロッパを中心に約7万5000台を販売しているというプリウスPHV。今回発表された新型は、プラグインハイブリッド車がハイブリッド車に次ぐ次世代環境車の柱として広く普及するよう、EV走行距離の大幅拡大や先進的なデザインの採用など、ユーザーがプラグインハイブリッド車に求める要望に対応。電気を活用した新たなカーライフスタイルを提案できるクルマを目指して開発したという。
現行プリウスPHVは、一見したところでは普通の3代目プリウスと見分けがつきにくかった。よく見ればフロントマスクとリアエンドのディテールが異なっているのだが、クルマに詳しい人でなければ気付かない程度である。それに対して新型プリウスPHVのエクステリアは、現行プリウスとの明確な差別化が図られた。
まず顔つきが、大型アクリル製グリルと小型4眼式LEDプロジェクターヘッドランプによって、まったく異なる独自のものとなった。リアオーバーハングはプリウスより80mm延長され、より伸びやかなサイドシルエットを創出。フロント部分の変更と合わせて、全長はプリウス比で105mm長くなった。そしてリアウィンドウには、空気の流れをイメージし、2つのふくらみを持たせた波状断面のダブルバブルバックドアウィンドウを採用。その曲面をリアスポイラー、サブウィンドウまで連続させ、空力性能とエモーショナルな造形を強調したとうたわれる。この造形はたしかに新鮮で、人目を引くことだろう。
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■燃費向上の新技術も採用
インテリアは、インストゥルメントパネル中央に、11.6インチのトヨタ初となるフルHD縦型ディスプレイを配置。ナビゲーションシステムには、より効率的な運転ができるようドライバーを支援する「先読み減速支援」機能を搭載。個々のドライバーの減速習慣を蓄積し、走行中に減速地点が近づくとアクセルオフを促し、同時に回生拡大制御により効率的にバッテリーを充電する。
エアコンは世界初のガスインジェクション機能付きヒートポンプオートエアコンを採用。エンジンを作動させずに暖房を使用しながらEV走行できる距離、速度域を大幅に拡大し、運転中の快適性を向上させている。さらに、シートを4座仕様とすることで軽量化を図り、PHVの使命である環境性能を向上させた。
プラグインハイブリッドシステムは、リチウムイオン電池の小型軽量化、高容量化によって、PHVならではの性能が大幅に進化。またエンジンと動力分割機構の間に新たにワンウェイクラッチを採用することで、従来のハイブリッドシステムでは発電機としてのみ使用していたモーターを、走行用モーターとしても利用するデュアルモータードライブシステムを実現。EVモード走行時の力強い走りを実現するとともに、日常使用時のモーター走行領域を拡大した。こうしたシステムの進化によって、JC08モードのハイブリッド燃費はリッターあたり37.0kmと、現行モデルの31.6kmに比べおよそ17%向上。EV走行距離は、現行モデルの26.4kmに対して60km以上と5割以上も延びた。
充電については、家庭用電源からの充電に加え、新たに充電ステーションでの急速充電にも対応(日本仕様のみ)。約20分で充電量80%までの急速充電が可能となった。また駆動用バッテリーを充電する世界初のソーラー充電システムを搭載(日本、欧州仕様のみ)。ルーフに設置された太陽光パネルによって発電した電力を、駐車時は駆動用電池の充電に、走行時は補機電池および補機類の電力供給補助に利用でき、エコロジーと優れた利便性を両立した。さらに家庭用蓄電池の代替として、駆動用電池の電力を車外に取り出す外部電源供給システムを搭載。非常時にはエンジンも作動し、発電機として利用することも可能となっている(日本仕様のみ)。
新型プリウスPHVは、アメリカでは「プリウス プライム」の名で、日本とヨーロッパではプリウスPHVとして、2016年秋から販売される見通し。
(文=沼田 亨)