【パリモーターショー2016】華も実も充実のフランスブランド
2016.09.30 自動車ニュース![]() |
今年のパリモーターショーには、EVのコンセプトカーからレーシングマシン、SUVからコンパクトカーまで、多種多様なクルマが出品された。その中で、ホームとなるフランス勢のブースは、夢いっぱいのコンセプトカーとヒット濃厚の量産車という、華も実も充実した内容であった。
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■ルノーは未来を模索するスーパーカーコンセプトを展示
ルノーのブースは、いつものように小高い丘のようなスタイル。その最も高い場所に飾られたのがEVコンセプトカーの「TREZOR(トレゾア)」だ。全長4.7×全幅2.18×全高1.08mの堂々としたボディーはカーボン素材を使用。クルマの“ショルダーライン”から上に開くという、大胆な構造となっている。パワートレインは、フォーミュラEゆずり。1600kgのボディーを4秒以下で100km/hまで加速させることができるという。スポーティーな究極のEVを夢想させる、華のある一台であった。
もうひとつのルノーのイチオシが新しいバッテリーを搭載した「ZOE(ゾエ)」だ。新しいバッテリーは、従来同等のサイズのまま、容量を22kWhから41kWhに増大。NEDCサイクルでの航続距離は400km、リアルな実走行では300kmを実現するという。EVの弱点のひとつである航続距離の不足が、これでまた少し解消された。EVがガソリン車同様の航続距離を達成する日は、意外に近いのかもしれない。
■SUVテイストを強めた新型「シトロエンC3」が登場
シトロエンからは新型「C3」が登場した。丸みを帯びたキュートなルックスが特徴であった旧型から、新型は「C4カクタス」を彷彿(ほうふつ)とさせるクロスオーバー風に大胆に変身したのだ。しかも、そのカラフルなカラーリングは、細かくオーナーの好みに変更することも可能だという。さらに先進の運転支援機能も装備。ガソリンとディーゼルの2種類のエンジンと6段EATが組み合わされる。C4カクタスの成功に続き、新型C3もヒットする可能性は非常に大きいのではないだろうか。
そのC3と同じく公開されたのが、C3のWRCバージョンである「C3 WRCコンセプト」。実際に参戦する車両そのものではなく、2017年から参戦するレーシングマシンのイメージを伝えるコンセプトカーだ。1年間の充電期間を経たシトロエンのWRC参戦は、それ自体がトピック。WRC参戦も新型C3のヒットの強力な後押しとなることだろう。
もうひとつのシトロエンの目玉がコンセプトカーの「CXPERIENCE(シーエクスペリエンス)」だ。これはシトロエンの考えるコンフォート&エグゼクティブを具現したもの。観音開きのドアを持つボディーは全長4.85×全幅2×全高1.37m。シトロエンの伝統にのっとり、乗員の快適さを追求した室内となっている。パワーユニットはプラグインハイブリッドで、150~200psのガソリンエンジンと80kW以上のモーターを組み合わせたシステム合計の出力は300ps以上。EV走行の航続距離は60kmを実現するという。
■プジョー、ヒット濃厚な2台のSUVと1台のレーシングカーを発表
プジョーからは3台の魅力的なSUVがワールドプレミアとして世に送り出された。「3008」および「5008」という量産車の新型モデルと、2017年のダカールラリーに挑戦する「3008 DKR」のレーシングマシンだ。
3008はCセグメントのSUVであり、プジョーの次世代HMIである「i-Cockpit」を採用する。フランスのソショーで生産される3008は、今回のパリでのデビューの後、世界各地に投入される予定だ。スポーティーな「GT」や「GTライン」といったバリエーションも用意されるなど、プジョーらしい走りの良さで世界でも人気モノとなりそうなモデルだ。
同じく5008は、CセグメントのSUVではあるけれど、3列シート7人乗りのSUV。プジョーの次世代プラットフォームEMP2から生まれ、i-Cockpitなどの最新技術が数多く採用されている。MPVとしての人を運ぶだけでなく、3列シートを倒せば、広々とした荷室を作ることもできる。フランスのレンヌで生産され、2017年春に欧州で販売が開始される。
3008のスポーティーなイメージをより強めるレーシングマシンが3008 DKRだ。2017年1月にプジョーは、セバスチャン・ローブなどがドライブする4台の3008 DKRでダカールラリーに挑戦する。
(文と写真=鈴木ケンイチ)
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