【SUPER GT 2017】第7戦タイでKeePer TOM'S LC500が2勝目

2017.10.09 自動車ニュース 古屋 知幸
2017年シーズンで唯一の海外ラウンドとなるタイ戦を制した、平川 亮/ニック・キャシディ組のNo.37 KeePer TOM'S LC500。
2017年シーズンで唯一の海外ラウンドとなるタイ戦を制した、平川 亮/ニック・キャシディ組のNo.37 KeePer TOM'S LC500。拡大

2017年10月8日、SUPER GTの第7戦がタイの東北部ブリーラム県にあるチャーン・インターナショナル・サーキットで開催され、GT500クラスはNo.37 KeePer TOM'S LC500(平川 亮/ニック・キャシディ)が勝利。平川/キャシディ組は、最終戦を前にドライバーズランキングでもトップに立った。GT300クラスでもNo.51 JMS P.MU LMcorsa RC F GT3 (中山雄一/坪井 翔)が勝ち、第2戦富士に続いてレクサス車が今季2度目の両クラス制覇を実現した。

GT500クラスのスタートシーン。路面がぬれた状態で、戦いの火ぶたが切られた。
GT500クラスのスタートシーン。路面がぬれた状態で、戦いの火ぶたが切られた。拡大
No.6 WAKO'S 4CR LC500(大嶋和也/A.カルダレッリ)。予選4位からのスタートで、2位表彰台を獲得した。
No.6 WAKO'S 4CR LC500(大嶋和也/A.カルダレッリ)。予選4位からのスタートで、2位表彰台を獲得した。拡大
大応援団の声援を背に、塚越広大/小暮卓史のNo.17 KEIHIN NSX-GTが3位に入った。
大応援団の声援を背に、塚越広大/小暮卓史のNo.17 KEIHIN NSX-GTが3位に入った。拡大
GT500クラスの表彰式。No.37 KeePer TOM'S LC500の2人(写真中央)は、ランキングトップで次回の最終戦に臨む。
GT500クラスの表彰式。No.37 KeePer TOM'S LC500の2人(写真中央)は、ランキングトップで次回の最終戦に臨む。拡大

勢いある若手と粘りのベテランが見せた

第7戦タイは雨に悩まされた2日間だった。予選日は走行前後に雨が降り、難しい路面コンディション。決勝日も午前は好天だったが、スタート30分前にスコールに襲われた。雨は数分でやむも、コースはドライから一転して完全なウエットに。だが気温は30度を超えており、この後は路面が乾いていく。各チームはタイヤの選択に頭を悩ませた。結局、予選トップ6は順当にレインを選択。以降の3台だけがスリックでスタートした。

レースも10周を過ぎると、コースはほぼドライに。ウエットを選んだ上位陣は14、15周でタイヤ替えるためピットへ向かう。それでもスリック選択組に利はなし。彼らはウエット時のペースが悪すぎた。すでに周回遅れとなっており、上位進出はできなかった。

レース序盤はポールのNo.37 KeePer TOM'S LC500(ニック・キャシディ)とNo.12 カルソニック IMPUL GT-R(ヤン・マーデンボロー)のマッチレースとなった。滑りやすい路面で2人のペースはずば抜けており、スリックに替えてからも同じ状況は続いた。

ドライバー交代後も37号車(平川 亮)がトップをキープ。終始、2番手との差を10秒以上とする独走だ。2番手にはNo.6 WAKO'S 4CR LC500(アンドレア・カルダレッリから大嶋和也にスイッチ)。ピット作業に手間取り3番手に下がった12号車(安田裕信)は、残り3周でコース上にストップ。エンジントラブルで今季最上位の座をゆずることになった。

雨にほんろうされた第7戦だったが、勢いある23歳コンビが駆るNo.37 KeePer TOM'S LC500がポール・トゥ・ウイン。第1戦岡山に続き今季2勝目で、ドライバーズランキングもトップの69ポイントとした。2位にはNo.6 WAKO'S 4CR LC500が入り、37号車に6ポイント差のランキング2位。3位にはケーヒンの現地法人応援団600人の大声援を受けたNo.17 KEIHIN NSX-GT(塚越広大/小暮卓史)が入った。

第7戦前、ランキングトップだったNo.23 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ)は、そのポジションゆえのウェイトハンディもあって予選11位からの戦いだった。スタートではスリックタイヤを選び、ピットインでもタイヤ無交換と、ともに38歳のベテランドライバーと歴戦のチームらしくさまざまな手を尽くして奮戦。辛くも9位に入って貴重な2ポイントを獲得した。これでランキングは3位。トップ37号車に8ポイント差でタイトル争いに踏みとどまった。最終戦もてぎでは、ランキング4位のNo.36 au TOM'S LC500(タイトル争いはジェームス・ロシターのみ)、5位のNo.38 ZENT CERUMO LC500(立川祐路/石浦宏明)までが王座獲得に向けて戦うことになる。

GT300クラスで勝利したNo.51 JMS P.MU LMcorsa RC F GT3(中山雄一/坪井 翔)。今回は、GT500クラスとあわせ、レクサス勢が強さを見せつけた。
GT300クラスで勝利したNo.51 JMS P.MU LMcorsa RC F GT3(中山雄一/坪井 翔)。今回は、GT500クラスとあわせ、レクサス勢が強さを見せつけた。拡大
GT300クラスの2位は、No.4 グッドスマイル 初音ミク AMG(谷口信輝/片岡龍也)。7戦を終えて、ランキングトップとなっている。
GT300クラスの2位は、No.4 グッドスマイル 初音ミク AMG(谷口信輝/片岡龍也)。7戦を終えて、ランキングトップとなっている。拡大
No.51 JMS P.MU LMcorsa RC F GT3の勝利に笑顔の3人。写真左から、中山雄一、影山正彦総監督、そして坪井 翔。
No.51 JMS P.MU LMcorsa RC F GT3の勝利に笑顔の3人。写真左から、中山雄一、影山正彦総監督、そして坪井 翔。拡大

GT300は状況と規定の“読み”が決め手

一方、GT300クラスの勝敗の分かれ目は、ピットインのタイミングだった。10周を過ぎて路面がほぼ乾くと、レインタイヤ選択の上位勢のラップタイムは1分41~43秒台、対してスリックのNo.33 D'station Porsche(スヴェン・ミューラー)が40秒台と逆転。上位チームは、いつピットに入るか悩んだ。すぐに入ってタイヤだけ替えると、ドライバー交代のためもう一度ピットインが必要だ。だが、引っ張りすぎると最終的なポジションを落としてしまう……。ここでいち早く正解を出したのが、15周の時点で3番手だったNo.51 JMS P.MU LMcorsa RC F GT3の影山正彦総監督だった。

51号車(中山雄一)は18周で、ルーティンのピットへ。これにライバルからも「ドライバーの規定周回数に足りないのでは?」と疑問も出た。レギュレーションには「1人の走行がレース距離の3分の2を超えてはならない」とある。つまり“最低”ではなく“最大”に対する制限なのだ。この場合、後半を走る坪井 翔が決勝300kmにあたる周回数66周(GT300クラス優勝車の周回数ではない)の3分の2、44周を超えたらアウトだ。実際のレースでは51号車は61周を走り、中山は18周、坪井は43周だった。

かくして、全車が所定のピットを終えた42周目、51号車は2番手のNo.4 グッドスマイル 初音ミク AMG(谷口信輝)より11秒前を走っていた。残る不安はGTルーキーの坪井だけだったが、すでに第2戦富士で勝利を経験しており、このマージンで十分だった。

チャンピオンシップでは、2位の4号車、谷口信輝/片岡龍也組が65ポイントでトップ。51号車の中山/坪井組は9ポイント差。以下、ランキング4位までの4チーム8名が最終戦もてぎでタイトルを争うことになった。

最終第8戦の決勝は、11月12日にツインリンクもてぎで開催される。

(文=古屋知幸/写真提供 GTA)

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