【F1 2018 続報】第3戦中国GP「荒れ狂う猛牛の逆転勝利」

2018.04.15 自動車ニュース
F1第3戦中国GPで今季初優勝したレッドブルのダニエル・リカルド(写真右から2番目)。2位に入ったメルセデスのバルテリ・ボッタス(同左端)、3位でレースを終えたフェラーリのキミ・ライコネン(同右端)。(Photo=Red Bull Racing)
F1第3戦中国GPで今季初優勝したレッドブルのダニエル・リカルド(写真右から2番目)。2位に入ったメルセデスのバルテリ・ボッタス(同左端)、3位でレースを終えたフェラーリのキミ・ライコネン(同右端)。(Photo=Red Bull Racing)拡大

2018年4月15日、中国の上海インターナショナル・サーキットで行われたF1世界選手権第3戦中国GP。開幕2連勝中のフェラーリを止めたのは、過去4年間GPを席巻してきたメルセデスではなく、セーフティーカーを機に機転を利かせたレッドブルだった。

スタート直後のシーン。ポールシッターのセバスチャン・ベッテル(写真先頭)がトップを守り、2位にボッタスが上がった。(Photo=Ferrari)
スタート直後のシーン。ポールシッターのセバスチャン・ベッテル(写真先頭)がトップを守り、2位にボッタスが上がった。(Photo=Ferrari)拡大
予選目前のフリー走行3回目で起きたトラブルで、急きょパワーユニットを交換せざるを得なくなったリカルド(写真)。メカニックのおかげで短時間のうちに作業は終わり、ギリギリ間に合った予選で何とか6位につけることができた。レースでは、非力なルノーのパワーユニットをアグレッシブなタイヤ戦略でカバー。セーフティーカーでニュータイヤを履いたリカルドは、華麗なオーバーテイクを次々と披露し、6位から一気にトップに。2017年6月のアゼルバイジャンGP以来となる勝利を手にした。(Photo=Red Bull Racing)
 
予選目前のフリー走行3回目で起きたトラブルで、急きょパワーユニットを交換せざるを得なくなったリカルド(写真)。メカニックのおかげで短時間のうちに作業は終わり、ギリギリ間に合った予選で何とか6位につけることができた。レースでは、非力なルノーのパワーユニットをアグレッシブなタイヤ戦略でカバー。セーフティーカーでニュータイヤを履いたリカルドは、華麗なオーバーテイクを次々と披露し、6位から一気にトップに。2017年6月のアゼルバイジャンGP以来となる勝利を手にした。(Photo=Red Bull Racing)
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「赤の3連勝阻止」という使命

史上最多タイの21戦で争われる2018年のF1は、フェラーリが2004年以来となる開幕2連勝で好スタートを切った。第1戦オーストラリアGPでは、先行するメルセデスのルイス・ハミルトンをバーチャルセーフティーカーで逆転し、セバスチャン・ベッテルが勝利。前戦バーレーンGPでは、不利な状況に追い込まれるも、ベッテルの巧みなドライビングでバルテリ・ボッタスを抑え僅差で優勝した。

21分の2戦を消化したに過ぎにないとはいえ、メルセデスが1勝もしていないというのは意外な展開だ。もし中国でベッテルがハットトリック=3連勝を飾れば、統計的には、今季のタイトルはベッテルの手に渡るということになってしまう。

一方、上海ではメルセデス&ハミルトンが強いということも、過去の数字が教えてくれていた。2014年からのV6ハイブリッド規定下においてメルセデスは4連勝中、ポールポジションに至っては6年連続奪取に成功。マクラーレン時代を含めて5勝を記録しているハミルトンは、中国最多勝ドライバーなのだ。1km超のバックストレートなどを擁する上海は、パワーとスピードが要求されるコースであり、これまでシルバーアローの独壇場だった。

2戦終了時点でチャンピオンシップをリードするベッテルと、ランキング2位ハミルトンとのポイント差は17点。シーズン序盤とはいえ、ハミルトンはこれ以上離されるわけにはいかない。

「赤の3連勝阻止」という使命を果たすべく、中東から中国にやってきたチャンピオンチームを待ち構えていたのは、しかし前戦と同じような苦しい戦いだった。そしてレースになると、同じく赤の連勝を止めんとしていたレッドブルが奮起し、戦況は一変するのだった。

開幕戦オーストラリアGPでは予選でのクラッシュが尾を引いて8位。前戦バーレーンでは優勝まであと一歩のところでベッテルを抜くことができず2位と、過去2戦でなかなか突き抜けることができなかったメルセデスのボッタス(写真)。中国GPの予選では、バーレーン同様、フェラーリには歯が立たなかったものの、僚友ルイス・ハミルトンを上回る3番グリッドを獲得。レースになるとピットストップのタイミングでトップに躍り出るも、セーフティーカーが入ると流れが変わってしまった。キャリア100戦目を勝利で飾ることができず、2戦連続の2位。(Photo=Mercedes)
開幕戦オーストラリアGPでは予選でのクラッシュが尾を引いて8位。前戦バーレーンでは優勝まであと一歩のところでベッテルを抜くことができず2位と、過去2戦でなかなか突き抜けることができなかったメルセデスのボッタス(写真)。中国GPの予選では、バーレーン同様、フェラーリには歯が立たなかったものの、僚友ルイス・ハミルトンを上回る3番グリッドを獲得。レースになるとピットストップのタイミングでトップに躍り出るも、セーフティーカーが入ると流れが変わってしまった。キャリア100戦目を勝利で飾ることができず、2戦連続の2位。(Photo=Mercedes)拡大

フェラーリ、2戦連続でフロントロー占拠

金曜日の2回のフリー走行ともトップタイムはハミルトンが出したが、フェラーリも負けてはおらず、2回目のセッションで2位に終わったキミ・ライコネンとの差はわずか0.007秒だった。土曜日に入り3回目のプラクティスではフェラーリ1-2、メルセデスはボッタス3位、ハミルトンはトップから1秒も遅れての5位。スクーデリア優勢のまま、予選に入った。

予選Q1ではフェラーリ1-2。続くQ2はメルセデスがトップ2を取るも、Q3になると最初のアタックでライコネンが1位、ベッテル2位となり、メルセデス勢はボッタス3位、ハミルトンは4位に甘んじることに。2度目のアタックで、会心の一発を決めたベッテルがチームメイトを逆転し、2戦連続、通算52回目のポールポジションを決めた。ライコネンは0.087秒遅れて2位となるも、フェラーリは2連続フロントロー占拠に成功することとなった。

タイムアップが見込めなかったメルセデスは2度目の計測を途中で諦め、3位ボッタス、4位ハミルトン。フェラーリに0.5秒も離されての2列目となった。3列目にはレッドブル勢が並び、5位マックス・フェルスタッペン、6位ダニエル・リカルド。ルノーは2台ともQ3進出を果たし、ニコ・ヒュルケンベルグ7位、カルロス・サインツJr.は9位だった。フォースインディアのセルジオ・ペレスは8位、トップ10の最後にはハースのロメ・グロジャンがつけた。

現役最年長、38歳のライコネン(写真)は開幕戦に次ぐ今季2度目の3位表彰台。今年は僚友ベッテルを上回るパフォーマンスを見せることもしばしばあるのだが、ポールや勝利にはなかなか手が届いていない。上海では第1スティントを長めに走るという不利な作戦を跳ねのけてのポディウムとなった。(Photo=Ferrari)
現役最年長、38歳のライコネン(写真)は開幕戦に次ぐ今季2度目の3位表彰台。今年は僚友ベッテルを上回るパフォーマンスを見せることもしばしばあるのだが、ポールや勝利にはなかなか手が届いていない。上海では第1スティントを長めに走るという不利な作戦を跳ねのけてのポディウムとなった。(Photo=Ferrari)拡大
金曜日は最速、土曜日は最悪――予選ではフェラーリに0.5秒もの大差をつけられ、チームメイトのボッタスにも負けて4位に終わったメルセデスのハミルトン(写真右)。レースでも精彩を欠き、マックス・フェルスタッペンのペナルティーで1つ順位を上げ4位。これで28連続得点となり記録を更新したことになるが、この週末は「ひどかった」と振り返っていた。(Photo=Mercedes)
 
金曜日は最速、土曜日は最悪――予選ではフェラーリに0.5秒もの大差をつけられ、チームメイトのボッタスにも負けて4位に終わったメルセデスのハミルトン(写真右)。レースでも精彩を欠き、マックス・フェルスタッペンのペナルティーで1つ順位を上げ4位。これで28連続得点となり記録を更新したことになるが、この週末は「ひどかった」と振り返っていた。(Photo=Mercedes)
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ボッタス、ピットストップを機にトップに

グリッド前方に並ぶフェラーリ、メルセデスは、スタートタイヤにライフの長いソフトタイヤを選択。対する3列目のレッドブルは、2ランクやわらかく速さが見込めるウルトラソフトを選んだ。トップスピードで勝てないなら、アグレッシブなタイヤ戦略で2強を食ってやろうというわけだ。

56周レースのスタートでトップを守ったベッテル、続いて2番手にはボッタスが上がってきた。その後ろでアグレッシブなドライビングを披露したのがフェルスタッペンで、ターン1、2と曲がり込むセクションでハミルトンを抜き、程なくしてライコネンもオーバーテイクすることに成功。5番グリッドから一気に3位まで駒を進めてきた。

前方がクリアな首位ベッテルはファステストラップを記録しながらボッタスとのギャップを5周で2.5秒とした。異なるタイヤの3位フェルスタッペンは先頭2台から徐々に遅れはじめ、4位ライコネン、5位ハミルトン、6位リカルドらは、1~2秒程度とつかず離れずの状態で様子を見守っていた。

上位陣で最初に動いたのが、やはりレッドブルだった。18周目、3位フェルスタッペン、6位リカルドをなんと同時にピットへ招き、ウルトラソフトからミディアムタイヤに交換。その翌周にはメルセデスがすかさず反応し、ハミルトン、続いてボッタスがソフトからミディアムに履き替えた。

後手に回ったのはフェラーリだ。21周目にようやく首位ベッテルを入れたが、コースに戻るとボッタスが前に。シルバーアローは首位逆転に成功したのだった。

タイヤ交換が一巡しての順位は、1位ボッタス、2位ベッテル、3位フェルスタッペン、4位ハミルトン、5位リカルド、6位ライコネン。このままメルセデスが今季初優勝かと思われたが、トロロッソ同士が接触したことにより入ったセーフティーカーをきっかけに、レースは様相をガラリと変えてしまった。

予選で完璧なラップを決めポールポジションを獲得したベッテル(写真)。レース序盤をリードするも、ピットストップのタイミングでボッタスにトップを奪われ、終盤にはレッドブルの攻勢にあうこととなった。3位走行中にフェルスタッペンにヒットされスピン、その後はペースが戻らず最終的に8位でゴール。フェルスタッペンは自らの非を認め、ベッテルはそれを受け入れた。(Photo=Ferrari)
予選で完璧なラップを決めポールポジションを獲得したベッテル(写真)。レース序盤をリードするも、ピットストップのタイミングでボッタスにトップを奪われ、終盤にはレッドブルの攻勢にあうこととなった。3位走行中にフェルスタッペンにヒットされスピン、その後はペースが戻らず最終的に8位でゴール。フェルスタッペンは自らの非を認め、ベッテルはそれを受け入れた。(Photo=Ferrari)拡大
前戦バーレーンGPでのピエール・ガスリー4位入賞から一転、中国GPではブレンドン・ハートレー(写真)が予選15位、ガスリー同17位と下位に沈み、再び激しい中団グループの荒波にもまれることになったトロロッソ。レースではコミュニケーション上の行き違いで、あろうことかガスリーとハートレーが接触、セーフティーカーのきっかけを作ってしまう。ガスリー18位、ハートレーは20位完走扱い。(Photo=Toro Rosso)
前戦バーレーンGPでのピエール・ガスリー4位入賞から一転、中国GPではブレンドン・ハートレー(写真)が予選15位、ガスリー同17位と下位に沈み、再び激しい中団グループの荒波にもまれることになったトロロッソ。レースではコミュニケーション上の行き違いで、あろうことかガスリーとハートレーが接触、セーフティーカーのきっかけを作ってしまう。ガスリー18位、ハートレーは20位完走扱い。(Photo=Toro Rosso)拡大

巧みなピット戦略でリカルド優勝

セーフティーカーが出るやいなや、レッドブルは2台とも2度目のタイヤ交換に踏み切った。1位ボッタス、2位ベッテル、3位ハミルトン、4位フェルスタッペン、5位ライコネン、6位リカルドというオーダーで36周目にレース再開。ライバルがミディアムタイヤを履き続けていたのに対し、レッドブル勢は速くてフレッシュなソフトタイヤで勝負に出た。

その後は、荒れ狂ったかのようにコース上で暴れまくる猛牛のオーバーテイクショーに観衆は酔いしれることになった。リカルドは早々にライコネンを抜き5位。一方で元気が良すぎたフェルスタッペンは、ハミルトンから3位の座を奪おうとするもコースアウトし、5位に後退してしまう。

チームメイトの脱落に助けられ4位に上がったリカルドは、41周目、ハミルトンに仕掛けて3位に。彼の面目躍如たる抜きっぷりに、チームは「次は2位のベッテルだ」とけしかけた。リカルドはあっという間にベッテルを抜き去り、いよいよ照準をトップのボッタスに定めた。そして46周目、持ち前の鋭いブレーキングを披露してボッタスをかわし、とうとうトップに躍り出たのだった。

2位に落ちたボッタスにリカルドを追う力は残っておらず、逆に3位ライコネンからの突き上げに防戦一方。メルセデス&ボッタスはまたしても目前で勝利を逃し、セーフティーカーを機に機転を利かせたレッドブル&リカルドが、2017年6月のアゼルバイジャンGP以来となる優勝を決めた。

もう1台のレッドブル、フェルスタッペンは、やる気が空回りしたか、3位ベッテルに並びかけた際に接触しスピン。その責任を問われて10秒加算のペナルティーを受けて、4位から5位に転落した。代わりに4位に入ったのは、精彩を欠いたチャンピオンのハミルトン。ハミルトンとタイトルを争うベッテルはといえば、不運な接触の影響で8位完走がやっとだった。

フェラーリ3連勝を阻止したのは、巧みなピット戦略で攻めの姿勢を貫いたレッドブル。メルセデスは、渇望する勝利を手にすることなく、昨季まで勝利をほしいままにしていた中国をあとにすることとなった。2018年シーズンのF1は、誰もが予想だにしなかった展開となっているようだが、果たして王者が開眼するのはいつのことか……。

次の第4戦アゼルバイジャンGP決勝は、4月29日に行われる。

(文=bg) 

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