トヨタが“つながる街”「コネクティッド・シティ」の建設計画を発表
2020.01.07 自動車ニュース![]() |
トヨタ自動車は2020年1月7日、米国・ラスベガスで開催されるエレクトロニクスとITの見本市「CES」(開催期間:1月7日~10日)において、暮らしを支えるあらゆるモノやサービスをオンラインでつなげる実証都市「コネクティッド・シティ」について、プロジェクトの概要を発表した。
技術開発の大舞台
このプロジェクトは、人々が生活を送るリアルな環境のもとで、自動運転、MaaS(モビリティー・アズ・ア・サービス)、パーソナルモビリティー、ロボット、スマートホーム技術、AI(人工知能)技術などを導入・検証できる実証都市を新たにつくるというもの。暮らしを支えるあらゆるモノ、サービスがつながる時代を見据え、街の中で技術やサービスの開発と実証のサイクルを素早く回すことで、新たな価値やビジネスモデルを生み出し続けることを狙いとしている。網の目のように道が行き交うデザインから「Woven City(ウーブン・シティ)」と名付けられた。
建設が予定されているのは、2020年末に閉鎖するトヨタ自動車東日本の東富士工場(静岡県裾野市)の跡地、約70.8万平方メートルのスペースで、2021年初頭に着工。初期は、トヨタの従業員やプロジェクトの関係者をはじめ、2000人程度の住民が暮らすことが想定されている。街づくりを進めていくうえで、それぞれ独自のプロジェクトの実証に活用することを含め、世界中のさまざまな企業や研究者などに対して、実証への参画を募るという。
トヨタの豊田章男社長は、「ゼロから街を作り上げることは、たとえ今回のような小さな規模であったとしても、街のインフラの根幹となるデジタルオペレーティングシステムも含めた将来技術の開発に向けて、非常にユニークな機会となります。バーチャルとリアルの世界の両方でAIなどの将来技術を実証することで、街に住む人々、建物、クルマなど、モノとサービスが情報でつながることによるポテンシャルを最大化できると考えています」などとコメント。
また、都市設計を担当するデンマーク出身のビャルケ・インゲルス氏は、「さまざまなテクノロジーにより、私たちが住む街のあり方は大きく変わり始めています。ウーブン・シティは、トヨタのエコシステムによって幅広いテクノロジーや業界と協業することができ、その他の街も後に続くような新しい都市のあり方を模索するユニークな機会だと考えています」と語っている。
ウーブン・シティの主な構想は以下の通り。
・街を通る道を以下の3つに分類し、それらの道が網の目のように織り込まれた街をつくる。
(1)スピードが速い車両の専用道として、「eパレット」など、完全自動運転かつゼロエミッションのモビリティーのみが走行する道
(2)歩行者とスピードが遅いパーソナルモビリティーが共存するプロムナードのような道
(3)歩行者専用の公園内歩道のような道
・街の建物は主にカーボンニュートラルな木材でつくり、屋根には太陽光発電パネルを設置するなど、環境との調和やサステイナビリティーを前提とした街づくりを行う。
・暮らしを支える燃料電池発電も含めて、街のインフラはすべて地下に設置する。
・住民は、室内用ロボットなどの新技術を検証するほか、センサーのデータを活用するAIにより、健康状態をチェックしたり、日々の暮らしに役立てたりするなど、生活の質を向上させることができる。
・eパレットは人の輸送やモノの配達に加えて、移動用店舗としても使われるなど、街のさまざまな場所で活用される。
・街の中心や各ブロックには、人々の集いの場としてさまざまな公園・広場をつくり、住民同士もつながり合うことでコミュニティーが形成されることも目指す。
(webCG)