トヨタ車はすべて“この顔”に!? 新定番「ハンマーヘッドデザイン」を考える
2025.10.20 デイリーコラム既存モデルを整形してまで
突然ですが「ハンマーヘッド」と呼ばれるデザインをご存じでしょうか? これは「ハンマーヘッドシャーク(和名はシュモクザメ)」に由来するもの。このサメは、ハンマー(金づち)のような、独特な形の頭が特徴的です。
そんなハンマーヘッドをモチーフにしたデザインをフロントに採用しているのが、最近のトヨタ車。通称、ハンマーヘッドデザインってやつですね。現行型「プリウス」を皮切りに「クラウン スポーツ」や「クラウン エステート」に用いられているほか、先日はビッグマイナーチェンジした「アクア」にも採用されたし、スタイルが公開された次期「RAV4」にも採用確定。さらに、気がつけばアクア同様にビッグマイナーチェンジで電気自動車の「bZ4X」にまで! しばらくは増え続けることでしょう。
モデルチェンジした新型車のみならず、マイナーチェンジで大整形して採用することに驚くのは筆者だけでしょうか。
ところでトヨタはなぜハンマーヘッドを広めようとしているのでしょう。それはズバリ、個性化とトヨタ車であることの主張。ハンマーヘッドの顔つきって個性的ですよね。少し前の“キーンルック”のように、それを「トヨタの顔のイメージ」として推し進めようというわけです。
では、似合うクルマはどれか。筆者が考える「ハンマーヘッド顔が最も似合うクルマ」は「プレリュード」……じゃなくてプリウス。よく考えたらプレリュードはハンマーヘッド顔とよく似ているけれど、トヨタのクルマではなかった。危ない危ない。余談ですが、ホンダ・プレリュードのデザイナーはトヨタのハンマーヘッドを見たときに大層驚いたことでしょうね(どちらかがデザインを盗んだわけではなく、偶然の一致以外の何物でもない)。
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目指しているのはシュッとした顔
そして筆者がひそかに考えているのは、ハンマーヘッドデザインとは「現代のリトラクタブルヘッドライト」ではないかということ。
リトラクタブルヘッドライトとは、かつて一世を風靡(ふうび)した、トヨタだと「MR2」や60系「セリカXX」や70系「スープラ」、さらには160系や180系の「セリカ」などに採用されていた格納式ヘッドランプのこと。車体先端がとがっていて、見るからにスポーティーなのが特徴です。当時は、とんでもない勢いで流行しました。コンパクトハッチバックの「カローラII」や「ターセル」にまで設定していたほどなのだから。
そんなリトラクタブルヘッドライトも、歩行者保護(人と接触した際に、跳ね上がった状態のヘッドランプが突起物となるうえに衝撃を吸収しづらい)などの観点からすっかり廃れて、21世紀に入るころには新車で採用しているクルマはなくなってしまいました。
昨今、ハンマーヘッドデザインなど車体先端がとがったクルマが再び増えてきたのは技術の向上ゆえ。LEDヘッドライトの登場によりライトの薄型化が実現し、リトラクタブルヘッドライトのようにノーズが薄くとがったデザインを実現できるようになったのです。
そのひとつの形がハンマーヘッドであり、まるでスーパーカーのように平べったいフォルムの現行型プリウスや、(トヨタのハンマーヘッドではないけれど)スポーティーなデザインを狙ったプレリュードがこういうデザインになったのは必然なのでしょう。
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箱型ボディーではビミョーな感じ
個人的には今やトヨタを代表するクルマに成長した「アルファード」あたりにハンマーヘッドデザインを採用したら面白いと思うけれど、それは似合いそうもない。なぜならハンマーヘッド=リトラクラブルヘッドライト。そうとらえて「フォルムが箱型だとリトラクタブルヘッドライトが似合わないから」と考えれば、納得がいくとは思いませんか?
「ランクル」だって似合わない。「ハイエース」だって似合わない。プリウスやプレリュード(だから違うって!)はノーズがとがったフォルムが違和感ないからハンマーヘッドが似合うけど、四角いボディーには“今のハンマーヘッド”はやっぱり似合わないというわけだ。
皆さんは、どのクルマにハンマーヘッドが似合うと思いますか? これから登場しそうなクルマも含めて。
えっ「プロサングエ」? たしかに似合っていますが、いちおうお伝えしておくと、それはトヨタじゃないですよぉ。残念ながら。
(文=工藤貴宏/トヨタ自動車、フェラーリ、webCG/編集=関 顕也)

工藤 貴宏
物心ついた頃からクルマ好きとなり、小学生の頃には自動車雑誌を読み始め、大学在学中に自動車雑誌編集部でアルバイトを開始。その後、バイト先の編集部に就職したのち編集プロダクションを経て、気が付けばフリーランスの自動車ライターに。別の言い方をすればプロのクルマ好きってとこでしょうか。現在の所有車両は「スズキ・ソリオ」「マツダCX-60」、そして「ホンダS660」。実用車からスポーツカーまで幅広く大好きです。
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