【F1 2022】シンガポールGP続報:3年ぶりの元祖ナイトレース、輝いたペレスの力走

2022.10.03 自動車ニュース bg
F1第17戦シンガポールGPを制したレッドブルのセルジオ・ペレス(写真中央)、2位に入ったフェラーリのシャルル・ルクレール(同左)、3位でレースを終えたフェラーリのカルロス・サインツJr.(同右)。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)
F1第17戦シンガポールGPを制したレッドブルのセルジオ・ペレス(写真中央)、2位に入ったフェラーリのシャルル・ルクレール(同左)、3位でレースを終えたフェラーリのカルロス・サインツJr.(同右)。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)拡大

2022年10月2日、シンガポールのマリーナベイ・ストリートサーキットで行われた、F1世界選手権第17戦シンガポールGP。マックス・フェルスタッペンの2連覇がかかった元祖ナイトレースは、度重なるセーフティーカーやバーチャルセーフティーカーで荒れた展開となった。

レッドブルのペレス(写真前)は、終始フェラーリのルクレール(同後ろ)を従えてトップを快走。予選ではたった0.022秒差で惜しくも2位となるも、レースでは抜群のスタートで首位を奪い、相次ぐセーフティーカー、バーチャルセーフティーカーにも動じなかった。これでモナコGPに次ぐ今季2勝目。難しい市街地コースでベテランの走りが光ったレースだった。なお、セーフティーカーとの車間を広げ過ぎたことで審議対象となり、レース後に5秒加算のペナルティーを受けるも勝利は揺るがず。「F1キャリアのなかでもベストなパフォーマンスだった」とうれしそうに振り返っていた。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)
レッドブルのペレス(写真前)は、終始フェラーリのルクレール(同後ろ)を従えてトップを快走。予選ではたった0.022秒差で惜しくも2位となるも、レースでは抜群のスタートで首位を奪い、相次ぐセーフティーカー、バーチャルセーフティーカーにも動じなかった。これでモナコGPに次ぐ今季2勝目。難しい市街地コースでベテランの走りが光ったレースだった。なお、セーフティーカーとの車間を広げ過ぎたことで審議対象となり、レース後に5秒加算のペナルティーを受けるも勝利は揺るがず。「F1キャリアのなかでもベストなパフォーマンスだった」とうれしそうに振り返っていた。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)拡大
フェラーリのルクレール(写真)は2位でゴール。コーナリングに強みを持つフェラーリはシンガポールGPの本命といわれ、予選ではルクレールがささいなミスでタイムを失ったもののポールポジション奪取に成功。フェラーリでの今シーズン9回目の予選P1は、2001年にミハエル・シューマッハーが記録した11回に次ぐほどの多さである。レースではスタートで出遅れ、その後トップを奪い返すことができずに終わった。(Photo=Ferrari)
フェラーリのルクレール(写真)は2位でゴール。コーナリングに強みを持つフェラーリはシンガポールGPの本命といわれ、予選ではルクレールがささいなミスでタイムを失ったもののポールポジション奪取に成功。フェラーリでの今シーズン9回目の予選P1は、2001年にミハエル・シューマッハーが記録した11回に次ぐほどの多さである。レースではスタートで出遅れ、その後トップを奪い返すことができずに終わった。(Photo=Ferrari)拡大
フェラーリのサインツJr.(写真)は3位。予選ではポールシッターのシャルル・ルクレールと0.171秒差で4位。レースでは2番手スタートのルイス・ハミルトンと競り合い3位を奪うと、トップ2台との差を詰めることはできなかったものの、表彰台の一角を守ることはできた。(Photo=Ferrari)
フェラーリのサインツJr.(写真)は3位。予選ではポールシッターのシャルル・ルクレールと0.171秒差で4位。レースでは2番手スタートのルイス・ハミルトンと競り合い3位を奪うと、トップ2台との差を詰めることはできなかったものの、表彰台の一角を守ることはできた。(Photo=Ferrari)拡大

残り6戦、2連覇へのカウントダウン

ロシアGPが抜けたことで、シーズン後半の3連戦後に一息つくことができたF1は、シンガポール、日本と続く3年ぶりのアジアラウンド2連戦と、アメリカ、メキシコ、ブラジルのアメリカ大陸シリーズ、そしてアブダビでの最終戦を残すまでとなった。

これまでの16戦で11勝、たったひとりで70%近くの勝率を誇るマックス・フェルスタッペンの2年連続タイトル獲得は秒読み段階を迎え、シンガポールがチャンピオン決定の場所になることもあり得た状況。残り6戦で手に入る最大ポイントは164点、シンガポールを終え5戦となると138点に減る。すなわちシンガポールでフェルスタッペンのリードが138点以上になれば連覇達成となり、ランキング2位のシャルル・ルクレールとのポイント差116点、同3位のセルジオ・ペレスとの125点差を考えれば、ここでの結果がどうあれ、戴冠が間近であることは明らかだった。

こうして2022年シーズンに(やや早めの)クライマックスが訪れようとしていた一方、来季に向けた動きも活発化。2023年のF1カレンダーが発表され、ラスベガスGPが新たに加わり、中国GPとカタールGPが復活、フランスGPが脱落した結果、史上最多の24戦が組み込まれることとなった。さらに2021年から導入された「スプリント」は、これまでの倍となる6回の開催が決定した。

来季のシートも着々と埋まりつつあり、アルファタウリは角田裕毅の、またアルファ・ロメオはジョウ・グアンユーの残留を正式にアナウンス。またウィリアムズはニコラス・ラティフィを今季限りで放出することを決め、アルピーヌとハースを含め、未確定の残席はわずかとなった。

パドックではきな臭いうわさ話も飛び交っていた。FIA(国際自動車連盟)は、2021年シーズンに各チームが予算制限ルールを順守したかのような分析を終え、今後はその結果を通達するプロセスに入るが、この制限を破ったチームがいるとかいないとか。もちろんしかるべき発表を待つしかないのだが、昨季メルセデスと最終戦までやりあったレッドブルに疑惑の目が向けられているから穏やかではなく、チーム代表同士の“舌戦”も繰り広げられた。

チャンピオンシップは佳境、F1は興行的に活況。ドライバーマーケットは流動、うわさ話は花盛り。ロシアGP中止でぽっかり空いた秋のひと時、F1はかくもにぎやかだった。

マクラーレンにとっては絶好のチャンス到来。最大のライバルであるアルピーヌが2台そろってメカニカルトラブルでリタイアした一方、ランド・ノリスは6位スタートから4位、ダニエル・リカルド(写真)は16番グリッドからセーフティーカーのタイミングで一気にポジションを上げ5位でフィニッシュしたのだ。このダブル入賞でアルピーヌからコンストラクターズランキング4位を奪還することに成功。4点差をつけ残り5戦に向かうこととなった。(Photo=McLaren)
マクラーレンにとっては絶好のチャンス到来。最大のライバルであるアルピーヌが2台そろってメカニカルトラブルでリタイアした一方、ランド・ノリスは6位スタートから4位、ダニエル・リカルド(写真)は16番グリッドからセーフティーカーのタイミングで一気にポジションを上げ5位でフィニッシュしたのだ。このダブル入賞でアルピーヌからコンストラクターズランキング4位を奪還することに成功。4点差をつけ残り5戦に向かうこととなった。(Photo=McLaren)拡大

ルクレールが接戦を制しポール、フェルスタッペンはまさかの予選8位

史上初のナイトレースとして2008年に始まったシンガポールGP。直角コーナーとストレートが連続する、壁に囲まれた典型的な市街地コースの特性に加え、高温多湿の気候やバンピーな路面、そして長丁場のレースと、ドライバーにとっては過酷極まりないマリーナベイが舞台だ。

土曜日は昼間のうちにしこたま雨が降り、やんだ後もコースは所々でぬれた状態。予選には各車とも浅溝のインターミディエイトタイヤで出走し、トップ10グリッドを決めるQ3になるとドライのソフトタイヤで周回、コンディションが良化した終盤に向けて次々とタイムが更新され白熱した。

ポールポジションを獲得したのはフェラーリのルクレールで、跳ね馬が得意のコースで一矢報いたかっこう。前戦イタリアGPから2戦連続となる今季9回目、通算では18回目のポールとなった。予選2位はレッドブルのペレス、3位にはメルセデスのルイス・ハミルトンが続き、トップから3位までの差はわずか0.054秒という接戦だった。

フェラーリのカルロス・サインツJr.が4位、アルピーヌのフェルナンド・アロンソ5位、マクラーレンのランド・ノリス6位、そしてアルファタウリのピエール・ガスリーは7位。フェルスタッペンは、予選終了間際に予定より1周多く走れたことで燃料不足に陥る可能性があり、ポール獲得に十分なタイムを記録していながらチームからアタック中止を言い渡され、まさかの8位に沈んだ。

5列目には、ハースのケビン・マグヌッセン9位、そして初の母国GPを目前に控えたアルファタウリの角田裕毅が10位と入賞圏内からのスタートとなった。

計算上、このレースで2年連続のタイトルを手中におさめることができたレッドブルのマックス・フェルスタッペン(写真)。初日の金曜日に25歳の誕生日を迎えたポイントリーダーは、予選Q3最後で燃料不足のためアタックを中断せざるを得ず、ポール目前で好タイムを諦め8位に沈んだ。レースも波乱含みで、スタートでアンチストールが働き12位まで落ち、ポイント圏内まで追い上げていながらタイヤをロックさせ再び圏外にダウン、結果7位でフィニッシュし、タイトルは次戦以降にお預けとなった。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)
計算上、このレースで2年連続のタイトルを手中におさめることができたレッドブルのマックス・フェルスタッペン(写真)。初日の金曜日に25歳の誕生日を迎えたポイントリーダーは、予選Q3最後で燃料不足のためアタックを中断せざるを得ず、ポール目前で好タイムを諦め8位に沈んだ。レースも波乱含みで、スタートでアンチストールが働き12位まで落ち、ポイント圏内まで追い上げていながらタイヤをロックさせ再び圏外にダウン、結果7位でフィニッシュし、タイトルは次戦以降にお預けとなった。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)拡大
シンガポールGPで最多5勝を飾っているセバスチャン・ベッテル(写真)。いまのところ彼の最後の勝利も、2019年のマリーナベイで記録されたものである。引退までの最後の6レース、得意のコースで13番手スタートから8位でゴールし、アストンマーティンにポイントを献上。僚友ランス・ストロールも11位から6位フィニッシュと2台そろって入賞を果たすことができた。(Photo=Aston Martin)
シンガポールGPで最多5勝を飾っているセバスチャン・ベッテル(写真)。いまのところ彼の最後の勝利も、2019年のマリーナベイで記録されたものである。引退までの最後の6レース、得意のコースで13番手スタートから8位でゴールし、アストンマーティンにポイントを献上。僚友ランス・ストロールも11位から6位フィニッシュと2台そろって入賞を果たすことができた。(Photo=Aston Martin)拡大

雨により1時間遅れでスタート、ペレスがトップ奪取

直前にバケツをひっくり返したような雨が降り、レースは予定より1時間5分遅れて始まることに。全車インターミディエイトタイヤを履いて迎えたスタートでは、ペレスが抜群の滑り出しで真っ先にターン1に飛び込むと、ルクレール、サインツJr.、ハミルトン、ノリスらを従えてオープニングラップを終えた。またフェルスタッペンはアンチストールが働き8位から一気に12位に落ちたものの、その後2周のうちに10位まで挽回した。

ウエット路面でトリッキーなコンディションとなったことで、セーフティーカーやバーチャルセーフティーカー(VSC)が頻発。まずは8周目、ニコラス・ラティフィのウィリアムズとジョウ・グアンユーのアルファ・ロメオの接触によりセーフティーカーが導入された。

各車のギャップが帳消しとなったことはフェルスタッペンに加勢し、11周目にレースが再開すると、それまで抜きあぐねいていたアストンマーティンのセバスチャン・ベッテルをかわし8位、程なくしてガスリーもオーバーテイクし7位と順調に駒を進めていたのだが、強敵アロンソには進路を阻まれ、しばしアルピーヌの後塵(こうじん)を拝することになる。

一方、首位ペレスと2位ルクレールは1秒半のギャップのまま付かず離れずで周回。3位サインツJr.以下は6秒以上後ろとなり、優勝は序盤から2台の間で争われることになった。

21周目、アロンソがトラブルを抱えエスケープロードでストップ、VSCが出ると、ピットレーンスタートで後方から追い上げていたメルセデスのジョージ・ラッセルがドライタイヤにスイッチする賭けに出た。しかし、路面の乾きは遅く、溝なしのスリックタイヤはまだリスクが高かった。

26周目、ウィリアムズのアレクサンダー・アルボンがターンで曲がりきれずウォールに突っ込み、フロントウイングを落としたことで再度VSC。その2周後にはアルピーヌのエステバン・オコンがトラブルでストップし3度目のVSCとなるも、多くのマシンはタイヤを替えずにコースにとどまり続けた。

350戦目を迎えたフェルナンド・アロンソ(写真)はF1最多出走記録を更新。予選では、ウエットからドライへと変わるコンディションを味方につけて5位と健闘するも、レースでは6位走行中にパワーユニットにトラブルが生じ、記念の一戦をリタイアで終えた。アルピーヌはエステバン・オコンも途中で戦列を去っており、マクラーレンにコンストラクターズランキング4位の座を明け渡すかたちとなった。(Photo=Alpine F1)
350戦目を迎えたフェルナンド・アロンソ(写真)はF1最多出走記録を更新。予選では、ウエットからドライへと変わるコンディションを味方につけて5位と健闘するも、レースでは6位走行中にパワーユニットにトラブルが生じ、記念の一戦をリタイアで終えた。アルピーヌはエステバン・オコンも途中で戦列を去っており、マクラーレンにコンストラクターズランキング4位の座を明け渡すかたちとなった。(Photo=Alpine F1)拡大
来季の契約を更新したばかりの角田裕毅(写真)は、次の日本GPを前にいいところを見せたかった。予選ではQ3進出を果たし10位、レースでもポイント獲得を目指し走っていたのだが、ドライタイヤで走行中にブレーキングポイントを誤ってウォールに激突、悔しいリタイアを喫した。「自分自身にがっかり」と肩を落としていたが、気分を入れ替え、初の母国レースに臨んでほしいところだ。チームメイトのピエール・ガスリーは、予選7位から10位入賞、1点を手に入れた。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)
来季の契約を更新したばかりの角田裕毅(写真)は、次の日本GPを前にいいところを見せたかった。予選ではQ3進出を果たし10位、レースでもポイント獲得を目指し走っていたのだが、ドライタイヤで走行中にブレーキングポイントを誤ってウォールに激突、悔しいリタイアを喫した。「自分自身にがっかり」と肩を落としていたが、気分を入れ替え、初の母国レースに臨んでほしいところだ。チームメイトのピエール・ガスリーは、予選7位から10位入賞、1点を手に入れた。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)拡大

フェルスタッペンのタイトル確定はお預け、ペレスは審議の末に勝利確定

レースは1時間を過ぎ、まだ周回数は半分にも達していなかった。規定周回の61周完了の前に、スタートから2時間で終了するルールが適用されることが濃厚となっていた。

引き続きトップを快走するペレス、2位ルクレール、3位サインツJr.の後ろでは、目の前のフェラーリをなかなか抜けないでいたハミルトンがフラストレーションを募らせていた。33周目、7冠王者はたまらずコースオフ、ウォールに突っ込んでしまった。ピットでノーズを交換したハミルトンはその後も走行を続け、結果9位でフィニッシュすることになった。

もう1台のメルセデス、ミディアムタイヤで走行を続けていたラッセルがいよいよペースを上げてきているのを知ったフェラーリは、35周目、2位から抜け出せずにいたルクレールをピットに呼び、またレッドブルもペレスとフェルスタッペンにミディアムを与えた。

その直後、ドライタイヤに履き替えたばかりの角田がブレーキングポイントを誤り、壁に突き刺さってリタイア。セーフティーカー再登場。各車がドライタイヤに履き替えると、上位のオーダーは1位ペレス、2位ルクレール、3位サインツJr.、4位ノリス、5位フェルスタッペン、そして16番手スタートだったマクラーレンのダニエル・リカルドが運よくこのタイミングでタイヤを交換でき、6位につけていた。

40周目にレースが再開すると、フェルスタッペンがノリスを抜こうとインに飛び込んだのだが曲がりきれず、タイヤをロックさせてエスケープロードに突進。これでフラットスポットをつくってしまったフェルスタッペンは再度ピットインを余儀なくされ最後尾に落ち、最終的に7位でフィニッシュ。タイトル確定は次戦以降にお預けとなった。

首位をキープし続けてきたペレス陣営にも不穏な空気が流れていた。セーフティーカーとの間隔を規定の10車身以内に保たなかったことで審議対象となり、さらにパワーユニットの不調を訴えるようになったのだ。

レース終盤にDRSの利用が解禁され、ペレスの真後ろにつけていたルクレールに追い風が吹いているかにみえたのだが、ストレートで速いレッドブルゆえ、なかなかオーバーテイクには至らない。残り20分、ペレスはレース後に5秒ペナルティーが科されることも想定して猛スピードでルクレールとのギャップを拡大し、ルクレールに7.5秒もの差を築いてチェッカードフラッグが振られたのだった。

ペレスの審議結果が公表されたのは、ゴールから3時間近くたった後のこと。5秒加算のペナルティーと警告だけにとどまったことで、モナコGPに次ぐ今シーズン2勝目は確定。煌々(こうこう)とした人工光のもと、ひときわ光り輝いたメキシカンの力走にケチはつかなかった。そしてフェラーリはルクレール、サインツJr.でダブル表彰台となり、1-2フィニッシュの夢は幻に終わった。

フェルスタッペンの戴冠の機会は、次戦日本GPへ。3年ぶりの同GPは、鈴鹿サーキットで10月7日に開幕、9日にレースが開催される。

(文=bg)

 

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