MVアグスタが500台限定の特別モデル「スーパーベローチェ1000セリエオロ」を発表
2024.07.10 自動車ニュース![]() |
イタリアのバイクメーカー、MVアグスタは2024年7月9日(現地時間)、500台の限定モデル「Superveloce 1000 Serie Oro(スーパーベローチェ1000セリエオロ)」の詳細を発表した。
往年のグランプリマシンを思わせる空力ウイングを装備
MVアグスタ・スーパーベローチェ1000セリエオロは、2022年11月のEICMA(ミラノモーターサイクルショー)で世界初公開されたスーパースポーツモデルであり、日本では、2024年3月にKTMジャパンより導入がアナウンスされていた。車名の“セリエオロ”とはイタリア語で“ゴールドシリーズ”の意味で、MVアグスタのラインナップのなかでも数量限定の特別なモデルに冠される。
今回のスーパーベローチェ1000セリエオロは、車名のとおりフルカウルのスーパースポーツ「スーパーベローチェ」をベースとしたものだ。同車より丸型のヘッドランプを含む基本的なスタイリングを踏襲しつつ、走行安定性を高めるフロントの空力ウイングが特徴となっている。MVアグスタでは、1972年のグランプリマシンにいち早く空力ウイングを採用。スーパーベローチェ1000セリエオロのデバイスもそれに着想を得たもので、優れた防風性能や快適性の向上、パフォーマンスの最適化、エンジン吸気の最適化、熱気の拡散による実用性の改善などに寄与しているという。
また特徴的な意匠のボディーは、全体の41カ所に鍛造カーボンないしラミネートカーボンのコンポーネントを採用。ホイールは「F4 750セリエオロ」の星型ホイールを再解釈したもので、キャストホイールとスポークホイールを融合させた独創的なデザインとなっている。同様に、アクラポヴィッチ製のマフラーもF4 750セリエオロをモチーフとしたもので、リアカウルの下から突き出す“オルガンパイプ”形状のチタン製4本エキゾーストを採用している。
このほかにも、シートには本革とスエード調表皮のアルカンターラを用い、高い快適性を追求。タンクには本革製のベルトと、車名のロゴとシリアルナンバーがあしらわれたプレートが装着される。
カラーリングはMVアグスタのレースの歴史にちなみ、「アゴシルバー」「パールショックレッド」「ゴールドチクリスティカ」の3色を設定。ボディーの各所を飾る「MV」のロゴも目を引く。
エンジンの最高回転数は1万4000rpm!
高い動力性能もスーパーベローチェ1000セリエオロの特徴となっており、パワーユニットには最高出力208PS/1万3000rpm、最大トルク116.5N・m/1万1000rpmを発生する、1リッター直列4気筒エンジンを採用。16本のチタン製ラジアルバルブや、鍛造チタン製コネクティングロッド、DLC コーディングのカムシャフトの採用により、最高回転数は1万4000rpmを実現している。同時に振動はカウンターシャフトによって最小限に抑えられており、高い出力を発生するようなシーンでも、スムーズで快適なライドフィールが保たれるという。
スロットルの制御は電子式のライド・バイ・ワイヤで、「MVICS(Motor&Vehicle Integrated Control System)2.1」を介して8本のインジェクター(下部に4本、上部に高圧噴射用が4本)を管理。スロットルボディーの径は50mmとなっている。
ライディングをアシストする電子制御も充実しており、トラクションコントロールには計8種類(雨天用2種類、公道用3種類、サーキット用3種類)のモードを設定。システムのカットも可能となっている。同様にFLC(フロントリフトコントロール)も解除が可能で、慣性プラットフォームのデータをもとに、加速性能を最大限に生かせる最適なフロントリフトを実現。これらのシステムはローンチコントロールと連携して作動する。ライディングモードは、プリセットが「レイン」「スポーツ」「レース」の3種で、さらにライダーが任意で設定可能な「カスタム」モードも用意。同モードでは、スロットルレスポンス、エンジンのトルク、吸気、リミッター、電子制御サスペンションなどのパラメーターを個別に調整可能だ。
このほかにも、電子制御ギアボックスにはアップ/ダウンの双方に対応するクイックシフターを装備。スロットル全開時にもシフト操作をサポートしてくれる。
ヴァレーゼの工場で一台ずつ手作業で製作
車両骨格はクロムモリブデン鋼製のトレリスフレームにアルミニウム製のプレートを組み付けたもので、リアタイヤの懸架にはアルミ合金製の片持ちスイングアームを採用。足まわりにはオーリンズ製の電子制御サスペンションを用いており、φ43mm、トラベル量120mmの倒立フロントフォークは、コンプレッション、リバウンド、スプリングプリロード(手動調整にも対応)を電子的に調整できる。また、フロントの足まわりにはオーリンズ製の電子制御式ステアリングダンパーも組み込まれており、自動制御および手動によってセットアップの調整が可能だ。いっぽうリアはφ36mm、トラベル量120mmのオーリンズ製モノショックで、こちらもプリロード、リバウンド、コンプレッションを電子的に調整することができる。
ブレーキはブレンボ製で、フロントには320mmのデュアルディスクローター、アルミ製フランジ、30mmピストン搭載のStylemaラジアルキャリパー、ラジアルマスターシリンダーを採用。リアには220mmのディスクローターと34mmの2ピストンキャリパーを採用している。ABSは2段階で介入レベルを調整でき、スポーツモードでは前後輪ともに制御が介入。コーナーリングABS機能とRLM(リアホイールリフトアップ軽減機能)が有効となり、急制動時にはRLMがリアホイールと路面との接触を維持し、前後輪に制動力が最適にかかるよう調整を行う。いっぽうレースモードでは、前輪へのABSの介入が弱まり、後輪への介入は無効に。コーナーリングABS機能も無効となる。RLMシステムについては有効だが、制御範囲内でのリアホイールのリフトが可能になるという。タイヤは同車専用設計の「ピレリ・ディアブロ スーパーコルサSP V4」だ。
既述のとおり、スーパーベローチェ1000セリエオロの販売台数はグローバルで500台のみとなっており、ブランドコレクター向けの予約受注はすでに終了。現在は予約対象外の車両のみ販売が行われている。生産を担うのは伊ヴァレーゼにあるMVアグスタ唯一のファクトリーで、エンジンの製作から車体の組み立てに至るまで、すべてが職人の手作業で行われる。
価格は958万円。日本導入は2024年秋以降を予定している。
(webCG)
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