第90回:南アのフォルクスワーゲン「お別れ」キャンペーン
2007.09.01 広告のススメ第90回:南アのフォルクスワーゲン「お別れ」キャンペーン
新車では手に入らないクルマの広告キャンペーン!?フォルクスワーゲンのワンボックス「トランスポーター3」(T3Bus)の生産が終わった南アフリカで、なぜかT3Busの広告キャンペーンが行われた、そのワケは?
去って好印象を残す
これは本当のハナシ。生産が中止されたはずのVWT3Busのキャンペーンが、南アフリカで行われたのである。しかも、こんな立派なパンフレットまでつくって……。なぜ、ナゼ? と聞きたいところだ。
ワケを問い合わせると、T3Busにお別れの挨拶をすることで、後々までクルマの好印象を残し、中古で販売されるT3Busの売り上げをも支援しよう、という魂胆らしい。
好印象を残す……そのためになにをしたか? 初代発売時からこれまでの流れを日記風に綴ったパンフレットを作成したのである。サイケデリックな1960年代のヒッピー風“ラブ&ピース”あり、ワインを積んでピクニックへ行くシーンあり、T3Busが活躍した時代の様々なシーンを、美しく印象的に表現した。かつての広告をハガキにしたものや、当時流行った曲の歌詞を収録するなど、過ぎし日を懐かしむファンにも喜ばれたという。
このキャンペーンがクルマに重なり、T3Busの中古車人気は向上。通常より40〜50%も高値で売買されたという。商魂たくましく、ころんでもタダでは起きないとは、このことを言うのでしょうね。アッパレ、南アフリカ!
Volkswagen Bus Milestones/South Africa
クリエイティブディレクター:Tricia Snowball
コピーライター:Mark Winkler
アートディレクター:Lynn-Louise Chang
エージェンシー:Ogilvyone Worldwide
(2003年 Cannes Lions Silver Lion Award)
(文=金子秀之/2004年4月17日)

金子 秀之
早稲田大学商学部卒業。資生堂のアートディレクターとして前田美波里のサマーキャンペーンを担当。1973年博報堂のクリエイティブ・ディレクターとして、サントリーの「ブランディ水で割ったらアメリカン」キャンペーンを手がける。1993年(有)クエスターを設立。広告製作及び海外広告の紹介をして現在にいたる。
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