第52回:メルセデスベンツ「アクトロス」のユーモア(その1)
2007.09.01 広告のススメ第52回:メルセデスベンツ「アクトロス」のユーモア(その1)
たまにしか見かけることはないが、日本人の大好きなメルセデスベンツは、トラックもつくっている。今回はドイツ本国でつくられた、ベンツの大型トラック「アクトロス」の広告を紹介する。
美味しいワインのために……
高速道路を走っていて、後ろにぴったりトラックにつかれると、私はすぐ左車線に移り道を譲る。万が一にでも接触すれば、トラックと乗用車では小錦(今はKONISHIKIか)に素手で立ち向かうようなもの。相手はかすり傷でも、こちらは致命傷を負わされる可能性がある。視覚的にも威圧感があり、ことほどさようにトラックは怖い。
欧米でもトラックは図体が大きいので、敬遠されるらしい。上り坂をゆっくりユックリ走るトラックの真後ろについたらイライラするが、さすがはメルセデスベンツ。後部にメッセージを書き、後続車へのイクスキューズにしている。これは、ベンツのトラック「アクトロス」の広告である。ちなみにこの作品は、2001年のカンヌ国際広告祭でGold Lionを受賞した。
「Of course I'm slower than you. I'm carrying your rioja.」
もちろん、私の方が遅いのです。あなたのために、リオハ・ワインを運んでいるので(リオハ・ワインはスペイン北東部、Rioja地方の辛口赤ワイン)、ワインは振動させると味が落ちるので、ゆっくり走っているといいたいのだ。
(文=金子秀之/2003年6月28日)
Mercedes-Benz Actros/Germany
クリエイティブディレクター:Martin Pross/Joachim Schoepfer
コピーライター:Matthias Schmidt
フォトグラファー:Calvin Dolley
エージェンシー:Scholz & Friends/Belrin
(2001 Cannes Gold Lion)

金子 秀之
早稲田大学商学部卒業。資生堂のアートディレクターとして前田美波里のサマーキャンペーンを担当。1973年博報堂のクリエイティブ・ディレクターとして、サントリーの「ブランディ水で割ったらアメリカン」キャンペーンを手がける。1993年(有)クエスターを設立。広告製作及び海外広告の紹介をして現在にいたる。
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