第6戦、波乱の富士はA・ロッテラーが初優勝で制す 【FN 07】
2007.08.27 自動車ニュース【FN 07】第6戦、波乱の富士はA・ロッテラーが初優勝で制す
スタートでのクラッシュ、終盤の大バトル……後半戦に突入した全日本選手権フォーミュラ・ニッポンの第6戦が夏休みシーズン最後の日曜日、2007年8月26日に静岡・富士スピードウェイにて開催された。
波乱の幕開けとなったレースは、アンドレ・ロッテラーが混戦をくぐりぬけ終盤にトップを奪取。今季待望の初勝利をつかみとった。
2位には、ブノワ・トレルイエ。フォーミュラレース復帰後初レースで好成績を残した。3位にはロイック・デュバル。終盤、攻防戦を制した外国人ドライバーが表彰台を独占することになった。
■本山、ひさびさのポール獲得
予選日、富士の上空には青空が広がり、気温は30℃を超えたが、湿度は低く爽やかな一日となった。
午前の予選1回目。終盤に4、5台のマシンがベストタイムを順番に叩き出し、その都度ポジションを入れ替える。そのなかで好タイムをマークしたのが本山哲。2番手の小暮卓史と0.055秒という僅差でまず暫定ポールポジションの座に着いた。
気温の上昇が気になる午後の予選だったが、結局は朝のアタックとほぼ同じようなコンディションに落ち着く。ほとんどのドライバーは、クルマの微調整を行いタイムアップに成功。最後の一発勝負を待った。
これに先立ち、本山から暫定トップを奪ったのは小暮。立て続けにタイムを削り、今季2度目のポール確定かと思われたが、チェッカードラップで本山が1'26.901をマーク。小暮を0.181秒引き離し、ポールの座を取り返した。2番手小暮に続き、3番手には松田次生。シリーズ争いを繰り広げるドライバーがトップ3を占めた。
なお、前回鈴鹿の決勝で大クラッシュを喫し、先週のSUPER GTで復帰したブノワ・トレルイエは、今回がフォーミュラでの復帰戦となる。およそ1か月のブランクを感じさせない果敢なアタックで、6番手から決勝を迎えることとなった。
■フロントローの小暮がエンジンストール!
今季2度目の舞台を迎えた富士。朝のフリー走行では、予選3番手の松田がマーキングされていない(レースで装着ができない)タイヤを装着したことが判明。そのペナルティとして10グリッド降格となり、13位からのスタートを強いられた。
これが波乱の前兆だったのか、午後2時30分からの決勝では、クリアスタートした本山に対し、2番手の小暮がスタートでエンジンストール! 立ち往生のクルマに予選8番手のミハエル・クルムが接触、2台がメインストレートでストップしてしまった。
車両回収のため、セーフティカーがコースイン。レース再開後、トップの本山が、松田に代わって3位からスタートしたロッテラーにトップを奪われ2位へ後退。さらにデュバルにも逆転を許す。突然のエンジン不調というトラブルに見舞われた本山は、レース後半でリタイヤ。鈴鹿で2勝を上げた男は、ここ富士で今季2度目のリタイヤを喫した。
■緊張のバトルに終止符を打ったのは……
レースは折り返しを過ぎ、片岡龍也がトップに。セーフティカー導入時の3周目にピット作業を早々と済ませたことが功を奏し、中盤以降にピットインしたライバル達を従えた。
背後のロッテラーは再三にわたりストレートで片岡のスリップにつくが、ショートギアの6段トランスミッションを選択したロッテラーは、あと一歩の速さに欠け、辛酸をなめる。
しかし、巧みなライン取りで逆転のチャンスを与えなかった片岡も次第にタイヤが厳しくなり、徐々にペースダウン。結果としてロッテラー、さらにはトレルイエ、そしてデュバルまでが差を詰め、一触即発の接戦状態へと形が変わってしまう。
1コーナーにアプローチするたびに激しい攻防戦で観客を湧かせた片岡だが、すでにタイヤは限界を超えており、ついにロッテラーに逆転を許した。そのまま立て続けに後続にもパスされ、5番手まで順位を落とすと、痛恨のスピンでコースアウト。多くの見どころを作った立役者が戦列を去った。
チェッカーまで残り10周強でトップに立ったロッテラー。2位にはトレルイエが迫っており、緊迫状態が依然として続く。さらにデュバルもトレルイエを射程距離に捕らえており、レースは最後の最後まで予断を許さない状態となった。
が、結局これ以上のせめぎ合いは起こらず、このままレースは終了。ロッテラーが今季初優勝を果たした。日本人最高位は、4位入賞の荒聖治。片岡同様、セーフティカー導入時にピットイン、大きく稼いだマージンを活かし、今季自己ベストの結果を残した。
■ポイント争いにも緊張感
今回、ランキングトップの松田、これを追っていた2位の本山がそろってノーポイントに終わり、代わってトレルイエが松田に2点差で2位へと浮上した。初優勝のロッテラーも大きくランキングを引き上げ、ポイント争いも緊迫してきた。
次回第7戦の舞台は菅生。また新たな勝者が誕生するのか、あるいは上位陣のリベンジ戦となるか。その動向が楽しみだ。
(文=島村元子/写真=KLM Photographics J、JRP)
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