【東京モーターショー2004】トヨタの実力が際立った――近未来のモビリティをプロデュース
2004.11.02 自動車ニュース【東京モーターショー2004】トヨタの実力が際立った――近未来のモビリティをプロデュース
2004年11月2日のプレスデイで幕を開けた第38回東京モーターショー(商用車)。総じて地味な展示が多かったなかで、トヨタの充実ぶりは目を引いた。年間生産台数1000万台を目指す背景には、近未来の交通に関する明確な構想がある。
■充実の福祉車両
おや、ステージにはコンセプトカーの「不夜城」があるし、アシモが出てきてトランペットで演奏を始めた。しまった、間違えてホンダのブースに来てしまった……というのはウソで、パープルに鈍く輝いているのは「ハイエース」を改造した「サウンド・サテライト」だし、愛嬌を振りまいているのは「トヨタ・パートナーロボット」だ。
ちなみに、「不夜城」は1999年の東京モーターショーに出品されていたもので、アシモのデビューは2000年である。
総じて地味な展示が多かった今年のモーターショーのなかで、トヨタの充実ぶりはやはり目立った。2010年に生産台数1000万突破で世界一となるか、と派手な報道がなされた直後とあっては力も入るというものだ。
今回のショーの大きなテーマである福祉車両の分野では、トヨタのこれまでの蓄積の成果が発揮されていた。
「ウェルキャブ」の名を持つトヨタの福祉車両シリーズのラインナップの充実ぶりは圧倒的で、小型車のなかでのシェアは6割に達している。
そもそも、「ラウム」や「ポルテ」など、福祉車両向きのモデルが多い。展示車の「ウェルキャブ コンセプト」は車椅子のまま介助なしで運転席・助手席に乗降可能な機構を採用している。電動スライドドア、電動リフトはリモコンで操作することができる。
■本気で挑むフルサイズピックアップ
「フューチャー・トラック・コンセプト」は、フルサイズのピックアップトラックだ。アメリカではフォードの「F150」がある意味で国民車的位置を占めていて、これまでトヨタはひとサイズ小さい「タンドラ」は販売していたものの、このセグメントに正面から参入してはいなかった。
しかし、日産が「タイタン」で成功を収めた現在、トヨタも本気で激戦区に挑む覚悟を固めたらしい。未来テイストのデザインにも増して、パワーソースが重要な意味を持っている。V8エンジン+モーターというハイブリッドシステムを搭載し、ハイパワーと環境性能を両立させるというのだ。
「ハリアー・ハイブリッド」が好評を博しているのを見ても、この手のモデルはこれからアメリカで歓迎される可能性は高い。
石油の需給状況の推移によっては、購買動機のなかで燃費がより大きな要素になるかもしれない。「頭のよさそうなマッチョ」というコンセプトは、迷えるアメリカ人の心理を突いたうまい作戦ではないか。
■いまのところトヨタだけ
2005年3月から始まる地球博の会場で採用される公共交通システムの「IMTS」は、現物が姿を見せていた。ITS技術を駆使した、自動運転を可能にしたバスである。また、昨2003年のモーターショーで発表された一人乗りのコンセプトカー「PM」も引き続き展示された。これも、トヨタの考える近未来のモビリティを構成する要素のひとつなのだ。
環境・福祉・IT技術などを総合して近未来の交通を想定し、しかもそこから利益を得ることまで構想しているのは、いまのところトヨタだけなのかもしれない。商用車と福祉車両という、比較的地味なテーマだったことが、むしろトヨタの実力を浮かび上がらせていたように感じられた。
(NAVI すずき)
トヨタ自動車:
http://toyota.jp/
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