ヤマハXSR700(6MT/MR)
激戦の予感 2018.03.03 試乗記 人気モデル「MT-07」の基本設計とネオレトロなデザインを組み合わせたヤマハのネイキッドモデル「XSR700」。強力なライバルの登場により、今後ますます注目を集めると予想される2気筒・700ccクラスを勝ち抜くことはできるのか?最大の魅力は走りにある
XSR700は、軽量で乗りやすいMT-07のエンジン、車体、サスペンションを使用して、ネオレトロなイメージを持たせたマシンである。最大の魅力は、MT-07同様、軽量な車体とトルクフルなエンジンが生み出すその走り。走りだした瞬間にライダーを夢中にさせてしまう。
素晴らしいのはそのエンジンフィーリングだ。270度クランクのツインエンジンは小気味よい鼓動感はあるけれど、振動はほとんどない。非常に軽やかに吹け上がっていく。それでいて低回転からトルクが太く、3000rpm付近からスロットルを大きめに開けて勢いよく加速しようとするとフロントタイヤが路面から離れてしまう。けれど慌てることはない。スロットルを開けた瞬間のレスポンスは柔らかく、そこから右手の動き一つで自由自在にパワーを引き出すことができる。
高回転まで引っ張ればレブリミットまで気持ち良く伸びていく。リッターバイクのような超絶な加速はしないけれど、最近はやりのマネジメントシステムやトラクションコントロールなどは介入せず、純粋にライダーの操作でパワーを使い切るのは気持ちいい。
もう一つ気に入ったのは、のんびり走っていてもせかされる感じがしないこと。中速での鼓動感や力強さがあるから、スポーティーな性格であるにも関わらず、車の流れに乗って走っているだけでも十分に楽しめてしまう。
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ライバルとの戦いに打ち勝てるか
ハンドリングもニュートラル。反応が過敏すぎず街を走るのにちょうどいい。400cc並みの軽量な車体もあって、マシンが自由自在に動く感じだ。バイクはライダーのメンタルに大きく左右される。オッカナビックリになってしまったら楽しくもないし本来の性能も引き出せない。その点、XSR700は、多くのライダーがバイクを操る楽しさを知ることができる特性だ。個人的にはバンクさせるとステアリングが切れていってしまう感じがするのは気になるが。
全体的に見て、とても完成されたマシンである。どんな走り方をしてもそれなりにライダーを楽しませてくれる。動力性能ではなく、感性に訴えかけてくる性能が磨かれている。そこがとても素晴らしい。ただしこのくらいの排気量のマシンは、性能的にもサイズ的にもきれいにまとめやすい。だからライバルも同じように魅力的なものが多い。
MT-07の場合は、この走りが71万0640円で手に入れられた。250ccクラスで最も高額な「ホンダCBR250RR」より5~10万円ほど安いというコスパもあって、爆発的な人気になった。XSR700の場合は、車両価格が89万9640円とずいぶん高くなった。もちろん質感の高い外装は相応の価値があるのだけれど、このクラスでは「スズキSV650X」なんていう強力なライバルも登場しており、しかもあちらは価格も低く抑えられている。
もう少しすると、KTMからもこのクラスに新しいツインが投入される。こちらも相当に気合が入っている様子だ。XSR700はとても魅力的なバイクで、大激戦区になりつつあるこのクラスでも人気が出ることは間違いないだろう。けれど、独走できるところまでにはなっていないかもしれない。
(文=後藤 武/写真=三浦孝明/編集=堀田剛資)
【スペック】
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=2075×820×1130mm
ホイールベース:1405mm
シート高:835mm
重量:186kg
エンジン:688cc 水冷4ストローク直列2気筒 DOHC 4バルブ
最高出力:73ps(54kW)/9000rpm
最大トルク:68Nm(6.9kgm)/6500rpm
トランスミッション:6段MT
燃費:38.4km/リッター(国土交通省届出値 定地燃費値)/23.9km/リッター(WLTCモード)
価格:89万9640円

後藤 武
ライター/エディター。航空誌『シュナイダー』や二輪専門誌『CLUBMAN』『2ストマガジン』などの編集長を経てフリーランスに。エアロバティックスパイロットだった経験を生かしてエアレースの解説なども担当。二輪旧車、V8、複葉機をこよなく愛す。
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