トヨタ・ヤリスクロス ハイブリッドZプロトタイプ(FF/CVT)/ヤリスクロス ハイブリッドZプロトタイプ(4WD/CVT)/ヤリスクロスGプロトタイプ(FF/CVT)
一発回答は満額回答 2020.07.30 試乗記 着々とSUVラインナップの整備を進めるトヨタが、2020年秋にはさらに「ヤリスクロス」を投入する。発売前のプロトタイプモデルに試乗し、「ヤリス」のSUV版をうたうニューモデルの仕上がりを試した。トヨタになかった売れ筋サイズ
ひとくちに人気のSUVといえども、ユーザーの用途やセグメントの都合によって求められている形態も違ってきていて、コスト的な制約が厳しいBセグメントにおいてはベースシャシーの共有率を高める狙いもあり、シティーユースに軸足を置いたクロスオーバー的なコンセプトが主流となりつつある。
BセグメントSUVの主戦場である欧州で現地銘柄に目を向ければ、フォルクスワーゲン(VW)の「Tクロス」に「アウディQ2」、さらに「プジョー2008」「シトロエンC3エアクロス」「ルノー・キャプチャー」、そこにフォードやオペルも加わればその数は相当なものだ。そして日本銘柄でも「ホンダ・ヴェゼル」(欧州では懐かしの車名である「HR−V」を名乗る)や「マツダCX−3」、そしてこのカテゴリーの方向性を決定づけた「日産ジューク」など、おなじみの名前が並ぶ。
意外なことに、トヨタはそこに打つ駒を、今まで有していなかったという。なるほど、欧州で売られる最も小さなSUVといえば「C-HR」で、こちらはTNGA的すみ分けでいえばCセグメントに属するものだ。日本ではダイハツから供給される「ライズ」があるが、これはどちらかといえばAセグメント寄りになるだろう。確かにBセグメント系では最後発に近く、ヤリスの仕上がりを見るにつけ、このヤリスクロスが相当高い商品力をまとっていることはやんわりと想像できる。
まずお断りしておくと、今回はナンバーのないプリプロダクションモデルでの取材というタイミングゆえ、価格を筆頭に分かっていないことも多い。開発陣の言葉の端々から推することもままならない状況だったが、想定できることも含めて感じたままに記していきたい。
4人が座れてきちんと積める
ヤリスを名乗るSUVとしての連続性をクオーターピラーの「く」の字形状や、そこに沿うようなリアコンビランプの造形などに込めたというヤリスクロスのデザインは、ラギッドでもソフィスティケートでもない新しい価値軸として「ロバスト」、すなわち頑強さやたくましさをテーマにしたという。クルマを強く薄く見せるべく、ブラックアウトしたフェンダートリムやサイドステップまわりに合わせるようにグリーンハウスも気持ち斜めにキックアップしているが、側後方視界が極端にいじめられることはなく、見通しや車両感覚の把握に変な癖はない。それはドライビングポジションもしかりだが、このあたりはヤリスの素性をそのまま受け継いでいる。
ヤリスクロスの車寸は全長4180mm×全幅1765mm×全高1560mm。このサイズは欧州銘柄であるVWのTクロスやプジョー2008あたりにほぼ並ぶもので、日本銘柄のヴェゼルやCX−3に比べると全長が若干短い。2560mmのホイールベースはヤリスよりも10mm長いが、これはタイヤの大径化やワイドトレッド化による若干のジオメトリー変化が反映されたもので、基本骨格はヤリスと共有されている。また、最低地上高は170mmと、ライバルと同等の水準を確保している。
パッケージ的にも前席まわりはヤリスと同一となるが、後席は室内高の伸びしろを使ってヒップポイントを20mm高めて座面や背面の角度を調整し、アップライト姿勢に座らせるシアターポジションを採ったことにより、ヤリスに対して居住性が向上しているという。実際、身長181cmの筆者のドラポジから後席に移ってみると、足の収まりがよく天井方向や側方の圧迫感も小さくと、なるほどヤリスに対して広さ感は確かに上回るようだ。
その後席の背もたれは4:2:4の3分割可倒式を採用し、6:4に分割できるデッキボードと併せて、荷室の長尺物や背高物などへの対応力を高めている。荷室そのものは後席使用状態でも390リッターの容量を確保、9.5インチのゴルフバッグなら2つ、スーツケースは110リッタークラスを2つ積むことが可能。ちなみに110リッターといえば、一般的にはXXLと称される高さ80cm級のサイズとなる。とあらば、4人家族での帰省や旅行の荷物くらいは余裕で賄えるだろう。
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SUVらしいドライブトレイン
ヤリスクロスに搭載されるパワー&ドライブトレインは、「ダイナミックフォース」系の1.5リッターガソリン3気筒に発進用ギアを持つダイレクトシフトCVTの組み合わせと、同じ1.5リッター3気筒と「THS II」との組み合わせとなるガソリンハイブリッドの2本立て。駆動方式はどちらにもFWDと4WDが用意される。ベースとなるヤリスと同じ仕様になるが、4WDシステムについては純ガソリン車が「RAV4」で用いられた「ダイナミックトルクコントロール4WD」を採用。「マッド&サンド」「ロック&ダート」「ノーマル」と制御が最適化された3つの走行モードを選択する「マルチテレインセレクト」が搭載された。また、ハイブリッド車に採用される「E−Four」も、雪道想定でリアモーターの稼働速度域を高めたほか、スリップ輪に独立したブレーキをかけて駆動配分を最適化する「トレイルモード」を採用している。
路面環境のいいクローズドコースでの試乗では乗り心地面での判断が難しいが、以前にヤリスで同じ場所を走った際の印象を振り返るに、おおむね同じフィードバックだった。つまり、大きく重くなったバネ下を持て余してブルブル震わせるようなこともなく、タイヤの転がりにはきちんと精度感があって入力も微小領域からすっきりと減衰している。仕様によってはヤリスに対して100kg前後の重量増があるということで、その重みが公道でどのような乗り心地の差を生むかは興味深い。
誰にでも薦められる
クローズドコースということで限界領域の挙動は十分にチェックできたが、コーナリングは高重心をものともせず相当に安定している。ロールはスピードも量もしっかりコントロールされていて、手に汗握って傾きと対峙(たいじ)することも、不自然に突っ張ることもない。旋回中の切り増しにも素直に応答し、限界に近づくほどにじわじわとアンダーステアに収まっていく。試乗車のタイヤはガソリンが16インチ、ハイブリッドが18インチを履いていたが、さすがに腰砕け感が表れるかと思っていた16インチの丸い応答感が強く印象に残った。とはいえトゥーマッチに見える18インチでもタイヤに負ける印象はなく、きちんと履きこなせているのは立派だ。
その自重の重さや重心の高さから、ヤリスクロスにはヤリスほど軽快なハンドリングは望めない。動力性能的にもヤリスのようにひょうひょうと速度を乗せられず、負荷が高いところではいかにもCVT的なビジー感をのぞかせることもある。しかし、ヤリスにはそのぶん、割り切ったものがあるのも確かだ。個人的にはスポーツハッチまがいの走りの鋭さをどれだけの人が求めているのかについては疑問も抱いていた。
が、ヤリスクロスの仕上がりを見るに、トヨタはその疑問を払拭(ふっしょく)する模範的な回答を示したことになる。車体の形状・重量的にヤリスで示した強烈な燃費性能は1~2割近く後退するかもしれないが、それでも多くのユーザーとの親和性が高いキャラクターといえば、落ち着きや安らぎにたけたヤリスクロスの側だろう。RAV4と「ハリアー」の例もしかりだが、同じ素材でどれだけ指向性を違えるかの技巧がこなれてきたことも、最近のトヨタ車の強さを示すエピソードといえるかもしれない。
(文=渡辺敏史/写真=向後一宏/編集=藤沢 勝)
テスト車のデータ
トヨタ・ヤリスクロス ハイブリッドZプロトタイプ
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4180×1765×1560mm
ホイールベース:2560mm
車重:--kg
駆動方式:FF
エンジン:1.5リッター直3 DOHC 12バルブ
モーター:交流同期電動機
トランスミッション:CVT
エンジン最高出力:--PS(--kW)/--rpm
エンジン最大トルク:--N・m(--kgf・m)/--rpm
モーター最高出力:--PS(--kW)
モーター最大トルク:--N・m(--kgf・m)
システム最高出力:--PS(--kW)
タイヤ:(前)215/50R18 92V/(後)215/50R18 92V(ダンロップ・エナセーブEC300+)
燃費:--km/リッター
価格:--円
オプション装備:--
テスト車の年式:--年型
テスト開始時の走行距離:778km
テスト形態:トラックインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター(レギュラーガソリン)
参考燃費:--km/リッター
トヨタ・ヤリスクロス ハイブリッドZプロトタイプ
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4180×1765×1560mm
ホイールベース:2560mm
車重:--kg
駆動方式:4WD
エンジン:1.5リッター直3 DOHC 12バルブ
フロントモーター:交流同期電動機
リアモーター:交流同期電動機
トランスミッション:CVT
エンジン最高出力:--PS(--kW)/--rpm
エンジン最大トルク:--N・m(--kgf・m)/--rpm
フロントモーター最高出力:--PS(--kW)
フロントモーター最大トルク:--N・m(--kgf・m)
リアモーター最高出力:--PS(--kW)
リアモーター最大トルク:--N・m(--kgf・m)
システム最高出力:--PS(--kW)
タイヤ:(前)215/50R18 92V/(後)215/50R18 92V(ダンロップ・エナセーブEC300+)
燃費:--km/リッター
価格:--円
オプション装備:--
テスト車の年式:--年型
テスト開始時の走行距離:859km
テスト形態:トラックインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター(レギュラーガソリン)
参考燃費:--km/リッター
トヨタ・ヤリスクロスGプロトタイプ
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4180×1765×1560mm
ホイールベース:2560mm
車重:--kg
駆動方式:FF
エンジン:1.5リッター直3 DOHC 12バルブ
トランスミッション:CVT
最高出力:--PS(--kW)/--rpm
最大トルク:--N・m(--kgf・m)/--rpm
タイヤ:(前)205/65R16 95H/(後)205/65R16 95H(ダンロップ・エナセーブEC300+)
燃費:--km/リッター
価格:--円
オプション装備:--
テスト車の年式:--年型
テスト開始時の走行距離:642km
テスト形態:トラックインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター(レギュラーガソリン)
参考燃費:--km/リッター

渡辺 敏史
自動車評論家。中古車に新車、国産車に輸入車、チューニングカーから未来の乗り物まで、どんなボールも打ち返す縦横無尽の自動車ライター。二輪・四輪誌の編集に携わった後でフリーランスとして独立。海外の取材にも積極的で、今日も空港カレーに舌鼓を打ちつつ、世界中を飛び回る。
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