「F1 2025年シーズン前半」の通信簿 最も活躍できている新人ドライバーは誰?
2025.07.21 デイリーコラムF1の2025年シーズンは先の第12戦イギリスGPでちょうど折り返しを迎えた。オスカー・ピアストリとランド・ノリス、マクラーレンのドライバー同士が初戴冠をかけて競い合っているが、その後方では、次世代のチャンピオン候補に名乗りを上げんとする新人ドライバーたちの奮闘がある。ここでは中間評価として、ルーキーたちのこれまでの戦いぶりを振り返ってみたい。
まだシーズンフル参戦をしたことがないドライバー7人について、10点を最高に相対評価している。
最年少記録を更新するシルバーアロー期待の新星
アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)
評価点(10点中):8
ドライバーズランキング:7位(63点)
レース最高位:3位(第10戦カナダGP)
7冠王者ルイス・ハミルトンの後釜におさまった、チーム代表トト・ウォルフ肝いりのイタリア人は最年少18歳の“高校生F1ドライバー”。雨絡みで難しいコンディションだった初戦オーストラリアGPでは16番手スタートからいきなり4位入賞を果たし、開幕から才能の片りんを見せた。
さらに第3戦日本GPでは最年少ラップリーダー&ファステストラップの記録を塗り替えながら6位、第6戦マイアミGPのスプリント予選では最速、また第10戦カナダGPでは3位に入り初表彰台と活躍、現在ルーキー最高のランキング7位につける。第11戦オーストリアGPではマックス・フェルスタッペンを巻き添えにクラッシュするなどミスもあったが、タイヤのマネジメントスキル、冷静に戦況を読む力などは新人らしからぬレベルにある。
現在メルセデスはフェラーリに12点差をつけられてのコンストラクターズランキング3位。ルーキーのなかでも最も恵まれたチームにいる彼には相応のプレッシャーが重くのしかかるがそのぶん期待も大きい。好調な先輩格ジョージ・ラッセルとともにコンスタントに上位でゴールすることが求められているが、直近の6戦でメカニカルトラブルを含めたリタイアが4回というのが気になる。スランプを抜け出すのも、ドライバーの力量の見せ所である。
拡大 |
予選Q3進出6回、速く安定感ある“小さなプロスト”
アイザック・ハジャー(レーシングブルズ)
評価点(10点中):7.5
ドライバーズランキング:11位(21点)
レース最高位:6位(第8戦モナコGP)
開幕戦オーストラリアGP、予選ではルーキー最高の11位となるも、レースのフォーメーションラップ中に、ぬれた路面に足をすくわれクラッシュ。スタートできずにヘルメットの中で悔し涙を流したのも今は昔。弱冠20歳のフランス人はこれまで5回入賞、第8戦モナコGPではチームメイトの援護もあり6位に入るなど、激戦の中団グループで21点を稼ぎ、チームをリードするドライバーとして認められるまでになった。
ハジャーの強みのひとつは、予選での速さとレースでの安定感。特にQ3進出は6回(中国、日本、エミリア・ロマーニャ、モナコ、スペイン、カナダ)を数え、入賞圏を視野に入れたレース運びができる点がアントネッリに次ぐ新人2番手のポジションにつながっている。母国のメディアがつけた愛称は「小さなプロスト」。プロフェッサーの異名を持つ4冠王者アラン・プロストの後継となるのか?
拡大 |
屈辱の降格、雪辱を果たせ
リアム・ローソン(レッドブル/レーシングブルズ)
評価点(10点中):5
ドライバーズランキング:16位(12点)
レース最高位:6位(第11戦オーストリアGP)
マックス・フェルスタッペンのチームメイトとしてレッドブルで戦うも、たった2レースでジュニアチームのレーシングブルズに降格という憂き目にあった23歳のニュージーランド人。ズタズタにされたであろうプライドと自信は、温かく迎え入れてくれた古巣のメンバーたちのサポートもあり、徐々にだが回復しつつあるようだ。
第8戦モナコGPでは、抜けないコースを逆手に取ったチームプレイに徹し後続を抑え続け、僚友ハジャーに6位という好成績をもたらしたばかりか、自身も8位に入り今季初得点。レッドブル系チームにとってのホームである第11戦オーストリアGPでは力強い走りでキャリア最高の6位を勝ち取った。ハジャーに比べると入賞2回は見劣りするものの、降格で味わった屈辱をバネに雪辱を果たしてほしいところだ。
拡大 |
速さはあるものの、ペナルティーが多いのが玉にきず
オリバー・ベアマン(ハース)
評価点(10点中):6
ドライバーズランキング:18位(6点)
レース最高位:8位(第2戦中国GP)
2024年の第2戦サウジアラビアGPでカルロス・サインツJr.が虫垂炎となり、代役としてぶっつけ本番でフェラーリを駆り7位入賞と周囲を驚かせたイギリス人ドライバーは今年5月に20歳になったばかり。今季2戦目の中国GPで8位、次の日本GPとバーレーンGPで10位と連続でポイントを獲得し幸先の良いスタートを切ったが、その後は無得点が続いている。
減点要素を挙げるとしたら、ミスによるペナルティーが多いこと。第8戦モナコGPと第12戦イギリスGPでは、赤旗違反で10グリッド降格という重い処罰を受け、特に11位に終わった母国イギリスでは予選8番手という好機を台無しにしてしまった。チームメイトのエステバン・オコンは中国GPの5位を最高に入賞5回、23点を稼いでいるのと比較すると6点は物足りない。レーシングブルズとアストンマーティンの36点に対し、ハースは7点ビハインドのランキング9位。1点でも多く積み上げるためにはまずミスをなくすこと。チームメイトとの予選対決は6勝6敗と互角であり、速さのポテンシャルは十分ある。
拡大 |
地味だが成長を見せつつあるドライバー、上昇機運のチームにさらなる勢いを
ガブリエル・ボルトレート(キック・ザウバー)
評価点(10点中):6
ドライバーズランキング:19位(4点)
レース最高位:8位(第11戦オーストリアGP)
2023年にFIA F3、翌年同F2を制覇した20歳のブラジル人ドライバー。ランキングも下から数えたほうが早いポジションだが、マシンアップデートが順調に軌道に乗りつつあるシーズン中盤、第11戦オーストリアGPでは堂々8位入賞を果たし、初ポイントを獲得するなど調子を上げてきている。
フェルナンド・アロンソのドライバーマネジメント会社に所属しており、その才能に大ベテランの2冠王者も期待を寄せている。期待しているのは来年アウディに名を変えるザウバーも同じで、結果が出ていない時期にあっても、他のチームにあるような降格云々のプレッシャーもなくサポートし続けている。オーストリアの入賞は、チームメイトのニコ・ヒュルケンベルグというお手本から多くを学びつつあるということの証左と信じたい。
拡大 |
開幕6戦でリザーブに降格、復活はあるのか?
ジャック・ドゥーハン(アルピーヌ)
評価点(10点中):4
ドライバーズランキング:21位(0点)
レース最高位:13位(第2戦中国GP)
リザーブドライバーから晴れて正ドライバーにステップアップした2025年だったが、22歳のオーストラリア人であり元二輪王者ミックを父に持つジャック・ドゥーハンにとっては苦難の道が待っていた。母国の開幕戦では1周目にクラッシュしリタイア。2戦目の中国GPでの13位となるも、その後もポイントを獲得することなく低迷。第6戦マイアミGPでも0周リタイアとなり、以降はフランコ・コラピントにシートを奪われ、自身はリザーブに戻っている。
19点でコンストラクターズランキング最下位のアルピーヌにあって多くを望むことは難しいだろうが、かといって期待を抱かせるだけの結果は残せていないのも事実。彼の復帰があるのかないのか、いまのところははっきりしない。
拡大 |
目標いまだ達成できず、最大の功績はスポンサー獲得?
フランコ・コラピント(アルピーヌ)
評価点(10点中):3.5
ドライバーズランキング:20位(0点)
レース最高位:13位(第8戦モナコGP、第10戦カナダGP)
2024年後半から不振のローガン・サージェントに代わりウィリアムズのステアリングを握ると、2戦目のアゼルバイジャンGPで8位入賞したことで注目度が一気に高まったアルゼンチン人ドライバーは22歳。今季はアルピーヌに移籍し、当初リザーブドライバーだったが、第7戦エミリア・ロマーニャGPから“5戦の間”、ドゥーハンに代わり参戦が決定。5レースを終えても参戦継続中である。
オリバー・オークスがチーム代表を突如辞任したことで「非公式代表」という妙な立場にいるフラビオ・ブリアトーレから突きつけられた目標は、「速く走れ、クラッシュするな、ポイントを取ってこい」。しかしそのどれも達成したとはいえないのが実情で、第7戦エミリア・ロマーニャGP、第12戦イギリスGPでは予選でクラッシュ、6戦して0点といいところがない。中南米を中心に通信事業を手がけるClaro社をスポンサーとして連れてきたのが、いまのところ彼の最大の功績かもしれない。
(文=柄谷悠人/編集=関 顕也)
拡大 |

柄谷 悠人
-
スズキの未来を徹底検証! 技術戦略説明会から“10年先のスズキの姿”を夢想する 2026.10.16 年間生産500万台で、Dセグメントまでカバーする巨大メーカーに!? スズキが発表した「10年先を見据えた技術戦略2026」を徹底検証。技術開発に製品開発、インドを核としたグローバル戦略などの中身を通して、「10年先のスズキの姿」を予想した。
-
間もなく正式発表 ミツオカの新型2シータースポーツカー「LA1」を予測する 2026.10.15 光岡自動車が2026年11月26日に正式発表を予定しているアメリカンスタイルの新型2シータースポーツカー「LA1」。現在公開されているLA1の画像とティーザーサイトに掲載された情報から、その特徴を分析する。
-
「BYDラッコ」「スズキeスカイ」登場で卍どもえに 軽乗用BEVの覇権はどこが握る? 2026.10.14 これまで「日産サクラ/三菱eKクロスEV」と「ホンダN-ONE e:」のみだったところに「BYDラッコ」と「スズキeスカイ」が加わり、軽BEV市場がにわかに盛り上がりを見せている。どれもほぼ同じ床面積を持つBEVだが、比べてみるとその中身は結構違う。今後の覇権を握るのはどの陣営か。
-
電動化された新型「A110」の登場はいつ? 来日したアルピーヌのクリエフCEOに未来戦略を聞く 2026.10.12 アルピーヌのフィリップ・クリエフCEOが来日し、現在推進している戦略を報道関係者に説明した。なかでも気になったのは電動化された新型「A110」と、「A110Rウルティム」に相当する特別な超高性能モデルの存在だ。その内容とは?
-
パナソニックが市販カーナビを終売! 巨人の撤退からカーエレクトロニクスの変化を読み解く 2026.10.9 パナソニックが、市販市場向けカーナビゲーション、ドライブレコーダー、リアビューカメラの終売を発表! カーエレクトロニクス界の巨人は、なぜ市場からの撤退を選んだのか? 変化し続けるマーケットの在りようを振り返り、車載機器の未来を考察した。
-
NEW
三菱eKクロスEV P(FWD)【試乗記】
2026.10.17試乗記三菱の軽乗用電気自動車(EV)「eKクロスEV」が、一部改良でデザインを刷新! 2022年発売の古参の一台は、台頭するライバルをどう迎え撃つのか? 最新モデルと比べても、キラリと光る魅力はあるのか? 軽EVのパイオニアが擁する一台の実力を確かめた。 -
NEW
写真で解説する「フィアット・グランデパンダ」
2026.10.16画像・写真ステランティスが「フィアットブランドの大きな柱のひとつとなる重要なモデル」と位置づける「グランデパンダ」が日本上陸。その具体的な見どころを、写真とともに解説する。 -
NEW
フィアット・グランデパンダ ハイブリッド ラプリマ(FF/6AT)【試乗記】
2026.10.16試乗記欧州を代表するコンパクトカーの一台である「フィアット・パンダ」が第4世代に進化。新たに「グランデパンダ」を名乗り、日本にやってきた。ずばり新型の見どころは車両の随所にちりばめられた初代モデルへのオマージュである。上位グレード「ラプリマ」の仕上がりをリポートする。 -
スズキの未来を徹底検証! 技術戦略説明会から“10年先のスズキの姿”を夢想する
2026.10.16デイリーコラム年間生産500万台で、Dセグメントまでカバーする巨大メーカーに!? スズキが発表した「10年先を見据えた技術戦略2026」を徹底検証。技術開発に製品開発、インドを核としたグローバル戦略などの中身を通して、「10年先のスズキの姿」を予想した。 -
賢い選択 ――キャデラック「LYRIQ」フラットプランのすゝめ――
2026.10.15投資家も太鼓判! 「キャデラック・リリック」×フラットプランという最適解<AD>クルマが変わり、時代も変われば“持ち方”だって変化する? お金のプロである投資家が、「キャデラック・リリック」の残価保証型リースを勧める理由とは? 夢の「2台持ち」をかなえる、最新電気自動車の賢い選び方を考えた。 -
間もなく正式発表 ミツオカの新型2シータースポーツカー「LA1」を予測する
2026.10.15デイリーコラム光岡自動車が2026年11月26日に正式発表を予定しているアメリカンスタイルの新型2シータースポーツカー「LA1」。現在公開されているLA1の画像とティーザーサイトに掲載された情報から、その特徴を分析する。






