アウディ大逆転で表彰台独占【ルマン 2010】
2010.06.14 自動車ニュース【ルマン 2010】アウディ大逆転! 1年ぶりの勝利を表彰台独占で飾る
予選の速さと、決勝の強さ。モータースポーツの世界では、双方の両立が勝利の条件だが、本番のレースではそれが容易に実現するとは限らない――
はたして、今年のルマン24時間も、そんな文言どおりのレース展開となった。予選で速さを見せつけたプジョーは、決勝で全滅。着実なレース運びを強さにつなげたアウディ勢が、397周を走りぬいたNo.9 R15 TDI(ロッケンフェラー/ベルンハルト/デュマ組)を先頭に、表彰台を独占する結果となった。
■プジョー、まさかの転落劇
2010年6月12−13日に行われたルマン24時間耐久レースは、プジョー優勢で幕を開けた。ワークスの3台に他チームに供給した1台を加えた4台が予選4位までを独占。熟成の進んだプジョー908HDi-FAPの存在感を印象づけた。
プジョーはそのままの完勝を意識したに違いない。スプリントレース並みのスピードで予選をクリア。決勝でも、プジョー908HDi-FAPの4台がレースをリードし、3台のライバル、アウディR15 TDIはその後続となるのみ。
序盤の速さではプジョーがアウディを完全に上回っていた。が、それで終らないのが耐久レースだ。ポールポジションからスタートした3号車が、モノコックボディにまでおよぶサスペンショントラブルに見舞われ、まさかのリタイアに追い込まれれば、続く1号車もスターターとオルタネーターを交換する作業に時間を要して後退。唯一望みを託されたワークスマシン2号車もまた、エンジントラブルから出火。完璧かと思えたプジョーのとりでは、みるみる崩れ去った。
■壊れなかったアウディ
一方のアウディは、燃費の向上など、去年デビューさせたR15をさらに進化させた(通称:アウディR15プラス)と事前にアピールはしていた。が、レースは机上のデータではなく、コース上の現実が全てだ。
実際、ベテランのトム・クリステンセンらがドライブする7号車はクラス違いの周回遅れと接触して順位を落とし、アグレッシブな走りを見せた8号車もそれが裏目に出たか、コースアウトでフロントカウルを2度交換するなど、ヒューマンエラーが散見された。
とはいえ、ハード系のトラブルに泣いたプジョーと違い、アウディのマシンはマシントラブルを一度も起こさなかった。「ゼロミステイク・ジョブ」と優勝した9号車のドライバーが賞賛した、そのマシンの強さが、ライバルとの命運を分けた。
最速のマシンを手にしつつも、トラブルに泣いたプジョー。ルマンで勝利することの難しさを、あらためて印象付けられた一戦だったといえる。
総合結果(トップ6)
1.No.9 アウディR15 TDI(ロッケンフェラー/ベルンハルト/デュマ組)
2.No.8 アウディR15 TDI(フェスラー/ロッテラー/トレルイエ組)
3.No.7 アウディR15 TDI(クリステンセン/カペロ/マクニッシュ組)4.No.6 AIMチームオレカマットムート(アヤリ/アンドレ/メイリック組)
5.No.42 ストラッカレーシング(レベンティス/ワッツ/カネ組)
6.No.007 ローラアストンマーチン(フェルナンデス/ミュッケ/プリマ組)
クラス別トップ
LMP1クラス:No.9 アウディR15 TDI(397周)
LMP2クラス:No.42 ストラッカレーシング(367周)
LMGT1クラストップ:No.50 ラルブレコンペティション(331周)
LMGT2クラストップ:No.77 フェルバーメイヤープロトン(338周)
(文=島村元子/text=Motoko Shimamura)
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |