第91回:“隙間”があれば大丈夫
2007.09.01 広告のススメ第91回:“隙間”があれば大丈夫
「カンヌ国際広告祭」に「Direct」と「Media」という新しい部門ができて、2004年で3年目をむかえた。このカテゴリーは、広告そのものを評価するのではない。媒体の使い方がユニークであるとか、出演した特定のタレントによってキャンペーンが予想以上の効果をあげたとか、販売促進につけた景品が面白いなど、広告に付随する効果を評価する賞である。
スマートだから停められる
「スマート」といえば、ご存じダイムラークライスラー傘下のスマート社がつくる、小型シティコミューター。すくない道路専有面積、低エミッションの小排気量エンジンなどが自慢のコンパクトカーは、広告でももっぱら、小さいことのメリットを訴えてきた。本コーナーで紹介したスマートの広告にも、“小ささ”をアピールする様々な工夫が見られる。
今回紹介するのは、ドイツの新聞『DER TAGSSPIGEL』の題字である。メディアのタイトルだが、“DER”と“TAGSSPIGEL”の隙間に、赤いスマート・クーペがはめ込まれ、「park a smart everywhere you like.」(お好きなところにスマートを停めてください)とのコピーまで添えてある。メディア名と広告のコラボレーション、というわけだ。
道路の駐車枠に2台停められるスマートの特徴を活かした、いいところに目をつけた広告である。もちろん、ここは本来、広告スペースではない。だから目立つのであり、広告効果が高いのである。
この手の広告は、広告主が要望しても、メディアが載せてくれるとはかぎらない。メディアが広告スペースに使おうとしても、ピッタリの広告主がいる保証もない。両者の気がうまくあって、ユニークな広告が生まれることになったのだろう。メディアの“隙間”を上手に利用した広告として、カンヌ国際広告祭「Media Best use of Newspaper」を受賞した。
Smart City-Coupe/Germany
メディアプランニング:Stefanie Hahn
メディアプランニング:Jan Schumacher
クリエイティブディレクター:Florian Grimm
クリエイティブディレクター:Antje Hedde
エージェンシー:Springer Jacoby/Hamburg
(2003 Cannes Media Best use of Newspaper)
(文=金子秀之/2004年4月24日)

金子 秀之
早稲田大学商学部卒業。資生堂のアートディレクターとして前田美波里のサマーキャンペーンを担当。1973年博報堂のクリエイティブ・ディレクターとして、サントリーの「ブランディ水で割ったらアメリカン」キャンペーンを手がける。1993年(有)クエスターを設立。広告製作及び海外広告の紹介をして現在にいたる。
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