CAR GRAPHIC創刊50周年記念イベント「CG FESTA 2012 〜50th Anniversary Celebration〜」
2012.09.10 画像・写真2012年9月9日、静岡県御殿場市のミュゼオ御殿場で、CAR GRAPHIC創刊50周年記念イベント「CG FESTA 2012 〜50th Anniversary Celebration〜」が開かれた。1962年4月に創刊され、今年めでたく創刊50周年を迎えた『CG』こと『CAR GRAPHIC』では、2012年をアニバーサリーイヤーと位置づけ、読者諸氏への感謝を込めてさまざまな企画を展開してきたが、このイベントはそのクライマックスとして実施されたものである。にわかに秋の気配を感じさせる青空に恵まれた会場内には、CG50年の歩みを語る際に欠かせないモデル、および自動車メーカー・インポーターの協力により最新モデルを多数展示。周辺道路では、インポーターの協力による同乗試乗会も行われた。そして目玉となるプログラムが、豪華ゲストを迎えての5部構成によるメモワール・トークショー。中でも個人的にもっとも興味深かったのは、CG創刊当時からイタリア特派員を務め、後にジウジアーロと共にイタル・デザインを創設した宮川秀之氏を迎えての第2部だった。トークショーに先立って、CGが4年がかりで所在を突き止めたというフィルムが上映されたのだが、これが奮えがくるほどすばらしかった。1968年に毎日放送が製作した『世界の日本人』という30分番組で、全編にわたってイタリア自動車界で活躍する気鋭の青年実業家だった30歳当時の宮川氏をフィーチャー。そこには当時のトリノショーやベルトーネなどカロッツェリアの風景、そして、なんとジウジアーロ・デザインのプロトタイプ「アルファ・ロメオ・カングーロ」を宮川氏が試乗する光景までもが収められていたのだ……。このすばらしいサプライズのほかにも、楽しいプログラムが数多く用意され、2000人を超える来場者とともに50周年を祝った会場から、印象に残ったシーンを紹介しよう。(文と写真=沼田 亨)

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開場前の会場風景。青空に富士山が映える。手前の9台は、50年を振り返ってとくに印象深いクルマを選んだテーマ展示車両の一部。
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熱心な来場者が早朝から詰めかけたため、午前10時の予定を15分切り上げて開場した。
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自動車メーカーやインポーターの協力による、スポーツカーを中心とした最新モデルの展示。
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こちらも最新モデルの展示コーナー。
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テーマ展示車両のなかから、CGでとくに評価の高かった3台の小型車。手前から「シトロエンGS」「フォルクスワーゲン・ゴルフGTI」「ランチア・デルタHF 4WD」。
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テーマ展示車両のなかで、大注目のモデル。1968年に3台目の長期テスト車としてCGに導入された「ロータス・ヨーロッパS1」そのものである。テスト終了後に、後に環境庁長官や法務大臣を務めた中村正三郎氏の手に渡り、レース仕様に改造された。中村氏は大変なエンスージアストで、現在は自ら設計した「袖ケ浦フォレストレースウェイ」のオーナーである。このイベントのためにレストアしてくれたという、ヨーロッパ改め「NAKAMURA SPECIAL」は、現状では比較的おとなしい姿だが、一時期は大胆な姿にモディファイされており、その顛末(てんまつ)は、70年3月号に詳解されている。ミドシップされたロータス・ツインカムのカムカバーには、なんと“NAKAMURA”の文字が(写真左上参照)。
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テーマ展示車両に装着された、歴代のロードテスト用計測機器。左上から時計回りに1968年に導入された通称「第5輪」(装着車両は日産スカイライン・ハードトップ2000GT-R)、光学式の「ライツ コレビット」(アルピナB7ターボ)、同じく光学式の「小野測器」の通称「オノビット」(プジョー205GTI)、そして現在使用中のGPSを用いた「VBOX」(レクサスLFAニュルブルクリンクパッケージ)。
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「編集部員による最新モデル展示・車両解説ツアー」風景。自動車メーカーやインポーターの広報スタッフも交えて、和やかな雰囲気で進められた。
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「編集部員による最新モデル展示・車両解説ツアー」の進行に合わせて、ギャラリーの集団(画面中央右寄り)が移動していく。
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こちらはテーマ車両を中心とした「編集部員による展示車両解説ツアー」。わざわざ京都から駆けつけてくれた「日産スカイライン・ハードトップ2000GT-R」のオーナーにインタビュー中。
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テーマ展示車両のメルセデス・ベンツの「300SL」と「600リムジーネ」。「300SL」は創刊号(1962年4月)の巻頭特集を飾ったモデル(ただしガルウイングではなく、ハードトップ付きロードスター)で、「600リムジーネ」は、71年8月号で往復1000kmのロードインプレッションに登場したモデルの同型車。なお、この「300SL」は、故・石原裕次郎の愛車と同じく、ロードスター用のヘッドライトを備えている。
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トークショー会場に飾られたテーマ展示車両の「ホンダS600」と「RA272」(第1期F1マシン)。1964年、小林彰太郎CG名誉編集長はこの年から参戦したホンダF1を現地取材するため、自ら購入した「S600」を携えてヨーロッパにわたった。彼はホンダF1のデビューに立ち会った唯一の日本人ジャーナリストだったのだ。
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スタジオに飾られたテーマ展示車両。手前からCGのテストで初めて300km/hに達した「フェラーリF40」(1988年9月号)、ルマンで優勝した唯一の日本車である「マツダ787B」(91年)、そして88年のF1で全16戦中15勝を挙げた「マクラーレンMP4/4ホンダ」。
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5部構成で行われた「CGメモワール・トークショー」。「300SLの衝撃 〜CG創成期を振り返る」と題された第1部の出席者は、左から創刊メンバーで『SUPER CG』編集長などを歴任した高島鎮雄氏、初期から主として海外取材記事を寄稿、CGに多大な貢献をしたモータージャーナリストの山口京一氏、創刊編集長であり、現在は名誉編集長である小林彰太郎氏、そして進行役を務めたカーグラフィック代表の加藤哲也氏。
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トークショー第2部のテーマは「CGの国際化に貢献 〜“イタリア親善大使”宮川秀之氏」。タイトルのとおり、1960年代初頭からイタリアに住み、創刊当初からイタリア特派員として活躍した宮川秀之氏をゲストに迎えて行われた。創刊6号目となる1962年9月号のフェラーリ特集取材のためにマラネロを訪ね、エンツォに歓待された思い出をはじめ、貴重なエピソードを聞かせてくれた。
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トークショーの前に、1968年に放映された『世界の日本人』が特別に公開された。スクリーンに映し出された44年前の自らの姿に、感慨深げに見入る宮川秀之氏(左)と高島鎮雄氏(その隣)。お二人はそろって群馬県前橋市の出身で、小学生の頃からの友人同士という間柄。
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ズラリと並べられた50年分の表紙を熱心に眺める来場者。上方には、その時代を象徴する記事が。
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子供たちに人気だった「紙のクルマ」を作るコーナー。
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限定30名の予約制で行われた、CGのメインフォトグラファー北畠主税氏による愛車撮影会。リクエストがあればオーナーとの記念写真も可能で、そのために正装してきたオーナーもいた。撮影された写真は、その場でCGのアートディレクターによって、表紙に合わせてデザインされた。
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インポーターの協力により行われた最新モデルの同乗試乗会。会場の周辺道路をおよそ30分にわたって走るもので、これらは試乗車の一例。左上から時計回りに「メルセデス・ベンツSL550」「ランドローバー・レンジローバー イヴォーク」「フォルクスワーゲン・ザ・ビートル」、そして「マクラーレンMP4-12C」。