震災復興支援ラリー「プロスペクトアヴェニュークラシック」
2012.07.25 画像・写真2012年7月22日、茨城県ひたちなか市で震災復興支援ラリー「プロスペクトアヴェニュークラシック」が開かれた。これは東日本大震災によって甚大な被害を受け、1年3カ月余り一部通行止めが続いていた太平洋岸の「那珂湊海岸線道路」が6月下旬に完全復旧したことを県内外に広くアピールし、同時に地域活性化を図ろうと実施されたクラシックカーイベントである。参加資格は1989年までに生産された車両で、1960〜70年代のモデルを中心におよそ80台がエントリー。那珂湊海岸線道路をメインとする市内約30kmのルートを、コマ図にしたがって走るラリー形式でパレードした。夏真っ盛りのこの時期、本来なら旧車乗りにとっては人車ともにツライ季節だが、当日は最高気温24度という過ごしやすい陽気。ときに沿道から声援を送られながら、参加車両はそろってノートラブルでパレードランを楽しんだ。その様子を写真で紹介しよう。(文と写真=沼田 亨)

集合場所である大洗町の海鮮レストランの駐車場でスタートを待つ、約80台の参加車両の一部。
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集合場所である大洗町の海鮮レストランの駐車場でスタートを待つ、約80台の参加車両の一部。
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午前11時30分、1953年「ポルシェ356カブリオレ」を先頭にパレードに出発。ちなみにこの個体は、当時のインポーターである三和自動車によって初めて正規輸入された2台のポルシェのうちの1台という。
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単線のローカル線であるひたちなか海浜鉄道の那珂湊駅のロータリーを行く1970年「ダイハツCM型」。72年まで生産されたダイハツ最後のオート三輪で、荷台には3台のバイクモーターと呼ばれるエンジン付き自転車を積んでいる。民家のように小さな駅舎をバックにしたレトロな光景は、さしずめリアル版『ALWAYS三丁目の夕日』といったところ。
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同じくロータリーを行く1968年「スバル360」を駆るのは、自動車評論家の川上完氏。溜色(ため色=あずき色)と黒のツートンカラーは、「ブガッティT57」をイメージしたそうだ。「ちなみにこの色に塗ったのは、『シトロエン2CVチャールストン』が出る前」とのこと。
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パレードのメインコースである那珂湊海岸線道路を行く英国車グループ。1967年「トライアンフ・ヴィテス 2リッター Mk1」を先頭に「フォード・プリフェクト」、1台おいて「オースチン・ヒーレー・スプライトMk1」、「MGB GT」、「ロータス・エラン」などが続く。
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こちらは「アルファ・ロメオ」のグループ。1963年「ジュリア・スパイダー」に3台の通称「ジュリア・クーペ」が続く。
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黄色い1970年「GT」と真っ赤なタルガトップの73年「GTS」、2台の「ディーノ246」に続くのは、唯一のアメリカ車だった57年「シボレー・ベルエア」。
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まるで新車のように光り輝く1970年「メルセデス・ベンツ280SL」。後ろに見えるのは、ディーゼル規制により都内近郊ではとんと見かけなくなった83年「メルセデス・ベンツ300TDT」。コードナンバーW123のワゴンである。
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こちらは日本車勢。久々に見た通称ブルドッグこと1983年「ホンダ・シティ・ターボII」に2台の初代「ホンダZ」、「いすゞベレット1600GTR」などが続く。
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1989年「トヨタ・セリカ・コンバーチブル」。今ではめったに見かけない4代目「セリカ」のオープンだが、この個体は新車からのワンオーナー車で、塗装も含めフルオリジナル。しかもオーナーはご覧のようにステキな女性。個人的にベスト・オブ・イベントを差し上げたい。
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世界初の2ローター・ロータリーエンジン搭載車だった2台の「マツダ・コスモスポーツ」。白は1968年、赤は70年式。後ろに見えるのは型式名S130こと2代目「日産フェアレディZ」。
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非常に珍しい1975年「ジェンセン・ヒーレー Mk3」。「オースチン・ヒーレー」の生みの親であるヒーレー親子が70年代に送り出した英国産オープン2座スポーツ。エンジンはロータス製2リッターツインカムを積む。
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1964年「フォルクスワーゲン・タイプ2」。多目的ワンボックスの先駆けであるタイプ2の、「バス」とよばれる乗用ワゴン。愛嬌(あいきょう)のある顔つきが、今も軽ワンボックスをベースにしたレプリカのモチーフとなっているのはご存じのとおり。
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1973年「トヨタ・カリーナ」。70年にフロアユニットを共有する、スペシャルティーカーの「セリカ」と同時にデビューした、「カローラ」と「コロナ」の間に位置するファミリーセダン。この個体は最初のマイナーチェンジを受けた後のモデル。
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大径のホイール/タイヤを履かせ、アバルトのエンブレムを付けた「フィアット500F」と思いきや、リアサイドウィンドウに“POWERED by HONDA”のステッカーが。かつてZIPSPEEDがプロデュースした、後席のあるべきところにホンダ製DOHC1.6リッターのZC型エンジンをミドシップした怪物マシンだった。
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1987年「シトロエン2CVドーリー」。映画化もされたミュージカル「ハロー・ドーリー!」にちなんだ限定車。これを含め、全部で3パターンのツートンカラーが用意されていた。
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バンパーを外すなど、ちょっぴりコンペティション風のモディファイが施された、通称カニ目こと1961年「オースチン・ヒーレー・スプライト Mk1」。ドライバー、コ・ドライバー、そしてクルマ、みんなそろって笑顔なところに注目!
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1971年「ロータス・エラン・スプリント」。62年に登場した初代エランの最終発展型が、通称ビッグバルブ・ユニットを積んだスプリント。これを含めてエランは6台が参加した。
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いわゆる「ナロー」時代のなかでも別格的存在である1973年「ポルシェ911カレラRS2.7」。フェンダーが張り出して「ナロー」ではなくなった軽量ボディーに2.7リッターのフラット6を積んだ、ホンモノの「ナナサンカレラ」である。
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1964年「ロールス・ロイス・シルバークラウドIII」。全長約5.4m、全幅1.9m、そして全高1.6m近い巨体に今回のエントリー車両のなかで最大となる6.2リッターV8エンジンを搭載した最高級サルーン。