「第47回SHCC大磯ミーティング」(前編)
2012.06.08 画像・写真2012年6月3日、神奈川県大磯町の大磯ロングビーチで、湘南ヒストリックカークラブ(SHCC)主催の「第47回SHCC大磯ミーティング」が開かれた。このミーティングは駐車場内の特設コースで行われるタイムトライアル(ジムカーナ)を中心とするもので、初夏と晩秋の年2回開催されている。1980年代から続く歴史あるイベントだが、そもそも大磯ロングビーチは、日本の四輪モータースポーツの黎明(れいめい)期である1960年代からジムカーナが行われていた由緒正しい場所である。そんないわば「聖地」での開催とあって、今回も軽トラックからフォーミュラカーまで100台以上のエントリーを数える盛況となった。出場資格は1969年までに生産された車両およびレプリカを含む同型車、そして主催者が認めた車両で、排気量やチューニングの度合いなどによって9つのクラスに分けられる。常連のエントラントも少なくなく、各クラスともなかなかハイレベルな戦いが繰り広げられた。とはいえ、あくまでクラブ主催のサンデーイベント。スペシャルプログラムとして往年のF1のデモランなども行われた会場内には、ギャラリーを含めて「一緒に楽しもう」という和やかなムードが漂っていた。
なおSHCCでは、クラシックカーラリー「ラ・フェスタ・ミッレミリア」を通じて親交がある福島県のリゾート施設「ラピスタ裏磐梯」が、東日本大震災以来風評被害に悩まされていることに対して、昨年から復興支援を行っている。今回もイベント参加費の中から15万円を義援金として寄付した。そのほかにも、飲食物販売の売り上げの一部を東北地方に寄付するなどのチャリティー活動も行われていた会場から、リポーターの印象に残ったマシンを紹介しよう。
(文と写真=沼田 亨)(→後編につづく)

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エントリー車両が並んだパドック風景。
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フラットなレーシングハードトップを装着した1966年「ホンダS800」。1000cc以下のノーマル車両および500cc以下の軽自動車によるAクラスで2位入賞。
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ライトブルーに塗られた、コーダ・トロンカの後ろ姿がカッコイイ1965年「ホンダS600クーペ」。Aクラス3位。
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「ホンダS800」のシャシーに工業デザイナーの濱 素紀氏の手になるFRPボディーを載せた「コニリオ」。1969年の日本グランプリには2台が出走、現八王子市長の黒須隆一氏がドライブしたマシンが見事クラス優勝(総合12位)を果たしている。
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1970年に軽初のスペシャルティーカーとして登場した「ホンダZ360」。車齢40年以上だが、なんとドライバー氏は倍の80代だとか。見習いたいものである。
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あちこちサビて塗装が剥げ落ち、アクリル製のリアウィンドウもなく通気性抜群の1970年ボロル、おっと失礼「スバル360」。
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1965年「ホンダT360」。「Sシリーズ」と基本的に同じ総アルミ製のDOHC4キャブレターというとんでもないエンジンを積んだ、ホンダ初の市販四輪車となる軽トラック。
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2ストロークエンジン特有の青白い煙とカストロールの香りをまき散らしながら、1300cc以下のノーマル車両および1000cc以下の改造車両によるBクラスで優勝した1971年「スズキ・フロンテクーペGX」。タイムは1分01秒689。
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1963年「日野コンテッサ900」。「ルノー4CV」のライセンス生産から学んだノウハウを基に作られた日野初のオリジナル乗用車。レーシングなモディファイがキマったこの個体はBクラス2位。ヘッドライトはナローの「ポルシェ911」用とか。
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1969年「スバルff-1スポーツセダン」。当時の日本車としては驚くほど進歩的かつ合理的な設計だった、今日まで続く水冷水平対向エンジンを積んだスバルの初作。
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1969年「フィアット850スポルトクーペ」。65年に登場したフィアット最後のリアエンジン小型車「850ベルリーナ」をベースにした小粋なクーペ。
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文句なしにこの日の「ロール大賞」だった1988年「ルノー4GTL」。ここまで車体が傾いても、細いタイヤは四輪とも路面から離れることなく、ちゃんとグリップしている。ロードホールディングは見事なものである。
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1965年「日産シルビア」(CSP311)。「フェアレディ1600」(SP311)とシャシーを共有する、生産台数554台といわれる初代シルビアの珍しいレーシング仕様。
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6台を数えた「エラン」勢のなかでトップタイムとなる1分02秒212を記録し、1800cc以下のノーマル車両および1300cc以下の改造車両によるCクラスを制覇、チャンピオンの座を守った1964年「ロータス・エランS2」。
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1963年「ロータス・エランS1」。アイボリーのボディーに黒のトップ、オリジナルのスチールホイール。60年代に存在したマニアックなプラモメーカーである「コグレ」製の名作キットと同じ佇(たたず)まいにシビレた。
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1969年「モーガン4/4」。1936年の誕生から今日に至るまで、基本的に同じ構造および姿のまま造り続けられている、まるでシーラカンスのようなモデル。この個体は英国フォード製の1.6リッターエンジンを搭載。
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足の動きや姿勢が、クルマというよりネコ科の動物を見ているようだった1973年「アルピーヌA110 1600S」。
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1971年「ランチア・フルビア・スポルト1600」。フルビアでもラリーで活躍したHFとは異なり、こちらはザガートボディーをまとっている。
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前後フェンダーにサフェーサーが入った1972年「フォルクスワーゲン1303」。曲面ガラスのウインドシールドに前ストラット、後ろセミトレーリングアームのサスペンションを持つ、オリジナルビートルの最終発展型だ。
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盛大にタイヤスモークを上げながら旋回する1959年「オースチン・ランサー」。イギリス本国の「ライレー1.5」や「ウーズレー1500」の姉妹車となる、珍しいオーストラリア産の1.5リッター級サルーン。(→後編につづく)