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ボルボのクリーンディーゼル車には、日本のデンソーが開発した「i-ART」と呼ばれる燃料噴射システムが用いられている。
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デンソー本社の技術展示スペースにて、コモンレールシステムの機構を説明するデンソーの竹内克彦氏。この機構を世界で初めて量産化したのも、実はデンソーなのだ。
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<プロフィール> デンソー ディーゼル噴射事業部長 竹内克彦(たけうち かつひこ)さん 1989年入社。ディーゼル噴射システムの関連部署において、入社より一貫してシステムの先行開発から量産開発に携わる。2008年に「i-ART」を含めた第4世代システムの開発責任者に就任。2015年に現職となり、ディーゼル技術、企画、製造、品質保証全般の指揮を執っている。
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燃料噴射システム「i-ART」の模型。10万分の1秒の単位で噴射タイミングを制御することができる。
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「i-ART」のインジェクターには、1本ごとに圧力センサーが備えられている。
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「i-ART」を実用化したデンソーの開発力について竹内氏は、「新技術に積極的に取り組む社風に加え、先行開発から生産技術まで、関連部署が一堂に会して開発に取り組む“大部屋主義”もあるのでは」と語る。
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ボルボのクリーンディーゼル車に用いられるインジェクター。「VOLVO」「JAPAN」「DENSO」の文字が記されている。
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「i-ART」の緻密な制御により、実際の使用状況の中でも、環境の整った実験室と同じように理想の燃焼が行えるようになったという。
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「i-ART」では、インジェクターにピエゾ式ではなくソレノイド式を採用。コストの上昇を抑えつつ、最大噴射圧250MPa、1回の燃焼における最大噴射回数9回という高性能を実現している。
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<プロフィール> デンソー ディーゼル噴射技術部 担当次長 小島昭和(こじま あきかず)さん 1980年入社。日本自動車部品総合研究所に出向し、ディーゼルエンジンの排出ガスの後処理や、コンプレッサーなどの開発に携わる。その後、1996年にデンソーに帰任し、ピエゾインジェクターの開発リーダに就任。2012年より、現職にてデンソーのディーゼル技術を総括している。
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ボルボの「D4」エンジン搭載車向けに8段ATを製造するアイシン・エィ・ダブリュ。ボルボとの付き合いは長く、1975年から同社にATを供給している。
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8段ATのカットモデル。トルコン式でありながら、幅広い回転域でロックアップすることにより、優れた伝達効率を実現した。
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カットモデルをトルクコンバーター側から見た様子。ダンパーディスクの縁に張り付いている板状のものが、ペンデュラムダンパーの錘(おもり)だ。2枚の錘が、ディスクを表と裏からはさむように取り付けられており、ハート型の軸受けに沿って振り子状に動くことで、振動を相殺する。
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<プロフィール> アイシン・エィ・ダブリュ 技術本部 第3技術部 第3グループ グループマネージャー 今井康雄(いまい やすお)さん 1990年入社。技術部設計第4課に配属され、欧州向けFF車用4段AT(50-40LE)の開発に携わる。以来、今日に至るまでトランスミッションの開発に従事。2014年1月に現職に就任し、欧州向けトランスミッションの事業を指揮している。
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「D4」エンジン搭載車に採用される8段ATの内部。もとは高出力の2リッターガソリンターボエンジン「T5」用に開発されたもので、プラネタリーギアを追加することなしに多段化を実現するとともに、各部の抵抗を軽減することで、高効率化を実現している。
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自社の8段ATについて「世界最高の効率を実現していると自負しています」と語る今井氏。デュアルクラッチ式ATの登場が、トルコン式ATの進化を促したという。
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アイシン・エィ・ダブリュの本社にて。「D4」エンジンを搭載した「ボルボV40クロスカントリー」と、同車の8段ATの開発を担当した今井氏。
『第9回:最新のクリーンディーゼルを支える日本の技術』の記事ページへ戻る