ボルボEX30ウルトラ ツインモーター パフォーマンス(4WD)

未来派ホットハッチ 2025.09.24 試乗記 生方 聡 ボルボのフル電動SUV「EX30」のラインナップに、高性能4WDモデル「EX30ウルトラ ツインモーター パフォーマンス」が追加設定された。「ポルシェ911」に迫るという加速力や、ブラッシュアップされたパワートレインの仕上がりをワインディングロードで確かめた。
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2025年8月21日に国内導入が発表されたボルボの電気自動車「EX30ウルトラ ツインモーター パフォーマンス」。ツインモーターの名称からもわかるように、前後にモーターを配置した4WD車となる。同モデルのほかに最低地上高を引き上げた「EX30クロスカントリー」なども設定され、EX30は一気に5バリエーション展開となった。
2025年8月21日に国内導入が発表されたボルボの電気自動車「EX30ウルトラ ツインモーター パフォーマンス」。ツインモーターの名称からもわかるように、前後にモーターを配置した4WD車となる。同モデルのほかに最低地上高を引き上げた「EX30クロスカントリー」なども設定され、EX30は一気に5バリエーション展開となった。拡大
「EX30ウルトラ ツインモーター パフォーマンス」の車両本体価格は629万円。テールゲート左下に備わる「EX30」のバッジの右側に、「TWIN PERFORMANCE」のエンブレムが追加されている。
「EX30ウルトラ ツインモーター パフォーマンス」の車両本体価格は629万円。テールゲート左下に備わる「EX30」のバッジの右側に、「TWIN PERFORMANCE」のエンブレムが追加されている。拡大
グリルレスのフロントマスク左右に、ボルボ車でおなじみのT字型「トールハンマーLEDランプ」を配置。フロントまわりのデザインは後輪駆動の従来型と変わらず、ここからモデルを見分けることは難しい。
グリルレスのフロントマスク左右に、ボルボ車でおなじみのT字型「トールハンマーLEDランプ」を配置。フロントまわりのデザインは後輪駆動の従来型と変わらず、ここからモデルを見分けることは難しい。拡大
従来型の「EX30」と同じく、普通充電のほかにCHAdeMO方式の急速充電にも対応。充電ポートを左リアフェンダーに配置している。駆動用バッテリーの容量は69kWhで、一充電走行距離は535km(WLTPモード)と発表されている。
従来型の「EX30」と同じく、普通充電のほかにCHAdeMO方式の急速充電にも対応。充電ポートを左リアフェンダーに配置している。駆動用バッテリーの容量は69kWhで、一充電走行距離は535km(WLTPモード)と発表されている。拡大

待望の4WDは選べる2タイプ

ボルボのフル電動コンパクトSUV、EX30が一気にラインナップを拡大し、待望の4WD仕様が選べるようになった。しかも、SUVらしさを前面に押し出した「EX30クロスカントリー」と、ダイナミックな走りが自慢のEX30ウルトラ ツインモーター パフォーマンスの2本立てで、降雪地域のユーザーはもちろんのこと、アウトドア志向の人や、圧倒的な加速を楽しみたいと思う人など、より幅広い層にアピールできるだけに、気になっている人も多いのではないだろうか。

このうち、今回メディア向け試乗会でテストすることができたのが、2基のモーターを搭載した後者のEX30ウルトラ ツインモーター パフォーマンス。フロントに最高出力150PS、リアに同272PSのモーターを積み4WDを実現した電気自動車(BEV)だが、外観から4WDのハイパフォーマンスモデルであることを判別するのは難しく、標準装備となる20インチホイールとテールゲートに光る「EX30」のバッジの右に小さく「TWIN PERFORMANCE」と記されるのがわずかな手がかりである。

実はEX30ツインモーターには、いまから約2年前にスペインで試乗したことがある。そのときは、後輪駆動の「EX30シングルモーター」とともにテストし、EX30シングルモーターでも十分な速さを確認したうえで、EX30ツインモーターのあまりの俊足ぶりに度肝を抜かれたのを、いまでもはっきりと覚えている。その一方で、EX30ツインモーターは反応が鋭く、乗り心地も路面によっては荒っぽい印象があって、もう少しだけマイルドになるといいなぁとも思っていた。ただ、このとき試乗できたのが、量産直前のプリプロダクションモデルだったので、今回の試乗は、その進化を確かめる好機となった。

「EX30ウルトラ ツインモーター パフォーマンス」のボディーサイズは全長×全幅×全高=4235×1835×1550mmで、従来型と同数値。車重は「EX30ウルトラ シングルモーター エクステンデッドレンジ」が1790kgであるのに対してこちらは1880kgとなる。
「EX30ウルトラ ツインモーター パフォーマンス」のボディーサイズは全長×全幅×全高=4235×1835×1550mmで、従来型と同数値。車重は「EX30ウルトラ シングルモーター エクステンデッドレンジ」が1790kgであるのに対してこちらは1880kgとなる。拡大
12.3インチの縦型センターディスプレイをダッシュボードの中央に置くシンプルなコックピットは、従来モデルのデザインを踏襲。ステアリングコラム右側にレバータイプのシフトセレクターが備わるのも同じ。慣れてしまえばこの無駄のなさが「EX30」に欠かせない魅力と思えてくる。
12.3インチの縦型センターディスプレイをダッシュボードの中央に置くシンプルなコックピットは、従来モデルのデザインを踏襲。ステアリングコラム右側にレバータイプのシフトセレクターが備わるのも同じ。慣れてしまえばこの無駄のなさが「EX30」に欠かせない魅力と思えてくる。拡大
リサイクル素材とバイオ素材が組み合わされたダッシュボードパネルやドアトリムが「EX30」の優しい雰囲気をさらに際立たせている。「クラウドブルー」と「オニキスブラック」の外板色車両には、廃棄された塩化ビニールや廃ブラスチックを粉砕してつくった「パーティクル」(写真)と呼ばれるデコラティブパネルの内装が組み合わされる。
リサイクル素材とバイオ素材が組み合わされたダッシュボードパネルやドアトリムが「EX30」の優しい雰囲気をさらに際立たせている。「クラウドブルー」と「オニキスブラック」の外板色車両には、廃棄された塩化ビニールや廃ブラスチックを粉砕してつくった「パーティクル」(写真)と呼ばれるデコラティブパネルの内装が組み合わされる。拡大

シンプルでモダンなデザイン

ようやく再会できたEX30ウルトラ ツインモーター パフォーマンスは、外装が「クラウドブルー」と呼ばれる淡い青に包まれた車両であった。“ボルボ史上最も小さな電気自動車”をうたい、実際、そのボディーサイズは全長×全幅×全高=4235×1835×1550mmとコンパクトだが、サイズ以上に存在感があるとともに、ボルボらしいすっきりとしたエクステリアが上品で都会的な雰囲気を放つ。

エクステリア以上に好印象なのが、EX30のインテリア。シンプルでありながら、優しく洗練された雰囲気がなんともモダンで、エクステリアを含めてプレミアムコンパクトと呼ぶにふさわしい仕上がりである。

正直なところ、EX30のコックピットを初めて見たときにはあまりにシンプルで戸惑った。ドライバーの正面にメーターパネルはなく、ダッシュボード中央にある縦長の12.3インチタッチパネルに速度計やシフトインジケーターが統合されている。物理スイッチは省かれ、フロントドアにあるはずのパワーウィンドウやドアミラーのスイッチが見当たらず、どう運転を始めたらよいのか困るくらいなのだ。もちろん、慣れてしまえば、シンプルすぎるコックピットに不便は感じなくなり、このクルマに欠かせない魅力とも思えてきた。

「EX30ウルトラ ツインモーター パフォーマンス」には、「レンジ」「標準」「パフォーマンス」の3つの走行モードが用意されている。モードの切り替えは、タッチ式のセンターディスプレイを介して行う。
「EX30ウルトラ ツインモーター パフォーマンス」には、「レンジ」「標準」「パフォーマンス」の3つの走行モードが用意されている。モードの切り替えは、タッチ式のセンターディスプレイを介して行う。拡大
「パフォーマンス」モードを選択した「EX30ウルトラ ツインモーター パフォーマンス」の0-100km/h加速は3.6秒。「ポルシェ911カレラS/911カレラ4S」とほぼ同じダッシュ力を、このコンパクトなSUVで味わえるのはなかなか痛快である。
「パフォーマンス」モードを選択した「EX30ウルトラ ツインモーター パフォーマンス」の0-100km/h加速は3.6秒。「ポルシェ911カレラS/911カレラ4S」とほぼ同じダッシュ力を、このコンパクトなSUVで味わえるのはなかなか痛快である。拡大
床面が2段階の調整式となる後部荷室の容量は318リッター。フロントのボンネット下にも充電ケーブルなどを収容可能な「フランク」と呼ばれる収納スペースが設けられている。
床面が2段階の調整式となる後部荷室の容量は318リッター。フロントのボンネット下にも充電ケーブルなどを収容可能な「フランク」と呼ばれる収納スペースが設けられている。拡大
今回の試乗車は、標準で装備されるダイヤモンドカットとブラックのコンビネーションデザインが目を引く20インチホイールに、前後とも245/40R20サイズの「グッドイヤー・エフィシェントグリップ パフォーマンスSUV」タイヤを組み合わせていた。
今回の試乗車は、標準で装備されるダイヤモンドカットとブラックのコンビネーションデザインが目を引く20インチホイールに、前後とも245/40R20サイズの「グッドイヤー・エフィシェントグリップ パフォーマンスSUV」タイヤを組み合わせていた。拡大

本格スポーツカー顔負けの加速力

「EX30ウルトラ ツインモーター パフォーマンス」を含めた最新のEX30では、回生ブレーキの利き方を「OFF」「低」「高」の3段階から選択できるようになった。
「EX30ウルトラ ツインモーター パフォーマンス」を含めた最新のEX30では、回生ブレーキの利き方を「OFF」「低」「高」の3段階から選択できるようになった。拡大
明るいブルー系の「ブリーズ」と呼ばれるカラーで、シート表皮やドアのインナーパネルがコーディネートされた試乗車のインテリア。「EX30ウルトラ ツインモーター パフォーマンス」では、フロントシートにヒーター機能が標準で装備される。
明るいブルー系の「ブリーズ」と呼ばれるカラーで、シート表皮やドアのインナーパネルがコーディネートされた試乗車のインテリア。「EX30ウルトラ ツインモーター パフォーマンス」では、フロントシートにヒーター機能が標準で装備される。拡大
後席スペースは、後輪駆動モデルの「EX30」と同じく、広くはないが大人がきちんと座れる空間が確保されている。背もたれには60:40の分割可倒機構が備わり、積載物に合わせてアレンジが可能だ。
後席スペースは、後輪駆動モデルの「EX30」と同じく、広くはないが大人がきちんと座れる空間が確保されている。背もたれには60:40の分割可倒機構が備わり、積載物に合わせてアレンジが可能だ。拡大
センターコンソールに2段階で引き出せるドリンクホルダーを内蔵。その下部にはカバー付きの収納スペースも用意されている。
センターコンソールに2段階で引き出せるドリンクホルダーを内蔵。その下部にはカバー付きの収納スペースも用意されている。拡大
2基のモーターによってシステム最高出力422PSを発生する4WDのパワートレインは、同時に導入された「EX30クロスカントリー」と同一。乗り心地はEX30クロスカントリーよりも硬めの印象だが、十分に快適といえるレベルを確保している。
2基のモーターによってシステム最高出力422PSを発生する4WDのパワートレインは、同時に導入された「EX30クロスカントリー」と同一。乗り心地はEX30クロスカントリーよりも硬めの印象だが、十分に快適といえるレベルを確保している。拡大

ブラッシュアップされた走り

ボルボEX30ウルトラ ツインモーター パフォーマンス
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テスト車のデータ