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ただいま鋭意開発中!? 次期「ダイハツ・コペン」を予想する

2025.10.13 デイリーコラム 工藤 貴宏
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実は9カ月の“延命”

「軽オープンスポーツカー『COPEN(コペン)』の現行モデルを2026年8月末で生産終了いたします」

そんなダイハツからの公式発表を「いつかくると思ったけれど、ついにきたか」とさみしい気持ちで受け止めたクルマ好きは筆者だけではないはず。ついに、みんなが大好きなコペンの生産が終了するというのだから。

ただ、生産終了のタイミングは筆者が予想していたものとは違った。筆者はこの発表があるまで「2025年11月いっぱいで生産を終える」と考えていたからだ。その根拠は自動ブレーキ(衝突被害軽減ブレーキ)の義務化。コペンに自動ブレーキは搭載されていないが、ついに猶予措置が終わり、この12月以降は軽自動車の継続生産車にも適用される(搭載が義務づけられる)ことが決まっていたからだ。

いまさらながらにコペンに大規模改良を施して自動ブレーキを追加するのは現実的ではない。それを踏まえ、2025年11月いっぱいで現行コペンの生産を終えると予測していたのである。

だからコペンの生産を終えるのが来年8月と聞いたときにはまず「2025年12月以降の生産はどうするの?」という疑問が頭に浮かんだのだが、調べてみたら意外なことが判明した。なんと衝突被害軽減ブレーキ義務化の猶予(軽トラックや輸入車の継続生産車を除く)は2026年8月まで延長されることになったというのだ。

つまりコペンは本来なら2025年11月までで生産を終える予定だった。しかし自動ブレーキ法制化の猶予措置が延長されたことで「延命された」というわけである。それはすなわち「2025年12月から2026年8月までの期間は神様がくれたプレゼント。欲しい人は早めに手を打とう!」というメッセージにほかならない。

ダイハツの軽スポーツカー「コペン」。現在モデルは2代目にあたり、2014年6月に発売された。写真のモデルの正式名称は「コペン ローブ」である。
ダイハツの軽スポーツカー「コペン」。現在モデルは2代目にあたり、2014年6月に発売された。写真のモデルの正式名称は「コペン ローブ」である。拡大
2代目「コペン」は、ボディーパネルを付け替えてエクステリアのイメージを変更できるのが特徴。この機能を生かした新グレードとして、2014年にはタフなイメージの「コペン エクスプレイ」が、2015年6月には丸目の「コペン セロ」(写真)が登場した。
2代目「コペン」は、ボディーパネルを付け替えてエクステリアのイメージを変更できるのが特徴。この機能を生かした新グレードとして、2014年にはタフなイメージの「コペン エクスプレイ」が、2015年6月には丸目の「コペン セロ」(写真)が登場した。拡大
「コペン」の生産終了を伝える、ダイハツのウェブページ。そこには終わることへの悲壮感はなく、メーカーの“コペン愛”と、次期モデル開発への意欲があふれている。
「コペン」の生産終了を伝える、ダイハツのウェブページ。そこには終わることへの悲壮感はなく、メーカーの“コペン愛”と、次期モデル開発への意欲があふれている。拡大
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ヒントは2年前にある

閑話休題。今日のコラムのテーマはそんな現行コペンの生産終了を惜しむのではなく「次期型を勝手に大予想」である。

というのも現行コペンの生産終了を告げるダイハツからのプレスリリースは「再びコペンを世の中に送り出せるよう、さまざまなスタディーを続けております」と締められているのだから。次期型の存在を明言しているわけではないが、匂わせで終わっているのだ。期待するなっていうほうが無理である。

では次期コペンはどんなクルマになるのか?

記憶力のいい読者諸兄はちょうど2年前のジャパンモビリティショーに「ビジョン コペン」というスタディーモデルが参考出品されていたことを覚えていることだろう。説明員は「あくまで将来的なコペンのアイデアのひとつ」としていたが、ターボエンジンを積んだ2シーターのオープンスポーツカーが公開されたのだ。

コンパクトなオープンスポーツカーという初代コペンから続く伝統はしっかりと守りつつ、従来のコペンとは異なる意外なポイントがふたつあった。ひとつは軽自動車ではなく排気量1.3リッターのターボエンジンを積んだ小型車だということ。もうひとつは前輪駆動ではなく後輪駆動だったことである。

このコンセプトカーが次のコペンに直接結びつくわけではないが、開発者は「あくまでショーモデルで市販は視野に入っていませんね」なんてありがちな説明をまったく口にすることなく、「こういうコペンはいかがでしょう?」「皆さん、受け入れてくれますかね?」「コペンは続けていきたい!」などと熱く熱く説明してくれたことを覚えている。

筆者は取材しながら熱意と本気に圧倒されそうになったほどだ。同時に「社内では次期コペンに関して『軽自動車にするか、それともその枠から出るか?』という喧々諤々(けんけんがくがく)の議論が飛び交っているんだろうなあ」と感じたのもまた事実である。

2023年のジャパンモビリティショーに出展された、ダイハツのスタディーモデル「VISION COPEN(ビジョン コペン)」。
2023年のジャパンモビリティショーに出展された、ダイハツのスタディーモデル「VISION COPEN(ビジョン コペン)」。拡大
「ビジョン コペン」は、初代コペンを思わせる外観もファン泣かせのポイントだったが、最大の特徴は駆動方式がFRであること。排気量も軽規格におさまらない1.3リッターとされていた。
「ビジョン コペン」は、初代コペンを思わせる外観もファン泣かせのポイントだったが、最大の特徴は駆動方式がFRであること。排気量も軽規格におさまらない1.3リッターとされていた。拡大
展示から2年を経た今でも新鮮味のある、「ビジョン コペン」のインテリア。シンプルで洗練されたデザインのなかに、スポーツカーらしさも見て取れる。
展示から2年を経た今でも新鮮味のある、「ビジョン コペン」のインテリア。シンプルで洗練されたデザインのなかに、スポーツカーらしさも見て取れる。拡大
「ビジョン コペン」は単なる展示車両にあらず。ブースで来場者の反応・感想に熱心に耳を傾けるダイハツ関係者の姿に、次期型開発への意気込みが感じられた。
「ビジョン コペン」は単なる展示車両にあらず。ブースで来場者の反応・感想に熱心に耳を傾けるダイハツ関係者の姿に、次期型開発への意気込みが感じられた。拡大

“夢”がかなう状況ではある

果たして、次期コペンが軽自動車になるのか、それとも小型車となるのかは筆者にはわからないし、おそらくまだ決まっていないだろう(もしかしたら決まったか?)。

しかし確実にいえるのは、「後輪駆動にするのならプラットフォームはどうする?」という疑問である。その点を質問するとダイハツの説明員は「なんとかなりますよ」と明るく答えてくれたのだが、果たしてどうなるのだろうか。まさか専用プラットフォームをおこす?

何も知らない外野的にいえば、最も考えられるのは、トヨタとの協業かもしれない。現行コペンは、「コペンGRスポーツ」に限ったこととはいえトヨタのブランドでも販売されている。これをもっと広げる、もしくは基本設計を共用するトヨタ版の兄弟車を用意する。ついに市販化に向けてプロジェクトが動きつつも日の目を見なかった「トヨタS-FR」の市販化というわけだ。

それが最もあり得るプランではないだろうか。ダイハツ側がそれで納得するかは別として(個人的には1.3リッターの小型軽量後輪駆動スポーツカーを出してくれるならまったく異論はない)。

いずれにせよ、クルマ好き、スポーツカー好きのひとりとして、次のコペンも存在することを期待しないわけにはいかない。今は「ロードスター」を所有する筆者だけど、1.3リッターターボ(1.5リッターターボでもいいけど)のエンジンを積んだ後輪駆動で超コンパクト&超軽量のコペンが登場したら本気で乗り換え検討しちゃうかもなあ。運転が楽しいのは間違いないはずだし。

(文=工藤貴宏/写真=ダイハツ工業、トヨタ自動車、webCG/編集=関 顕也)

「トヨタ・コペンGRスポーツ」(写真)は「ダイハツ・コペン」のスポーティーグレード。今のコペンにトヨタが絡んでいるという事実は、モデルチェンジ実現へのプラス材料と考えられる。
「トヨタ・コペンGRスポーツ」(写真)は「ダイハツ・コペン」のスポーティーグレード。今のコペンにトヨタが絡んでいるという事実は、モデルチェンジ実現へのプラス材料と考えられる。拡大
軽らしからぬスポーティー感がただよう「コペンGRスポーツ」の車内。
軽らしからぬスポーティー感がただよう「コペンGRスポーツ」の車内。拡大
ちょうど10年前、2015年開催の第44回東京モーターショーに出展された「トヨタS-FR」。全長×全幅×全高=3990×1695×1320mmというコンパクトなFRスポーツカーのコンセプトモデルだった。
ちょうど10年前、2015年開催の第44回東京モーターショーに出展された「トヨタS-FR」。全長×全幅×全高=3990×1695×1320mmというコンパクトなFRスポーツカーのコンセプトモデルだった。拡大
コンセプトモデル「トヨタS-FR」のインテリア。次の「コペン」の車内は、あるいはこんなデザインになるのかもしれない。
コンセプトモデル「トヨタS-FR」のインテリア。次の「コペン」の車内は、あるいはこんなデザインになるのかもしれない。拡大
工藤 貴宏

工藤 貴宏

物心ついた頃からクルマ好きとなり、小学生の頃には自動車雑誌を読み始め、大学在学中に自動車雑誌編集部でアルバイトを開始。その後、バイト先の編集部に就職したのち編集プロダクションを経て、気が付けばフリーランスの自動車ライターに。別の言い方をすればプロのクルマ好きってとこでしょうか。現在の所有車両は「スズキ・ソリオ」「マツダCX-60」、そして「ホンダS660」。実用車からスポーツカーまで幅広く大好きです。

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