ニュルブルクリンク24時間 2016
2016.06.02 画像・写真2016年5月28~29日、ドイツの名門サーキット「ニュルブルクリンク」において、毎年恒例となっている24時間耐久レースが開催された。長時間にわたって熱い戦いを繰り広げた代表的なレーシングカーや、印象的なシーンを写真で紹介する。(文と写真=廣本 泉/text&photo=Izumi Hiromoto)
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1/21今大会で44回目の開催となった、ニュルブルクリンク24時間耐久レース。世界各国から計158台のマシンが集結し、それぞれのクラスで激しいバトルが展開された。
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2/21決勝は5月28日(土)の15時30分、曇天の下でスタートした。その後4周目に入るとノルドシュライフェ(ニュルブルクリンク北コース)の東側は大雨にたたられ、多くのマシンがコースアウト。さらにその雨は雹(ひょう)へと変化し、路面を埋め尽くすことになった。このため、レースは赤旗中断。およそ3時間後には再開されたものの、ハードウエットという厳しいコンディションの中でバトルが展開されることとなった。
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3/21夜に入ると雨はやみ、徐々に路面コンディションはドライへと変化していった。とはいえ、照明設備の乏しいノルドシュライフェ。ナイトセッションでは、多くのマシンがハプニングに遭うなど、サバイバルレースが展開されることとなった。
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4/212016年の大会で最も注目を集めたのが、計40台で争われた最高峰クラスのSP9クラスである。主な参戦車両はGT3マシンで、多くのメーカーがニューモデルを投入。その中で最も素晴らしいパフォーマンスを見せていたのが、「メルセデスAMG GT3」だった。ブラックファルコンの9号車がポールポジションを獲得したほか、決勝でも終始メルセデス勢がトップ争いを展開。ブラックファルコンの4号車が優勝を決めた。さらに、HTPモータースポーツの29号車が2位、ハリボーレーシングの88号車が3位、9号車が4位と、メルセデス陣営が上位を独占した。
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5/21メルセデスと同様に、BMWもニューマシンとなる「M6 GT3」を投入したものの、苦戦を強いられた。実質的なワークスチームとなっているシューベルトモータースポーツの100号車がリタイアに終わったほか、予選で2位につけた18号車もコースアウトで120位と低迷。BMW勢の最上位につけたのはロウレーシングの23号車で、それも5位という結果がやっとだった。
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6/212015年の優勝モデル「R8 LMS」を投入したアウディ勢にも、ハプニングが続出。昨年のウイナー、チームWRTの1号車が早朝のクラッシュで47位に終わったほか、過去2度の優勝経験を持つフェニックスレーシングの5号車および6号車もクラッシュを喫しリタイアとなっている。アウディ勢の最上位につけたのはWRTの2号車。性能調整のため苦戦し、結局8位でレースを終えた。
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7/212016年型の「ポルシェ911 GT3 R」を投入したポルシェ勢も、厳しい戦いを強いられた。有力チーム、マンタイレーシングの911号車がレース序盤の雹(ひょう)で足をすくわれてクラッシュし、そのままリタイアしたほか、その他の有力チームも低迷。なんとかファルケンモータースポーツの44号車が最上位の9位につけたものの、ポルシェ勢にとっては悔しいリザルトとなった。
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8/21アストンマーティンは2台の「V12ヴァンテージGT3」をSP9クラスに投入。予選で7号車が9位につけたものの、決勝ではわずか32周でリタイア。予選18位の27号車も17周でリタイアするなど、レース序盤で戦線を離脱することとなった。
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9/21ベントレーもGT3仕様のマシン「コンチネンタルGT3」で今大会にチャレンジ。Mスポーツに変わって、チームアブトがレースマネジメントを担うものの、予選では37号車が21位、38号車が28位に低迷。それでも波乱のレースを走り抜き38号車が7位、37号車が17位で完走を果たすなど、ジャンプアップには成功した。
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10/21スクーデリア・キャメロン・グリッケンハウスが今年もオリジナルのレーシングマシン「SCG003C」をSP-Xクラスに投入。予選では702号車が23位、701号車が34位につけるものの、701号車が98周目にリタイア。それでも702号車が粘り強い走りを見せ、総合26位、SP-Xクラス2位で完走を果たした。
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11/21地元チームが投入する「オペル・マンタ」はニュルブルクリンク24時間レースの名物モデルとして今大会でも健在。ファンの歓声を集めていた。そのパフォーマンスは高く、予選ではSP3クラスの1位を獲得したものの、決勝ではわずか3周でリタイアしてしまった。
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12/21国産モデルも2016年の大会で活躍している。なかでも「日産GT-R」は唯一のGT3車両としてSP9クラスで躍進。ニッサンGTアカデミー・チームRJNの35号車が予選で21番手につけ、決勝でもコンスタントな走りを披露。日本メーカーとして最上位となる総合11位で完走を果たした。
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13/21STI(スバルテクニカインターナショナル)は、「スバルWRX STI」をSP3Tクラスに投入。予選はクラス2位にとどまることとなったが、決勝では安定した走りを披露し、総合20位で完走。SP3Tクラスで見事2連覇を達成。2011年以来、通算4度目のクラス優勝を獲得した。
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14/21トヨタの社員メカニックを中心に構成されているTOYOTA GAZOO Racingも、素晴らしい活躍を見せた。SP3Tクラスに挑んだ「レクサスRC」はトランスミッションのトラブルでリタイアすることとなったが、SP-PROクラスに挑んだ「レクサスRC F」は総合24位。さらに、注目を集めたクロスオーバーモデルがベースの「トヨタC-HRレーシング」も、途中でガス欠するハプニングがあったものの、総合83位で完走を果たし、SP2Tクラス3位入賞を果たした。
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15/21かつてニュルブルクリンク24時間レースは“偉大なる草レース”と呼ばれたが、近年は数多くのメーカーが参入している。それらはワークスチームを投入し、ゲストラウンジや巨大ブースを設置するなど積極的にプロモーション活動を展開している。
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16/21屋内展示施設“ring werk”にも、自動車メーカーがブースを出展。さながらモーターショーのような雰囲気だ。レース観戦に訪れた人たちは、レーシングカーやベース車両などニュル24時間にまつわるモデルを、興味津々の様子で眺めていた。
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17/21ツーリングカーの最高峰シリーズであるWTCC(世界ツーリングカー選手権)も、ニュル24時間と同時に開催された。28日の土曜日に各3周のオープニングレース、メインレースが行われ、ともにシトロエンのエースとして「CエリーゼWTCC」を駆るホセ-マリア・ロペスが勝利を手にした。
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18/212016年のWTCCには、ボルボのワークスチームであるポールスターレーシングが「S60」を投入。エンジンパワーに関してはクラストップレベルとうたわれているが、足まわりのセッティングで苦戦を強いられた。オープニングレースでフレドリック・エクブロムが8位。メインレースでも、エクブロムが7位に入った。
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19/212016年のWTCCでは、予選終了後に行われる新たなプログラムとして「MAC3」が導入されている。これはマニュファクチャラーとして登録しているシトロエン、ホンダ、ラーダの3メーカーによって争われる団体のタイムトライアル戦で、各メーカーが3台を選抜し、3台目の通過タイムで順位を決定。もともとは自転車競技のツール・ド・フランスのタイムトライアルを参考にしたシステムなのだが、上位から順にマニュファクチャラーポイントが加算されるため、各チームともに戦略を駆使したアタックが展開されている。
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20/215月27日(金)にはサポートレースとして「24hクラシック」の決勝が開催された。文字通りクラシックカーによる“3時間の耐久レース”で、雨の中、FHRとヤングタイマーの両クラスで激しいバトルが展開されていた。
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21/21「24hクラシック」では、2クラスに計206台がエントリー。車種バリエーションが多彩で、AE86型「トヨタ・カローラレビン」といった国産モデルから「NSU TT」まで、さまざまな名車が参戦した。しかも、パレードラン的な要素はなく、レースは真剣勝負そのもの。旧型車といえどもスピードレンジは高く、迫力満点のバトルが展開されていた。