「いすゞヒストリックカー撮影会」の会場から(後編)
2016.12.28 画像・写真2016年12月25日、神奈川県藤沢市にあるいすゞ自動車藤沢工場で開かれた、いすゞヒストリックカー撮影会」。前編に続いて後編では、小型~中型トラックのベストセラーである「エルフ」や、国内に現存する、実走可能な最古の国産バスである「スミダM型バス」など、トラックとバスを中心に紹介しよう。(文と写真=沼田 亨)
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1/211982年「ロデオ ビッグホーン」。1979年に小型ボンネットトラックの「ファスター」に加えられた4WD仕様が「ファスター ロデオ」。そのシャシーを流用して生まれたSUVの先駆けとなるモデルが、1981年に誕生した初代ビッグホーンである。ロデオ ビッグホーンと名乗っていたデビュー当初は、長短2種のホイールベースがあり、双方にソフトトップ、メタルトップ(バン)を用意。いずれも2ドアで、4ナンバーの商用登録だった。エンジンは2リッターガソリンまたは2.2リッターディーゼル。これはロングのバンで、角張ったスタイリングは初代「レンジローバー」をほうふつさせる。
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2/21シンプルだが機能美を感じさせる「ロデオ ビッグホーン」のインパネ。変速機は4段で、4WDはパートタイム式。
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3/21登録上は4ナンバーの商用車ながら、しゃれたカラーリングの「ロデオ ビッグホーン」のシート。こうしたモデルでも、いすゞのデザインセンスが光っていた。
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4/21「ロデオ ビッグホーン」のテールゲートは、およそ7:3の分割式で左右に開く。左側の大きいほうには、スペアタイヤがマウントされている。
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5/211964年「エルフ」。小型~中型キャブオーバートラックのベストセラーであるエルフの初代モデル。いすゞ初の小型トラックとして1959年にエルフが誕生した当時、小型キャブオーバートラック市場では、すでに「トヨペット・ダイナ」「日産キャブオール」「プリンス・クリッパー」などが群雄割拠していた。しかし翌60年にクラス初となるディーゼルエンジン(2リッター直4)搭載車が追加されると、エルフは先行していたライバルを一気にまくり、ベストセラーの座を勝ち取ったのだった。
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6/21初代「エルフ」のキャビン。ボディー同色のオリーブグリーンとアイボリーの2トーンはしゃれているが、白いシートは汚れが目立ってしまいそうだ。
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7/211969年「エルフ」。68年にフルモデルチェンジした2代目エルフである。俗に「エルフブルー」と呼ばれるブルーのボディーカラーを最初に採用したモデルだが、ブルーの色目はこんなに地味だった。2.2リッター直4のディーゼルエンジンを積む。
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8/212代目「エルフ」のキャビン。平凡なデザインだが、強いて言うならばチェック柄のシートがいすゞらしいかも。
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9/211948年「TX80トラック」。戦後間もない1946年から生産された5t積みトラック。1979年まで作られ、大型車のトップメーカーとしてのいすゞの礎を築いた、大型ボンネットトラックTXシリーズのルーツである。
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10/21「TX80トラック」のキャビン。木骨に鋼板張りで、ドアの内張りや天井も板張りである。変速機はノンシンクロの4段フロアシフト。
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11/21「TX80トラック」のエンジン。直6サイドバルブ4390ccから最高出力85ps/3000rpm、最大トルク26.0kgmを発生。これはガソリンエンジンだが、同時代にディーゼルエンジンも登場し、やがてディーゼル搭載車が主力となっていった。
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12/211932年「スミダM型バス」。いすゞの前身である石川島自動車製作所が製造した、国内に現存する実走可能な最古の国産バスとなる小型乗合バス。経済産業省の近代化産業遺産にも認定されている。
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13/21「スミダM型バス」のリアビュー。ボディーサイズは全長×全幅×全高=5165×1825×2300mm。直4サイドバルブ2720ccエンジンの最高出力は、わずか40ps/2500rpmだった。
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14/21「スミダM型バス」より。写真左上はラジエーターグリル、右上はボンネットに貼られたエンブレム。左下はダッシュボードに貼られた石川島自動車製作所のメーカーズプレート。右下は室内のルーフ前端、ウインドシールド上部に貼られた、ボディーを架装した脇田自動車工業株式会社のプレート。脇田自動車工業は、現在のジェイ・バスのルーツのひとつとなるボディーメーカーである。
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15/21「スミダM型バス」の運転席。戦前車にはよくあることだが、アクセルペダルとブレーキペダルの配置が一般的なものとは逆で、右端にブレーキ、真ん中にアクセルペダルがある。
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16/2112人分のシートが並んだ「スミダM型バス」の客席。
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17/21奥は通称「親スミダ」こと「スミダM型バス」。真ん中はいすゞのスタッフが設計製作したペダルカーに、スミダM型バスを模したおよそ1/4スケールのボディーを載せた通称「子スミダ」。手前は通称「孫スミダ」こと約1/43スケールの模型。
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18/21軽快に走ってみせた「子スミダ」。
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19/21「スミダM型バス」と、藤沢工場内で構内バスとして使われている2016年「エルガ」。全長×全幅×全高=11130×2485×3045mmのボディーに、最高出力250psを発生する5.2リッター直4のディーゼルターボエンジンを積んだ、最新の路線バスである。
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20/21この日の歴代車両撮影会で、走行を披露した11台。
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21/21歴代車両のレストアと、維持管理および保存を担当するスタッフのみなさん。