多様な先進技術にビックリ!
大矢アキオの「CES 2018」
2018.01.18
画像・写真
世界最大級のコンシューマー・エレクトロニクス見本市「CES」が2018年1月9日から12日まで、米国・ラスベガスで開催された。約3900という出展者数は、フランクフルトモーターショーの4倍近い。会場は、オフィシャルなものだけでも市内11カ所に分かれているから、ぞれぞれを見学するには、大いに時間と体力、そして集中力を要する。
自動車メーカーおよびサプライヤーは、いわゆる「CASE」(コネクテッド/オートノマス<自動運転>/シェアリング/エレクトリック)のうち、特に自動運転と電動化に焦点を当てるブランドが多くみられた。
一方、家電メーカーは、自社オリジナルの人工知能(AI)プラットフォームをベースにしながら、「Googleアシスタント」「Amazon Alexa」「Clova」といったAIアシスタントの覇者たちをどのように活用するかを、2017年の前回以上に活発に提案した。
今後こうしたAIは、私たちの日常生活からあらゆるデータを収集しながら成長してゆくだろう。昭和時代、町の電器屋さんは、お得意さんの家にある家電製品をはじめ、どの部屋にどのような電球が使われているかまで把握していたものだ。いまやGoogleやAmazonが、その電器屋さんの役を果たし始めたのかもしれない。
(文=大矢アキオ<Akio Lorenzo OYA>/写真=大矢アキオ<Akio Lorenzo OYA>/編集=関 顕也)
-
1/22グラフィック処理や自動運転の技術をはじめ、今や自動車業界で欠かせぬ存在となったプロセッサー企業NVIDIA(エヌビディア)。「ロボレース」用の自動運転レースカーとともにフラッシュを浴びていたのは、同社のフアンCEO(右)と、カーデザイナーのダニエル・サイモン氏。
-
2/22中国・南京に本拠を置くブランド、BYTON(バイトン)の「コンセプト」は、来場者を乗せての場内試乗会も。
-
3/22「バイトン・コンセプト」のリアビュー。同社のデザイン担当副社長は、かつて「BMW iシリーズ」のデザイン開発を率いたブノワ・ジェイコブ氏である。
-
4/22米国のフィスカー・オートモーティブは「Eモーション」を発表。航続距離640km以上、9分の充電でも200kmの航続が可能なEVだ。LiDAR(レーザーレーダー)による自動運転や、データネットワークとのコネクティビティーもセリングポイント。
-
5/22ヒュンダイが公開した燃料電池SUV「NEXO(ネキソ)」。航続距離は370マイル(約600km)で、2018年3月に発売。プロダクトマネジャーによると、アメリカおよび欧州が主戦場となるという。
-
6/22ヒュンダイの「燃料電池のある社会」と題した展開コーナーで。脇には「燃料電池車から排出した水を集めて植物を育てるガーデニングコンセプト」のコーナーが。「もしや無料配布の飲用ボトルも?」と思ったが、そちらは普通のミネラルウオーターだった。
-
7/22ボディ・コントロール・システムズによる、コックピットのコンセプト展示「サーフィンカーブ」。「ステアリングを廃して“ジョイスティック”に置き換えることで、車室スペースも有効活用できる」と説く。5~10年後の実用化を目指すという。
-
8/22アルプス電気による車載用静電入力デバイス。極めて感度が高く、革や木材、ファブリックといった素材を用いても、ジェスチャーやタッチによる入力操作が可能。
-
9/22小糸製作所によるLiDAR内蔵ヘッドランプユニット。「クルマのコーナーをぶつけるのが、ますます怖くなるが……?」との質問に対して、担当者は「将来的には、クルマはぶつからなくなる前提ですから」と答えた。ただし、飛び石はいかんともしがたい。このヘッドランプユニットは、ポリカーボネートのカバーで覆われている。
-
10/22コンチネンタルの「溝残量センサー付きタイヤ」。担当者は「自動運転の時代になると、ユーザーはクルマの整備がおろそかになるため、こうしたデバイスが大事になる」と力説する。
-
11/22フォードのブースにて。ヘッドレスト風の半透明マスクをかぶり、人が運転していないように見せかける“なんちゃって自動運転”の展示。自動運転に対する歩行者の反応や、彼らとの関わり方を探る研究である。
-
12/22パーツサプライヤー「ヒュンダイモービス」の顔認証デバイス。従来のサンバイザー位置に設置した理由をスタッフに聞いたところ、「最も認識に適している場所だから」とのことだった。
-
13/22家電パビリオンから。もはや冷蔵庫の液晶画面が家庭内情報ステーションになるくらいでは驚かないのがCES。しかし今回LGエレクトロニクスが展示したそれは、例えばピザを画面で選ぶと、AIアシスタントを介して焼き方をオーブンに指示するばかりでなく、食後の清掃方法を食洗機にオーダーする。
-
14/22ラスベガス・モノレールには、グーグルのラッピングが施された。車内放送でも「Hey Google」で始まるCMが流れていた。
-
15/22ポラロイドは、1977年にさかのぼる“ワンステップカメラ”のリバイバル版を前面に押し出した。外観はオリジナルを踏襲しているが、ストロボをはじめ各機能はリファインされている。
-
16/22「サンズ・エクスポ」と名付けられた館(やかた)には、無数のスタートアップ企業が集う。写真は、シカゴの6人組が開発した電動トロリー「モドバッグ」。重さは約9kgで、航続距離は6マイル(約9.6km)である。価格は1495ドル(約16万円)
-
17/22イタリアからやってきたドメニコ・ボルチェーゼ氏が持ち込んだ自転車に搭載されていたのは……
-
18/22油圧による減衰力可変リアサスペンション。自転車の公式競技にも使用可能という。現在、フロント用も開発中とのこと。
-
19/22フランスのスタートアップ企業、パーキイのメンバー。「センス」と名付けられた装置は、路上の簡易センサー(左奥)を使って、100m以内で行われている約80台の路上駐車を探知することが可能。カメラを使わないため、プライバシー保護の問題もクリアしやすいという。
-
20/22オルフェオ・サウンドワークスのブースにて。聞き慣れない企業名だが、実はLINEを擁するNAVER(ネイバー)が年内にリリースする予定のリアルタイム翻訳イヤホン「MARS」の開発を担当している。「CES 2018イノベーションアワード」を受賞。
-
21/22スマートフォンの加速度計やジャイロをサーバーとつなぎ、体のサイズを測定するアプリ「マイサイズ」。衣料通販の返品削減にも貢献する。イスラエル企業によるもの。
-
22/22CES会期中のラスベガス市内には、さまざまな自動運転車が。写真は、中国のインターネット検索大手である百度が推進する自動運転システム「アポロ」を搭載した「リンカーンMKZ」。