「第61回 SHCC大磯ミーティング」の会場から
2019.05.31 画像・写真2019年5月26日、神奈川県大磯町の大磯ロングビーチで、湘南ヒストリックカークラブ(SHCC)主催の「第61回 SHCC大磯ミーティング」が開かれた。
1980年代後半に始まったこのミーティングは、駐車場内の特設コースで行われるタイムトライアル(ジムカーナ)を中心とするもので、初夏と秋に年2回開催されている。出場資格は1969年までに生産された車両およびレプリカを含む同型車、そして主催者が認めた車両で、今回のエントリーは約90台。それらの参加車両は排気量やチューニング度合いなどによって9つのクラスに分けられ、午前と午後に2回タイムトライアルを行い、ベストタイムを競った。
近年は毎回のようにスペシャルゲストを招聘(しょうへい)しているが、今回は生沢 徹氏が初来場。「ポルシェ・カレラ6」を駆っての1967年第4回日本グランプリ優勝をはじめとする日本のレースでの活躍はもとより、日本人レーシングドライバーとして初めて欧州に渡りF3やF2、そしてポルシェのワークスドライバーとして国際スポーツカー選手権に参戦するなどの実績を残した“リビングレジェンド”である。1本目と2本目のタイムトライアルの合間にその生沢氏のトークショーが行われ、黎明(れいめい)期の日本のモータースポーツにまつわる貴重なエピソードが披露された。好天にも恵まれ大盛況だった会場から、出走車両を中心に紹介しよう。(文と写真=沼田 亨)
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1/40快晴の大磯ロングビーチ駐車場に集まった、約90台のエントリー車両。
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2/40競技開始前、「BSカローラ栃木ALEX86(トヨタ86)」で模範走行を披露したゲストの西野洋平選手。全10戦で争われる本年度の全日本ジムカーナ選手権のPN3クラスで、開幕4連勝という圧倒的な強さを見せているドライバーだ。来場者を乗せての同乗走行も実施された。
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3/40競技は1000cc以下のノーマル車両および500cc以下の軽自動車によるAクラス(出走12台)から開始。スタートしていくのはクラス3位となった「ホンダS600」。
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4/40Aクラスに親子でダブルエントリーしている常勝マシンである「スズキ・フロンテクーペGXCF」。今回は息子が優勝で、父が4位。
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5/40Aクラスにダブルエントリーした「フィアット500ジャルディニエラ」。ロングホイールベースのワゴン版である。
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6/40往年のトヨタのワークスマシン風のカラーリングが施された「トヨタ・スポーツ800」。Aクラス5位。
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7/40常連参加車の1台である「ホンダT360」。1963年にデビューしたホンダ初の市販四輪車にして日本初のDOHCエンジン搭載車である軽トラックで、Aクラス6位。
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8/40新車以来の「足立5」のシングルナンバーの付いた未再生車である「ダットサン・サニー1000」(B10)。今回が親子での初対決だったが、19歳の息子がクラシックカーレースのベテラン選手である父に勝った。
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9/402ストロークエンジン特有の白煙を盛大に吐き出しながらスタートしていくのは、1300cc以下のノーマル車両および1000cc以下の改造車両によるBクラス(出走9台)で優勝した「スズキ・フロンテクーペGE」。
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10/40四半世紀以上エントリーを続けている大ベテランの「日野コンテッサ900」。ヘッドライトをナローの「ポルシェ911」用に替えており、ノーマルとはかなり違った印象を受ける。Bクラス2位。
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11/40レディースクラスとBクラス(ダブル)に、合計トリプルエントリーした「ホンダS800クーペ」。レディースクラスで3位に、Bクラスで3位に入った(もう一方はミスで記録なし)。
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12/40Bクラスで長年にわたって孤軍奮闘している「スバルff-1 1300Gスポーツセダン」。今回は5位。
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13/40Bクラスで4位に入った、日本では珍しい初期型の「アウトビアンキA112アバルト」。
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14/40Bクラスに出走した「ランチア・フルビア クーペ ラリー1.3」。これも初期型(シリーズ1)である。
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15/401800cc以下のノーマル車両および1300cc以下の改造車両によるCクラス(出走10台)で、スタートしていく「トライアンフ・スピットファイアMk3」。ルマンに出走したワークスマシンのレプリカキットを装着しており、ノーマルとは顔つきが異なる。
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16/40Cクラスで優勝した、通称カニ目こと「オースチン・ヒーレー・スプライトMk1」。
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17/40こちらはCクラス2位の「アルピーヌA110」。
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18/40Cクラス3位の「ジネッタG4」。ちなみに1位から3位までは0.6秒以内の僅差だった。
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19/40既出の4台に加え「ロータス・エラン」「MGB」など2座スポーツカーばかりのCクラスに唯一参戦した“ハコ”(ツーリングカー)ながら、6位に食い込んだ「ダットサン・ブルーバード1600SSSクーペ」(KP510)。
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20/401801cc以上のノーマル車両および1301cc以上の改造車両によるDクラスは、26台が出走した最激戦区。中でも「ダットサン・フェアレディ2000」(SR311)は7台を数えた。
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21/40そのDクラスを制した「ダットサン・フェアレディ2000」(SR311)。タイムは59秒149だった。
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22/40カーナンバー1を与えられた、前回の優勝車両である「ジネッタG4」。今回は惜しくも2位。
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23/40Dクラスの常連である、親子でダブルエントリーした「ロータス・エランS1」。今回は息子が3位で、父が5位。
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24/40Dクラスに出走した「日産フェアレディZ」(S30)。オープンの「フェアレディ2000」が7台エントリーしたのに対し、こちらは1台のみだった。
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25/40多くのスポーツカーを抑えてDクラス9位に割り込んだ「ダットサン・サニーバン」(VB110)。
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26/40ターンの際に見事なテールスライドをキメていた「トヨタ・セリカGTV」。Dクラス7位。
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27/40Dクラスにダブルエントリーした「トヨタ・パブリカ」(KP30)。リアフェンダーに描かれた「Guts! パブリカ」は、新車時の広告のキャッチフレーズ。
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28/40今回の出走車両中、市販車ベースでは唯一のミドシップだった「フィアットX1/9」。Dクラス6位。
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29/401300cc以下のノーマル「Mini」および1000cc以下の改造MiniによるMini Aクラス(出走11台)で優勝した「Miniクーパー」。
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30/40左後輪を浮かせてターンするのは、女性ドライバーによるレディースクラス(出走5台)で優勝した「Miniクーパー 35thアニバーサリー」。1分05秒606のタイムは、Mini Aクラスでも2位と3位の間という立派なもの。
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31/40戦前車およびそれに準ずる車両によるKクラスで、前回に続いて連勝を飾った「MG PA」。1934年から36年まで作られたモデルで、今回唯一の戦前車だった。
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32/40レーシングカーおよび「スーパーセブン」の同類車による最速のRクラス(出走12台)のスタートを待つスーパーセブン群。
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33/40「スーパーセブン」同士の激しいバトルを制しRクラス優勝を果たした「ケータハム・スーパーセブン」。2本目にこの日のベストタイム(54秒770)を記録した。
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34/40Rクラスのディフェンディングチャンピオンである「SOCJスーパー七」。1本目はトップタイム(54秒903)を記録したものの、2本目にミスコース。わずか0秒133差で2位となった。
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35/40ハンドリングはジムカーナ向きとは思えないが、Rクラスで敢闘している常連組の「ロータス51」。
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36/40これも「スーパーセブン」以外の、数少ないRクラスの常連である「ダットサン・サニークーペ」。型式名KB310こと4代目サニークーペのレース仕様である。
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37/40屋内会場に飾られた、スペシャルゲストの生沢 徹氏が持参した写真パネル。ここ大磯におけるジムカーナや初期の日本グランプリなど、日本のモータースポーツの黎明(れいめい)期である1960年代に撮影されたカットを中心に29点を数えた。さらにこのほかにも、トークショー用に特大の写真パネル数点が用意されていた。
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38/40写真パネルの中から、1960年代に大磯ロングビーチで開かれたジムカーナにおける生沢氏の「MGB」。防風林の松は今も昔も変わらないことがわかる。
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39/40トーク中の生沢氏。
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40/40“リビングレジェンド”の貴重なトークに聞き入る参加者とギャラリー、そしてスタッフ。