ロレンツォ視点の「アウトモト・デポカ2025」 幻のコンセプトカーとの邂逅も
2025.11.06 画像・写真小さなスタンドも見どころ満載
イタリアを代表するヒストリックカーショーのひとつ「アウトモト・デポカ」が、2025年10月23日から26日まで、ボローニャ見本市会場で開催された。初日は時折強く雨が降る悪天候だったにもかかわらず、午前から多くの報道関係者やプレミアムチケットを購入したファンが訪れた。
多くのパビリオンには、特集展示「F1の75年」やインポーターのブース、さらには“テッラ・デイ・モトーリ(エンジンの大地)”を象徴するスーパースポーツカー専門の著名ショップが軒を連ねる。
いっぽう今回も筆者自身の楽しみは、クラブや中小のショップによる出展であった。彼らのスタンドには、かつてカロッツェリアによってつくられたクルマが、他の量産車に隠れるようにして置かれていることがあるのだ。市販をもくろんで製作されながらも目的を果たせなかったモデルあり、著名デザイナーのペンによって描かれながらも、代表作の陰に隠れてしまったモデルあり。しかし、それらはじっくりと見るほど、当時製作に携わった人々の意気込みが伝わってくるのである。
(文と写真=大矢アキオ ロレンツォ<Akio Lorenzo OYA>/編集=堀田剛資)
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1/20「クラブX1/9イタリア」のメンバーが集合。写真向かって右は、1975年にジャンパオロ・ダラーラがグループ5“シルエットフォーミュラ”のために製作した「イクスウーノノーヴェ」。ノーマル仕様より200kgもの軽量化が図られていた。
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2/20特集「F1の75年」に賛同したACI(イタリア自動車クラブ)のブース。1979年「リジェF1 JS11/15」。強豪フェラーリおよびウィリアムズと果敢に戦った。
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3/20同じくACIで。手前は「ダラーラF192」。1992年にブレシアを拠点としていたBMSスクーデリア・イタリアが駆った。奥は「フェラーリF2005」。
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4/20ホンダの二輪車特集。39台の歴代モデルが展示されるとともに、英国マン島レース優勝時代にさかのぼる記録フィルムも上映されていた。
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5/20ホンダ二輪特集から。イタリア工場製の1988年「NSR125F」(写真向かって右)。アルミダイキャストフレームは今日見てもハイテク感が漂う。日本でも1000台が限定販売された。
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6/201959年のアルファ・ロメオ製バン「ロメオ」。レストアラーのマルコ氏&ロベルト氏は、2010年からすでに9台の同型車を修復したという。
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7/20アウディの源流にあたるブランドのひとつ、NSUのクラブ。「プリンツ4」は「シボレー・コルベア」と共通するフラットデッキスタイルをもつ。
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8/20イタリアでもアメリカンマッスルカーの集いは、年間を通じて各地で開催されている。このクラブは1969年「ダッジ・チャージャー」(写真向かって右)や、「シボレー・コルベット(C4)」(同左)などを並べていた。
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9/20ランチアのモデル別クラブが集まる一角で。「ベータ モンテカルロ」の愛好会は2台をディスプレイした。
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10/20「ランチア・テーマ クラブ イタリア」の展示車。極上状態の1993年「シリーズ3 16V LS」は、新車からワンオーナーだったものを、2年半前にクラブのメンバーが購入したという。すでにASI(イタリア古典四輪二輪クラブ)によるヒストリックカー認定を取得している。
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11/20「プジョー205パッション クラブ イタリア」は、カブリオレ仕様の40周年を祝った。解説によると、1995年までの11年間に7万2142台がつくられたという。
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12/20「プジョー106ラリー クラブ イタリア」は、1990年代前半につくられた特別仕様「ル・マン」を展示した。
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13/20「MGカークラブおよび保存会」は、「MG F」の30年を祝うべく、その後継車である「MG TF」を展示した。いずれもブランド休止前の最後の量産モデルとして、イタリアやフランスで根強い人気がある。
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14/20看板の専門店で。サビが風合いを醸し出すモト・グッツィの看板。
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15/20左は石油会社 旧アジップの給油所用の看板。右は家庭用プロパンガス「アジップガス」のもの。いずれもイラストレーターのフェデリコ・セーネカによる。
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16/20ジャガーの要請でピニンファリーナが製作し、1987年のバーミンガムショーで公開された「XJ-S」。量産には至らなかったが、英・伊両国のセンスがほどよくブレンドされている。
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17/20「XJ-Sピニンファリーナ」の室内。ピニンファリーナの歴史車両部門がオークション会社のプロードアロー社とともに展示した。
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18/20初代「フィアット・パンダ4×4」をベースに、パオロ・マルティンがデザイン、カロッツェリア・サヴィオが製作した「フリーリー」(1987年)。
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19/20初代「フィアット・パンダ」のダッシュボードが残されているのは、製作費の節約というよりも、秀逸なオリジナルデザインに対するリスペクトととらえるのが正しかろう。
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20/20オドメーターはわずか27km。テールランプは初代「フォルクスワーゲン・ゴルフ」からの流用か。

