名門の栄光と苦悩 「ヘリティッジ・ハブ・イタリー ASIベルトーネ・コレクション」より
2026.06.16 画像・写真必死で生き延びようとしていた
イタリア・トリノにあるステランティスの歴史車両展示施設「ヘリティッジ・ハブ・イタリー」で、2026年4月から常設展示が開始された「ASIベルトーネ・コレクション」を写真で紹介する。コレクションの経緯についてはこちら。
ベルトーネといえば「ランボルギーニ・ミウラ」をはじめ数々の名車のデザインを手がけたことで知られる。加えて、2代目社主ヌッチオ・ベルトーネは、若き日のジョルジェット・ジウジアーロやマルチェロ・ガンディーニなどを発掘した、名プロデューサーとして自動車史で評価されている。
いっぽうでコレクションからは、ベルトーネがコンセプトカーを通じて懸命にクライアントを探していたことがわかる。同時に1970年代から1990年代にかけては、「フィアットX1/9」の生産継承やダイハツ車のモディファイでもわかるように、デザイン開発と並ぶ社業の車体生産で、あらゆる可能性が模索された。
2000年代よりフィアットグループからのデザイン契約や受託生産が頭打ちになると、従来のオペルとの関係をもとにゼネラルモーターズ傘下の各ブランドに積極的なアプローチを展開していく。
残念なことに、ベルトーネの車体製造部門は2008年に、デザイン開発部門は2013年に消滅した。一見華やかな名門カロッツェリアとデザイナーたちが、苦悩しながら自動車の未来を懸命に提案し続けたことが、このコレクションからはひしひしと伝わるのである。
(文と写真=大矢アキオ ロレンツォ<Akio Lorenzo OYA>/編集=堀田剛資)
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1/21「シトロエンGSカマルグ」1972年コンセプト。従来、社内ですべてのデザイン開発を行っていたシトロエンが、外部に委託した第1弾で、ベルトーネではマルチェロ・ガンディーニが担当した。以下、表記年は展示車の年式。
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2/21「シトロエンGSカマルグ」1972年コンセプト。1982年「シトロエンBX」から始まる、シトロエンとベルトーネの協調関係のさきがけとなった。
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3/21「フィアット128ショッピング」1969年コンセプト。3ボックスの量産型「フィアット128」をもとに、そのクーペ版をベルトーネがメーカーに提案したもの。ネーミングの由来は、バンパー下に引き出し式のショッピングカートが装備されていたことから。
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4/21「フィアット・ディーノ2400クーペ」1970年量産。フェラーリとフィアット両社により誕生した製品企画。ピニンファリーナがデザインしたスパイダー版と共通の機構部分をもつ。ベルトーネによるこのクーペ版は、ジウジアーロとガンディーニがデザインを手がけた。
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5/21「ランボルギーニ・エスパーダ」1970年量産。1967年のコンセプトカー「マルツァル」からインスピレーションを得た量産型。展示車はシリーズ2で、内外ともに細部がより現実的にモディファイされている。
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6/21「フィアットX1/9」(米国仕様)1972年量産。現地の保安基準に適合させるべく、衝撃吸収バンパー(5マイルバンパー)が前後に装着されている。
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7/21「フィアット127ヴィレッジ」1974年コンセプト。高耐久性で評価を得ていた「フィアット127」の機構を流用したレジャーカーの提案。
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8/21「ベルトーネX1/9スーパーライト」1985年コンセプト。フィアットから「X1/9」の生産を引き継ぐ際に試作された。カナダ企業の協力のもと、車体パネルをアルミニウム化。既存モデルより30%以上の軽量化を実現した。しかし5台が製作されたにとどまり、ベルトーネによる量産型は従来どおり鉄製となった。
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9/21「ベルトーネX1/9スパイダーUSA」1986年コンセプト。ルーフ部分をキャンバス化するとともに、ツートンカラーにすることでウエッジシェイプの強調を試みた。
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10/21「ベルトーネ・フリークライマー」1990年量産。「ダイハツ・ラガー」をベースに、BMW製直列6気筒ガソリン/ディーゼルエンジンおよび同社製変速機を搭載。内外にベルトーネ流のモディファイを施したもので、約2800台が生産された。当時、フィアットのラインナップにない種類のモデルであったことから、イタリア憲兵隊(カラビニエリ)に一定数が納入された。
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11/21「ロータス・エモーション」1991年コンセプト。デザイン責任者がマルク・デュシャンの時代の作で、「ロータス・エスプリ ターボ」をもとに、機構部分の冷却と空力性能の向上を追求した。
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12/21「ベルトーネ・フリークライマー2」1992年量産。初代「ダイハツ・ロッキー」をもとに、ベルトーネがモディファイを施したもの。
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13/21「フィアット・プント レーサー」1994年コンセプト。ベルトーネが手がけた生産型「フィアット・プント カブリオ」をベースに、クローズドルーフ化するとともに、空力性能向上を図った。
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14/21「フィアット・エンデューロ」1996年コンセプト。樹脂製モックアップだが、来るべきSUV時代を予見していた。Enduroとはイタリア語で耐久レース、もしくはその専用車の意味。
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15/21「ベルトーネ・オペル・バイシクル」1999年コンセプト。自動車前夜に自転車メーカーであったオペルの歴史を踏まえた、電動アシスト自転車のプロポーザル。
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16/21「ベルトーネ・スリム」2000年コンセプト。究極のミニマリズムによるアーバンモビリティーの研究だった。後部に搭載されたエンジンはイタリアのクアドリサイクル(軽便車)に多用されている、排気量550ccのディーゼルである。
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17/21「オペル・フィーロ」2001年コンセプト。ミニMPVの「オペル・ザフィーラ」をもとに、ノキア、ボーズ、ブレンボそしてSKFの各社と協業し、ドライブ・バイ・ワイヤ技術の搭載を模索した。Filoとはイタリア語で線=ワイヤを意味する。
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18/21「サーブ・ノヴァンタ」2002年コンセプト。前述の「オペル・フィーロ」同様に、バイ・ワイヤ技術が投入されていた。
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19/21「サーブ・ノヴァンタ」2002年コンセプト。
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20/21「アストンマーティン・ジェット2」2004年コンセプト。1961年にベルトーネが手がけた「DB4GTジェット」へのオマージュとして、「V12ヴァンキッシュ」をもとにつくられた。コレクター向けの少量生産を模索した。
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21/21「アストンマーティン・ジェット2」2004年コンセプト。後部のデザインは、シューティングブレーク形式が採られていた。
